ハンノキ開花（最新の写真）

ハンノキの花が咲きはじめていました．黒っぽくて丸いのが去年の実で，冬の間は，これと同じ黒っぽい色調の細長いつぼみがたくさんぶら下がっていたのですが，そのつぼみが開いて，中から黄色い雄しべがでてきたところです．

枝によって，下の方の枝や日陰の枝では花があまりたくさんついていないようです．

花を拡大したところ．この花は雄花で，黄色っぽい雄しべがたくさんついています．

雄花の付け根についている小さいのが雌花ですが，雌花はまだつぼみのままのようです．雌花の開花はもう少し時期があとなのでしょうか．

この雄花は，上半分から咲き始めていて，下半分はまだつぼみです．

基本情報

和名

ハンノキ

分類

被子植物類 真正双子葉類 バラ類 ブナ目 カバノキ科 ハンノキ属 (Alnus)

英名

Japanese Alder

学名

Alnus japonica (Thunb.) Steud.

状況

東京都レッドリスト（本土部）2020年見直し版 東京都区部における区分：[VU] 絶滅危惧 II 類，東京都本土部全体における区分：[VU] 絶滅危惧 II 類 （参考1）

IUCN レッドリスト 2023-1：[LC] Least Concern （絶滅のおそれなし） ver 3.1, Pop. trend stable （個体数動向 安定） （参考2）

写真とメモ

ひこばえ

花菖蒲園の通路．ハムシのたくさんついた葉をみつけて，さてこの木はなんだろう？と悩んだのですが，その場では判明せず．葉の葉脈が赤いのが特徴に見えたのですが，調べてハンノキと判明．ハンノキでは通常は葉は緑一色ですが，ひこばえ（木の根元から生える枝）では葉脈が赤くなることがあるそうです．

春のハンノキ林

若葉の季節のハンノキ．ハンノキの大木の枝は黒くて不規則に蛇行しているのですが，そこに葉が広がっていると，林全体が整った盆栽のような風情．

葉の拡大．葉は若い色をしていましが，すでに大きく広がっています．

雰囲気が温帯の夏緑林っぽくなくて，亜熱帯で雨季には水浸しになるサバンナの林がのようなワイルドさを感じます．

冬のハンノキ林

小合溜沿いのハンノキ林です。まばらに生えるハンノキの間が広い空間になっていますが、ここは夏になるとクズやオオブタクサ、セイタカアワダチソウなどの下草が鬱蒼となって入れなくなります。

ハンノキの大木の幹。深めのひび割れがあります。

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ハンノキは湿地などの水辺に生える木で、水元公園には小合溜沿いにハンノキ林がありますし、あちこちのヨシ原にも生えています。

写真は刈られたヨシ原の中に立つハンノキの若木の枝の拡大です。葉の落ちたハンノキの枝にはいろいろ付いています（参考3）。まず、楕円形で大きいのが去年の実（果穂）で、それ以外のものは春に咲く花と葉の芽です。雄花の花芽はたくさんついている細長い棒状のもので、雌花の花芽は小さな綿棒の先のような形をした膨らみで、写真では中央部付近の雄花の花芽の根元に付いています。そして、枝や葉が伸びていく芽は細く先のとがった小さい芽で、写真の一番上の端のほうにいくつか見えています。

ハンノキはミドリシジミの食樹で、水元公園にもミドリシジミ類が生息しているそうです（参考5）。いわゆるゼフィルス類に含まれる超美麗種です。まだ園内では見たことがないので、ぜひ初夏には成虫の姿を探してみたいと思っていますが、その前に、冬のハンノキ林でミドリシジミの卵も探してみたいと思っています。

参考

1. レッドリスト・レッドデータブック・植生図． “東京都環境局”． https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
2. Shaw, K., Roy , S. & Wilson, B. 2014. Alnus japonica. The IUCN Red List of Threatened Species 2014: e.T194581A2350700. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2014-3.RLTS.T194581A2350700.en. Accessed on 03 March 2024.
3. 拡大花図鑑その11 ハンノキ（PDF）．市立市川自然博物館だより 2010年度 2-3月号, p4． https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000329793.pdf.
4. ハンノキ． “三河の植物観察”． https://mikawanoyasou.org/data/hannoki.htm, (参照 2024-03-03).
5. ミドリシジミ（都立水元公園2008/7/16）． “タカエコ 自然と環境問題のブログ”． http://takaeco1.cocolog-nifty.com/photos/now/mmoomidori1.html, (参照 2024-03-03).
6. ． “”． , (参照 ).