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小合溜沿いの草地,2024年8月11日朝,晴れ

草地で見つけた大きめのクロイトトンボ類.色合いからメスとはわかるのですが,帰ってから写真を拡大して種類を判別してみました.区別点では,頭部には左右の眼後紋が細く,眼後紋の間に後頭条はなし,胸部の肩の黒帯の中に淡色線はあり,ということでムスジイトトンボのメスでした.これまで園内でみたのは5~6月でしたので,かなり遅めの時期です.



基本情報

和名
ムスジイトトンボ
分類
節足動物門 昆虫綱 トンボ目 イトトンボ亜目 イトトンボ科 クロイトトンボ属 (Paracercion)
英名
Eastern Lilysquatter
学名
Paracercion melanotum (Selys, 1876)
Syn. Cercion sexlineatum (Selys, 1883)
状況
埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版) 加須・中川低地における区分:[DD] 情報不足,全県における区分:[DD] 情報不足 (参考1)
千葉県レッドリスト-動物編(2019年改訂版)[B] 重要保護生物 (参考2)
IUCN レッドリスト 2024-1[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend stable (個体数動向 安定) (参考3)

写真とメモ

小合溜沿いの草地,2021年5月23日午前,くもり

草地で見つけたクロイトトンボ類は,模様からムスジイトトンボでした.東京都レッドリストが昨年更新されたので再確認してみたところ,ムスジイトトンボは前回(2010年)は「情報不足(DD)」だったのが,今回はリストからはずれていました.園内でのクロイトトンボ類の出会いやすさを思い出してみると,成虫の時期や見られる場所が異なるので比べにくいのですが,一番多く出会えるのがクロイトトンボ,次にムスジイトトンボで,オオイトトンボはさらに時期と場所が限られていて,一番少ないのがセスジイトトンボというように感じました.

参考4のサイトに掲載されている,これらの種類の区別のための情報を整理してみました.

後頭条肩の黒帯♂腹部先端
クロ…ない一帯が黒い水色部に黒い山型の模様
ムスジ…ない♂黒帯に部分的に淡色線が入ることがある
♀淡色線が入る
水色のみ
オオ…ある黒帯のみ水色部に黒い山型の模様
セスジ…ある黒帯に淡色線が入る水色のみ

トンボを斜め上,後方から観察できるとこれらが区別できますね.



園内の池、2019年6月16日午前、晴れ

池のスイレンで覆われた一帯を飛び回っていた水色で中型のイトトンボ。一見してクロイトトンボ類です。つながりトンボ、交尾中のトンボもいました。拡大するとムスジイトトンボの交尾と判明。複眼の間に後頭条(水色の横線)がなく、胸部背面横の黒帯内にオスでは水色の線が見えず、メスでは明るい褐色の線がしっかり見えます。

園内の池、2019年6月16日午前、晴れ

こちらはオス。腹部の末端の水色の部分に山型の黒い紋がありません。ざっと見た感じ、この日この場所で見たクロイトトンボ類は、ムスジイトトンボとクロイトトンボでした。オオイトトンボセスジイトトンボは時期がずれているのでしょうか、見つかりませんでした。



ごんぱち池方面、2019年5月12日午前、晴れ

池の水面付近をたくさんのイトトンボが飛び交っていて、スイレンの葉の上にも止まっているのがみえました。1頭1頭みていくと大部分がクロイトトンボ(上の写真下)。それに混じって、胸部背面や腹部先端に水色の部分の目立つのが混じっていました(上の写真上)。写真で拡大してみると、胸部の黒色の帯の一部にだけ水色の線がみえ、頭部にある左右の眼後紋の間に後頭条がなく、腹部先端の水色の節には山型の黒紋がないので、ムスジイトトンボのオス。



ごんぱち池方面、2016年6月25日午後、くもり

オスの体色と後ろにいるメスの体色が全く異なっているのが分かります。オスはきれいな水色で、メスは地味な褐色。メスにはオスの腹部の節にある水色の輪もありません。

上の写真と、下2枚の写真は、暫定オオイトトンボ、その後のセスジイトトンボのページに掲載していましたが、腹部先端の水色の部分に黒い山型の紋がないこと、眼後紋が小さく後頭条もないこと、上の写真をよく見ると胸の両肩の黒色部に淡色の線がメスでははっきり見え、オスでははっきりしないなどの特徴から、ムスジイトトンボに変更です。

ごんぱち池方面、2016年6月25日午後、くもり

この場所は下の写真を撮影したのとはまた別の池です。遠くに見えた水面はオオカナダモが繁茂して覆われていましたが、そこを小さいイトトンボが飛び交っていました。アジアイトトンンボ(またはアオモンイトトンボ)に混じって、産卵中のこのトンボが何つがいもみつかりました。



東金町運動場方面、2014年6月1日午後、晴れ

クロイトトンボがたくさん飛ぶ中に、水色でちょっと大きめサイズ、なかなか岸に寄ってこないイトトンボがいたので撮影しました。オオイトトンボとの区別は、腹部先端の水色の部分の背面に黒い部分がないことから。眼後紋や後頭条は見えない角度ですが、胸部の肩部の黒条内に水色の線が見えないので、セスジイトトンボではなさそう。



参考

  1. 埼玉県レッドデータブックについて. “埼玉県生物多様性センター”. https://saitama-biodiversity-center-cessgis.hub.arcgis.com/pages/saitamardb.
  2. 千葉県レッドデータブック・レッドリストについて. “千葉県環境生活部自然保護課 生物多様性センター” https://www.bdcchiba.jp/reddatebook_redlist.
  3. Wilson, K. D. P. 2009. Paracercion melanotum. The IUCN Red List of Threatened Species 2009: e.T167159A6309807. Downloaded from http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2009-2.RLTS.T167159A6309807.en on 17 July 2018.
  4. クロイトトンボ属の同定.“神戸のトンボ”. http://www.odonata.jp/03imago/Coenagrionidae/Paracercion/, (参照 2024-08-18).
  5. . “”. , (参照 ).