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園内の街灯,2023年7月8日夜,くもり

夏になると園内の街灯でよく見るウスバカミキリ.オスを2頭見ました.前から見ると,大アゴが格好いいです.触角は太く,複眼は触角の上の方についています.

この夜のウスバカミキリは元気に動き回る個体でした.いままで街灯で見たのは,クモの巣まみれで弱っていたり,触角が取れていたり,やっと止まっているけど触るとポトッと地面に落ちたり,はじめから地面に落ちている死骸だったりすることが多かったです.これまでは時期が遅かったからでしょうか.

園内の街灯,2023年7月8日夜,くもり

オスの体はメスよりも小さめで,腹端から産卵管が見えません.触角のちゃんとあるオスの写真は今回が初.上の写真の個体も下の写真の個体も,触角の長さは体と同じぐらいあり,太さは足の腿節よりも太いです.メスの触角はずっと短くて細いです.

園内の街灯,2023年7月8日夜,くもり

ウスバカミキリは幼虫がおいしいらしいです(参考5).カミキリムシの幼虫はテッポウムシなどと呼ばれ,燃料として薪割りをするとよく出てくることから,かつては日本でも食べる習慣のあった地域がいくつもあるようです.昆虫界の「マグロのトロ」とか.古代ローマでは昆虫食の記録が残っていますが,博物学者の大プリニウスが オーク材の中にいるイモムシである "cossus"(コッスス)を食用としていたと書いているそうです.参考6には 「cossus とは何の幼虫なのか?」が考察されていて,それによると,Cerambyx cerdo (オオカシカミキリ)の幼虫では,とのこと.



基本情報

和名
ウスバカミキリ
分類
節足動物門 昆虫綱 コウチュウ目 カミキリムシ科 ノコギリカミキリ亜科 ウスバカミキリ属 (Aegosoma)
英名
(in Jpn.) Usuba-kamikiri; A Species of Long-horned Beetles
学名
Aegosoma sinicum, syn. Megopis sinica
状況

写真とメモ

園内の街灯,2021年7月24日夜,晴れ

ブブブブと重い羽音を響かせて飛んできました.大型で産卵管が見えているメス.夏の街灯で見るのはメスが多いですね.飛んでくる個体は,止まれずに地面に落ちてしまうほど弱った個体が多いのですが,めずらしく壁面にすっと止まれる元気な個体.



園内の街灯の下,2020年8月1日夜,くもり

ウスバカミキリは,カミキリムシ類の中では,園内でよく見つける種類ですが,これまでは弱って動けなくなっている個体か,死体ばかりでした.上の写真ははじめて街灯の下に飛んできた個体です.体長は4,5cmほど,触角が短く,産卵管が長く伸びているメスです.

園内の街灯の下,2020年8月1日夜,くもり

同じ日に,はじめてオスらしく個体もみつけました.体が二回りも小さく,3cmほどです.ただこの個体,木に止まってはいるのですが体にクモの巣がたくさん巻き付いていて,触角がとれています.おそらくクモの巣に引っかかって触角を犠牲にして逃げてきたのではないかと想像しました.ウスバカミキリも,他のカミキリムシ同様,オスのほうがメスよりも触角がずっと長い種類なので,写真で比べたかったのですが残念.



水産試験場跡地,2020年7月12日午後,晴れ

池の周辺でみつけたウスバカミキリの死骸です.産卵管のあるメス.体長 5cmほどで,触角は折れていて長さは不明.以前瀕死のメスを見つけたのも同じ季節でした.この種類のメスは,夏に産卵して死ぬライフサイクルなんですね.

水産試験場跡地,2020年7月12日午後,晴れ

ウスバカミキリの分布は,日本以外ではシベリアからマレーシアまで.参考4によると,幼虫が食べる種類は,キリの他,ポプラ,ヤナギ,クルミハンノキ,クリなど様々とのことですが,どれも水元公園にはたくさん生えています.



園内の街灯の下、2018年7月21日夜、晴れ

街灯の下の道端でウスバカミキリを見つけました.全長5cmぐらいの大きなカミキリムシです.ウスバカミキリのオスとメスの区別は、メスが5cmぐらいで、オスはずっと小さいこと、オスの触角は腹部の先端ぐらいまでありますがメスはそれよりもずっと短いので、この個体はメスだと思います.北海道から沖縄まで日本全国に生息していて普通種かと思っていましたら、本土では東京都だけでレッドリストに名前が載っていました.ウスバカミキリの幼虫はある程度弱った木や立ち枯れ、倒木などを食べて、数年かけて成虫になるとのこと(参考2)、東京にはそういう環境が減っているということなのでしょう.

追記)2020年の東京都レッドリストでは指定がはずれていました(参考1).

園内の街灯の下、2018年7月21日夜、晴れ

この個体、死んではいないのですが、足の動きがのろのろと弱々しく、かなり弱っている様子.写真では腹面を見たくてひっくり返したのですが、やはり足をノロノロと動かすのみ.腹部の先端には産卵管が伸びているのが見えました.産卵が終わって寿命が来たのかなと思わせる様子です.



参考

  1. レッドデータブック. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  2. “ウスバカミキリ”. ウィキペディア日本語版. 2017-06-28. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%90%E3%82%AB%E3%83%9F%E3%82%AD%E3%83%AA, (参照 2020-08-28).
  3. ウスバカミキリ.“虫navi”. https://mushinavi.com/navi-insect/data-kamikiri_usuba.htm, (参照 2023-07-14).
  4. 森林生物データベース ウスバカミキリ.“国立研究開発法人 森林研究・整備機構”. https://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/seibut/bcg/bcg00260.html, (参照 2023-07-14).
  5. 昆虫界のマグロのトロ「カミキリムシ幼虫」を採集して食べる. “世界を救わない昆虫食情報 むしくい”. https://mushikui.net/?p=4095, (参照 2023-07-17).
  6. Bodenheimer FS: Insects as Human Food: A Chapter of the Ecology of Man, Springer, November 27, 2013. ISBN 9789401761598 Retrieved from https://books.google.com/books?id=sdboCAAAQBAJ&dq=Cossus+cossus+%22flour%22&pg=PA42 on 2023-07-17.
  7. . “”. , (参照 ).