チョウトンボ Black Flutterer
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中央広場の外周を散歩していると,道端の植え込みにたくさんのチョウトンボが集まって飛び回っているところが何箇所もあるのを見つけました.写真はそのチョウトンボの集まった植え込みの1つで,矢印のところにチョウトンボが飛んでいます.植え込みはツツジなどですが,それを覆うようにヤブカラシが巻き付いていて,咲き始めたヤブカラシの花にたくさんの小さなハエ類が集まっていました.おそらくこのハエを食べに来ているのではないかと思います.チョウトンボはいつも水場から離れないイメージでしたので,ちょっと意外でした.
基本情報
- 和名
- チョウトンボ
- 分類
- 節足動物門 昆虫綱 トンボ目 トンボ科 チョウトンボ属 (Rhyothemis)
- 英名
- Black Flutterer
- 学名
- Rhyothemis fuliginosa Selys, 1883
- 状況
- 東京都レッドリスト(本土部)2020年見直し版 東京都区部における区分:[NT] 準絶滅危惧,東京都本土部全体における区分:[NT] 準絶滅危惧 (参考1)
- 千葉県レッドリスト-動物編(2019年改訂版):[D] 一般保護生物 (参考2)
- IUCN レッドリスト 2024-1:[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend stable (個体数動向 安定) (参考3)
写真とメモ
チョウトンボのメスは翅の輝きの色がオスと違う
水辺の伸びつつあるヨシに止まるチョウトンボ.その場ではオスかメスかわからず,写真を撮って拡大してみたら,腹端の形からメスでした.メスだという先入観で見ると翅の輝きがやわらかい緑色系なので,確かにメスっぽいです.
池の上でチョウトンボがたくさん飛び交っていました.オスは縄張りを張るように目立つところに止まっていましたが,メスが見たいので探しまわりました.水面の近く,草で覆われた斜面に隠れるように止まるメスを発見.翅の光が青紫でなく金色っぽいタイプのメス.いい色です.
こちらはオス.反射の色は青緑からピンクまで.
いちばん近くから撮影できたオス.体も虹色に反射して光っています.
翅が金色に光るメスの写真を撮るのが念願だったのですが,やっとかないました.水辺で見るチョウトンボは縄張りを張っているオスは草などに止まっているのを見ますが,メスはなかなか止まりません.この個体は産卵をしているところでした.チョウトンボの産卵は空中でホバリングしながら腹端を水にちょんちょんと着けていましたが,オスに追われて飛んでいってはまた戻ってくる,というのを繰り返すうち,ちょうど草に止まったところです.
メスの翅の輝きの色について.チョウトンボのオスの翅は青~赤紫に光りますが,メスの翅はオスと同じ色に光る個体と,オスとは異なり黄色く光る個体もいて,参考4では金色型と呼ばれています.飛んでいるメスを見ても翅の輝きが異なる個体には気づくので,この色合いのメスをぜひ撮りたいと思っていました.写真の個体は緑~黄色なので,金色型と呼んでよいのかわかりませんが,オスとは違う色の輝きです.
上のと同じメス.昆虫などの金属的な輝きは構造色と呼ばれていて,規則的な細かい構造が光を反射することによる干渉色がもとで見える色です.オスとメスの翅の材質は同じでも,ミクロの縞模様の幅(間隔)が同じ個体と違う個体がいるということですね.
上のと同じメス.オスもいい色ですが,この色も綺麗ですね.
チョウトンボのオスの翅の輝き
アサザの花を見にごんぱち池に行ったときの撮影です.通路のすぐ近くに止まったオス.翅は青と紫色に光ります.直射日光だと翅の色がギラギラ光りますが,くもっていたのでふわっとしたマットな色に光っています.翅脈が青や紫に染まるのがきれいです.
今日も暑い日.強い日差しの中,池のハスのつぼみで止まるチョウトンボのオス.縄張りを主張するように,他のトンボが近づくと飛び出して追尾します.また戻って止まります.
腹部を上げた独特の姿勢.風が強いときに止まるとこの姿勢になるように見えます.
チョウトンボは,本州以南に分布.関東では絶滅危惧種に指定されている自治体が多いようです.日本以外では朝鮮,中国からベトナム,ミャンマーなどにもいる種類です.
チョウトンボが風にあおられて,翅を上下に動かしながら止まっているところ.この角度からではわかりませんが腹部の形からオス.
晴れた日のチョウトンボのオス.日の当たる角度によって翅の色,光り方がぜんぜん違います.自分のコンパクトデジカメをうまく使いこなしていないせいか,フォーカスがあまい写真になってしまうことが多く,下手な鉄砲方式でそのうち,会心の出来の写真が撮れるといいなと.
こちらはメス? メスには翅の反射するときの色がオスとは違って金色っぽく光る方が多いそうですが,この個体はオスと同じ色に見えます.
オス.あまり止まらないでヒラヒラと飛び回る印象のチョウトンボなのですが,ごんぱち池以外でもチョウトンボの止まるポイントに近づける池を発見.この池の周辺には,かなりたくさんのチョウトンボが群れていました.翅の黒い部分の虹色の光沢が印象的.
いままでチョウトンボの写真は,下にあるようなシルエット気味の写真しか撮れたことがありませんでした.はじめてシルエットでない写真が撮れたのは,ごんぱち池(権八池)を池の横の都道側からのポイントでした.ここからは,人の入れない池の奥のほうを斜め上からとれるので,人が来ないのでトンボが安心して低いところにとまっていて,それを池を見下ろしながら望遠で撮影できます.もう秋なので翅がボロボロですが,ここに初夏に来れば,きっと新鮮なトンボの写真が撮れそうです.
チョウトンボ,ひらひらと風に乗って樹冠を飛び回るのを,今年も見ることができました.ありがとうございます.なかなか低いところに降りてこないので,木の梢に止まった写真.夕方なのでシルエットです.
何匹かで木の梢を飛び回っては風に乗って高くまで上がっていきます.
参考
- レッドリスト・レッドデータブック・植生図. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
- 埼玉県レッドデータブックについて. “埼玉県生物多様性センター”. https://saitama-biodiversity-center-cessgis.hub.arcgis.com/pages/saitamardb.
- Wilson, K. D. P. 2009. Rhyothemis fuliginosa. The IUCN Red List of Threatened Species 2009: e.T167149A6308848. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2009-2.RLTS.T167149A6308848.en. Accessed on 31 July 2022.
- チョウトンボ. “デジタルトンボ図鑑(神戸のトンボ)”. https://www.odonata.jp/03imago/Libellulidae/Rhyothemis/fuliginosa/index.html, (参照 2022-07-31).
- . “”. , (参照 ).
私もチョウトンボの翅の色が奇麗で見とれてしまいました。
返信削除光の当たり具合でいろいろな色に輝きます。
黒ずんだ翅の色をしていると思われる♀も見たいのですが,
未だ見ることができないでいます。
totonbosanさん、コメントどうもありがとうございます。チョウトンボ見とれますよね。たくさん飛んでいるとその辺りの空気が変わる感じがします。
削除オスとメスの翅の色の件、ずっと同じ色だと思い込んでましたが、違うんですね。自分の撮った写真では、腹端の形からみなオスのようなので、メスの写真を撮って比べてみたいです。今度の夏の目標ができました!