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園内の林,2024年9月8日朝,晴れ

朝まだ薄暗い森の道で,地面に落ちているオオミズアオを発見.触ってみると肢を動かすので指に止まらせて付近の低木に移動.翅にはかすれや欠けがほとんどありませんが,左の前翅が根元近くで折れ曲がっているようです.翅の付け根だけきれいなブルーですが,翅全体に黄色みの強い個体で,内横線,外横線がくっきりしています.

園内の林,2024年9月8日朝,晴れ

止まらせたところを撮影.右の触角はきれなヒゲ状でオスですが,左側がちょっと変なので,羽化不全の個体だったようです.もしかしたら,左翅が使えずにうまく飛べずに地面に落ちたところだったのかも.

園内の林,2024年9月8日朝,晴れ



基本情報

和名
オオミズアオ
分類
節足動物門 昆虫綱 チョウ目 (ガ類) カイコガ上科 ヤママユガ科 ヤママユガ亜科 オオミズアオ(ミズアオガ)属 (Actias)
英名
Japanese Luna Moth
学名
Actias aliena Butler, 1879
状況
東京都レッドリスト(本土部)2020年見直し版 東京都区部における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類,東京都本土部全体における区分:[○] ランク外 (参考1)

写真とメモ

園内の林,2023年8月11日朝,くもり

久しぶりにオオミズアオを見ることができました.林内の道路から2,3mほどの下草の中,地面に立っている枯れ枝に大きなガが止まって,赤い肢をモゾモゾ動かしていました.オスとメスで形の違う触角が見えませんが,尾状突起が短くて太いのでメスと判断.参考5の区別法では,尾状突起につながる後翅の内側縁が尾状突起の根元のところで角度をもって曲がっているのでオオミズアオです.翅はちょっとスレていますが,まだ元気に飛べそうな個体.個体数が少なそうな種類なので,今年も産卵までいってほしいものです.

園内の林,2023年8月11日朝,くもり

翅の表から見られないかと思って,道路のカーブを利用して回り込んでみましたがこれが限界.

4~8月に発生して年2化とのことなので,これがおそらく今年の第2化ですね.



園内の街灯の下,2018年6月2日夜,くもり

街灯の近くで,道からちょっと離れたクワの木に止まっているのを見つけました.ライトを向けるとぼうっと青白く光るのが印象的.遠くに止まっていても大きく感じるガですね.参考5の区別法で,櫛状の触角が幅広く,尾状突起は切れていますが長いことからオス,前翅の形などから,オナガミズアオではなくオオミズアオだと思います.



園内の街灯の下,2018年5月26日夜,晴れ

水元公園の街灯巡りでは大きなガはほとんど飛ばないので,青白く光る翅の大きなガがヒラヒラと街灯の周りを飛んでいるのを見られて非常にうれしかったです.この夜は街灯を一通り回るうちに,2頭みつけましたが,そのうち1頭が近くの地面に降りて(落ちて)くれたので,撮影できました.写真は下草にとまっているところで,後翅の尾状突起が細長くのびていること,赤褐色の触角の櫛状の部分が広がっていることなどから,オスだと思います.翅に細くスジ状に鱗粉が取れた擦り傷?ひっかき傷のようなのがたくさんみえます.羽化してからもうある程度日数が経過しているのでしょうか.

オオミズアオは東京都の絶滅危惧種に指定されている大型のガですが,ヤママユガ類の中ではもっとも普通種で,かなりヒトの手の入った環境でも生息する種類です.広食性で,バラ科,ブナ科,カバノキ科他を食べる種類.参考2によると4~8月に発生し,年2化とのことですので,今の季節にいるのは今年第1化目だと思います.オオミズアオに限らず,ヤママユガ科のガは,成虫の口が退化していて,羽化したあとは飲まず食わずのため,あまり長く生きないとのこと.

近縁種ではオナガミズアオというそっくりの種類がいて,その区別法が参考5にあります.この2種類はサイズも違うのですが,後翅の紋の形,前後翅の外縁の丸まり方などでも区別できます.オナガミズアオの食草はこの公園にたくさん生えているハンノキとのことですので,もしかしたら水元公園には両方いるのかも知れません.

園内の街灯の下,2018年5月26日夜,晴れ

横からの写真.体は白い毛でもふもふ,足はピンク.

オオミズアオは,かつては日本の他,中国,朝鮮などの東アジアに分布する種類として, Actias artemis (アクティアス・アルテミス)という学名がついていました.アルテミスはギリシャ神話の月の女神です.この学名から,Artemis Moth という英語の通称名で呼ばれることも.オオミズアオの近縁種で最初に命名された北米産のアメリカオオミズアオの学名は Actias luna (アクティアス・ルナ)で,英語名は Luna Moth.luna は「月の」ですので,そのつながりでつけられた名前です.日本産のオオミズアオは,東アジアの種類の中で日本亜種 Actias artemis aliena (アクティアス・アルテミス・アリエナ)とされてきましたが,その後分類が変更されて,日本産のものが中国,朝鮮産のとはまったく別種とされることになり,日本産オオミズアオの新しい学名は Actias aliena (アクティアス・アリエナ)となりました.aliena とは,エイリアンの,狂気の,錯乱状態の,などの意味があります.ちなみに,アメリカオオミズアオの学名 luna には「月の」の意味の他にも「狂気の」の意味もあるので,そういう雰囲気でつけられた名前なのでしょうね.参考3に関連情報あり.



参考

  1. レッドリスト・レッドデータブック・植生図. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  2. オオミズアオ. “東京都レッドデータブック”. https://tokyo-rdb.metro.tokyo.lg.jp/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%83%9F%E3%82%BA%E3%82%A2%E3%82%AA/, (参照 2024-09-16).
  3. Actias aliena Butler, 1879 in GBIF Secretariat (2023). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/1865659 on 2024-09-16.
  4. “オオミズアオ”. ウィキペディア日本語版. 2023-05-07. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%83%9F%E3%82%BA%E3%82%A2%E3%82%AA (参照 2023-06-18).
  5. オオミズアオとオナガミズアオの違いと見分け方. “Insect trails”. http://blog.livedoor.jp/mt_cocoons/archives/34449166.html, (参照 2023-08-12).
  6. . “”. , (参照 ).