基本情報

和名
コガタスズメバチ
分類
節足動物門 昆虫綱 ハチ目 スズメバチ科 スズメバチ属 (Vespa)
英名
Yellow-vented Hornet
学名
Vespa analis insularis(日本産亜種)
状況

写真とメモ

最新の写真

園内の林縁,2020年11月23日午前,晴れ

大きなスズメバチの巣.巣は低木の枝からぶら下がっています.おそらく夏には,この巣はヤブの中に完全に隠されていたのが,秋になって周囲の草が枯れ,落葉樹の葉が落ちて,周りから丸見えになったのだと思います.遠くから双眼鏡で見ていると,この季節にもまだハチがぽつぽつ出入りしていました.ハチはあまり大きくないスズメバチ型のハチです.コガタスズメバチの巣は以前,別の場所でも見つけましたが,この種類の巣の特徴は土中でなく,開放された空間に作られることが多いとのこと.

園内の林縁,2020年11月23日午前,晴れ

この場所は,周囲が立入禁止になっていて,駆除待ちの状態です.矢印のところに巣があります.次の週に見に行ったら駆除された後で巣はなくなっていました.



圃場,2017年9月24日朝,くもり

圃場のヤブカラシの花に来ていたちょっと小さめのスズメバチです.色の模様はオオスズメバチとコガタスズメバチはそっくりで,その区別は大きさの違いが有力ですので,サイズを測ってみました.ハチがいなくなってから,この花を定規といっしょに撮影して比較したところ,ハチの体長は23mmでしたので,コガタスズメバチです.

圃場,2017年9月24日朝,くもり

頭部が見える角度の写真.左右の複眼の間,単眼のあたりが黄色いのがわかります.頭楯の形まではよくみえません.スズメバチ類の検索表は参考2に.

コガタスズメバチはインドから東南アジア,中国日本ロシアまで生息する種類で,日本の個体は「オオスズメバチと同じ模様」として知られていますが,地域によって体の色が全く違う種類です.参考4に各地のコガタスズメバチの写真が掲載されていますが,東南アジアの熱帯地域に住む原名亜種は体が真っ黒で腹部の先端のみオレンジ色.日本のと同じ種類にはとても見えません.英語名はこの色のハチについて呼ばれている名前とのこと.亜熱帯から温帯地域に住む個体はもっと黄色みが強く,日本産が insularis 亜種,ロシア産が parallela 亜種などとして区別されています.参考4にサラッと書いてあるだけなのですが,この黄色い亜種がいる地域はオオスズメバチがいる地域と重なっているとのこと.より強いオオスズメバチに擬態しているという可能性もあるのでしょうか.

圃場,2017年9月24日朝,くもり

上のヤブカラシのある藪に,ハチが頻繁に出入りしている穴をみつけました.よく見るとその奥に巣があります.大きさは30cm弱ぐらいに見えました.参考1,2などによると,コガタスズメバチが巣を作る場所は,木のウロなどの穴の中ではなく,木の枝の下などの開放された空間なので巣全体が見えるのが特徴とのこと.この巣も藪の中なので隠れてはいますがそれに当てはまります.あまり攻撃性が高くない種類ではありますが,公園管理事務所にさっそく連絡して巣の駆除をお願いしましたら,窓口の方に報告のお礼をいただきました.

圃場,2017年10月8日お昼,晴れ

2週間後に巣のあった場所にまた行ってみましたら,藪はそのままで,コガタスズメバチの巣のみが綺麗に取り去られて,穴になっていました.奥の方に巣を取り外すときに切った枝の切り口も見えます.ご対応ありがとうございます.



参考

  1. コガタスズメバチ. “蜂駆除屋さん”. http://www.hachikujoyasan.jp/category/1936742.html.
  2. スズメバチの見分け方. “蜂駆除屋さん”. http://www.hachikujoyasan.jp/category/1917827.html.
  3. コガタスズメバチ. “上野高敏”. http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/ine/ueno/suzumebachi3.html.
  4. Vespa analis. In "Aculeates of Asia". Retrieved from http://www.vespa-bicolor.net/main/vespid/vespa-analis.htm.
  5. . “”. (参照 ) .