最新の写真

園内の林縁,2023年6月18日朝,晴れ

林縁のハンノキの枝にミドリシジミを発見.まだ日の当たらない日陰の葉で,このチョウはそのとき翅を閉じていましたが,その木のすぐ近くまで日が当たっていたので,このチョウにもまもなく日があたるのを期待して待ってみました.チョウのいるところが,自分の立っているところから数m先の近い場所だったのと,葉が手前方向に斜めになっていて角度が見やすい位置だったので.上の写真は,しばらく待った後でやっとチョウのいる葉に日が当たり始め,翅を開き始めた瞬間です.チョウに日が当たるのと翅を開きはじめたのとがほぼ同時.同じ場所でじっと立って待っていたのが報われた!と感じた瞬間です.

園内の林縁,2023年6月18日朝,晴れ

さらに翅を開いてきたところ.ミドリシジミの翅を垂直に近い角度から見ると,エメラルドグリーンとでも呼べそうな色に光ります.この緑色は,ミドリシジミ類のグループによって違いますが,青みの強いオオミドリシジミ属と金緑色のメスアカミドリシジミ属の中間です.

園内の林縁,2023年6月18日朝,晴れ

翅を180度まで開いたところ.翅の光を横方向から見ると,だんだん青緑色に見えるようになり,さらに深い緑青になります.

園内の林,2023年6月18日朝,晴れ

この朝,出会った2個体目のオス.林の道路にヒラヒラと降りてきて止まったところ.かなり翅の小さなオスで,おそらく幼虫の栄養状態があまりよくなかったのではという個体でした.緑色の鱗粉が少ないのか光が控えめ.

小合溜沿いの草地,2023年6月18日朝,晴れ

別の場所ではメスも見つけました.これは斑紋のないO型のようです.



基本情報

和名
ミドリシジミ
分類
節足動物門 昆虫綱 チョウ目 アゲハチョウ上科 シジミチョウ科 ミドリシジミ属 (Neozephyrus)
英名
Japanese Green Hairstreak
学名
Neozephyrus japonicus, syn. Neozephyrus taxila japonica
状況
東京都レッドリスト(本土部)2020年版 東京都区部における区分:[EN] 絶滅危惧 IB 類,東京都本土部全体における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類 (参考1)
埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版) 加須・中川低地における区分:[NT1] 準絶滅危惧,全県における区分:[NT1] 準絶滅危惧 (参考2)
千葉県レッドリスト−動物編(2019年改訂版)[C] 要保護生物 (参考3)

写真とメモ

ミドリシジミ・オスの翅表が撮れました

園内の林縁,2023年6月17日朝,晴れ

林縁の丈の高い草地でススキに止まっているミドリシジミのオスを発見.翅表の端からちらっと緑色が見えるのでオスと判断,翅を開く瞬間を待ちたいところですが,翅を開くのはたいてい朝日が当たったときです.この草地全体が日陰で,まだぜんぜん日が届いていなかったので,翅表を見るのはあきらめました.数十分後に日が当たりだした頃に同じ草地に戻ってきたときに,低木の葉上にいたのが下の写真の個体.

園内の林縁,2023年6月17日朝,晴れ

さっきのオスと同じ個体かどうかわかりません.ミドリシジミの翅表の色は,後方の浅い角度から見るとほとんど緑色が光らず,暗褐色に見えます.



園内の林,2023年6月4日朝,晴れ

去年,ミドリシジミの成虫を初観察できましたが,まだミドリシジミのオスの緑色に光る翅表を見ていませんでしたので,今年もこの季節に園内を彷徨ってみました.去年,ミドリシジミに出会えた草地では今年は会えず.林の中のちょっと開けたところにフラフラと降りてきたミドリシジミが高さ2mぐらいの枝に止まったのを見つけました.ちょっと遠いのですが,なんとか撮影してみました.このときは,日が出たり陰ったりの繰り返しで,ミドリシジミの止まっている葉が明るくなったり暗くなったりしています.日が当たるとミドリシジミは翅を広げ,陽の光を浴びて翅はブルーグリーンにギラギラに光っています.

園内の林,2023年6月4日朝,晴れ

日が陰るとミドリシジミは翅を閉じていきます.翅の色は暗い青みを帯びて,露出が足りずISOが上がってザラザラの写真になります.

園内の林,2023年6月4日朝,晴れ

同じ個体を別角度から.日が当たらないとき,翅を閉じています.

園内の林,2023年6月4日朝,晴れ

日が当たった瞬間,翅を開き始めたところ.翅はメタリックグリーンに光ります.

園内の林,2023年6月4日朝,晴れ

遠くからの写真でしたが,翅が光るのが見えたので今年は満足です.


やっとミドリシジミ成虫と初遭遇

小合溜沿いの草地,2022年6月26日朝,晴れ

この前週に引き続き,草地でミドリシジミ成虫と会えました.この日は何頭か見ることができましたが,うちオスだとわかったのは上の写真の1頭のみです.ミドリシジミの雌雄のわかりやすい区別は翅表です.この個体は翅を開かなかったのですが,左右の翅をすり合わせるような動きをしていたので,翅表の端の方が少し見えており,周囲が黒く縁取られた青紫色なのがわかりました.ミドリシジミのオスの翅は,光を反射する特定の向きから見ると金属的に光る明るい緑色ですが,暗い環境でそれ以外の角度から見ると暗い紫色に見えます.時期的にオスの発生のピークはもう終わっていたのかもしれません.オスの翅表の写真はまた来年以降にチャレンジします.

小合溜沿いの草地,2022年6月26日朝,晴れ

数頭見ることができたメス.メスの翅の基調色は黒褐色ですが,ミドリシジミ類のメスの前翅の模様には4タイプあることが知られています.全体が一様に黒褐色なのが通称O型,前翅中室外縁付近にオレンジ色の2つの斑紋があるのがA型,前翅後端近くに水色の大きな斑紋があるのがB型,オレンジ色と水色の両方があるのがAB型と呼ばれています.ミドリシジミのメスではこの4タイプがみな観察されます.写真の個体はO型にあたるとおもいますが,よく見えるとA型の斑紋,B型の斑紋ともごく薄く表れています.

小合溜沿いの草地,2022年6月26日朝,晴れ

こちらのメスは,水色の斑紋だけがあるB型です.

小合溜沿いの草地,2022年6月26日朝,晴れ

ミドリシジミは夕方薄暗くなってから活発に飛び始める種類ですが,朝は飛び続けることなくすぐ下草に止まります.下草に止まって何をしているのか?不活発な時間帯なので休んでいるのか,動きの鈍いから隠れているのか,と思うのですが,朝露から水分を吸収する役にも立っているかもしれません.上の写真では,黄色い口吻を伸ばしているのが見えます.



小合溜沿いの草地,2022年6月19日朝,晴れ

毎年この時期になると,園内でミドリシジミを探し始めてもうすぐ10年ぐらいでしょうか,冬にミドリシジミの卵を見つけてから3回目の夏にやっと成虫に遭遇することができました.このとき見つけた成虫はこの1頭のみ.翅を広げることはありませんでしたが,翅裏の褐色の地色にオレンジ色の斑紋と白いラインがみえるだけで感無量です.後翅をゆっくり動かしていたので,翅表がちらっと見えて,褐色であることがわかりましたのでメスだと思います.

小合溜沿いの草地,2022年6月19日朝,晴れ

道から少し離れたイタドリの葉上に止まっているのをみつけて,翅が茎に隠れない角度に移動してやっと撮影したのが最初の写真です.子供の頃は近所の山でミドリシジミ類がたくさんいるところで育ちました.この都会の公園でも会えてうれしいです.オスの翅表の写真もいつか撮れればいいのですが.


ミドリシジミ卵探しの記録

小合溜沿いの疎林,2021年12月5日午前,晴れ

毎年冬の恒例行事となっている,ミドリシジミの卵探しをやってきました.今年も無事に卵を発見.ミドリシジミは園内でまだ絶滅していないようで,胸をなでおろしました.この「生息確認」は,自分が夏に成虫を撮影することができるまで続ける予定です.

小合溜沿いの疎林,2021年12月5日午前,晴れ

それにしてもハンノキの枝には,この卵と似ている模様がたくさんあります.何を探すのか決めていないと絶対見つかりませんね.



小合溜沿いの林,2020年12月27日午後,晴れ

ミドリシジミの成虫は昨年夏も遭遇できず.生息確認のための卵探しで,ハンノキの幼木で無事,卵を発見しました.これで今年夏も成虫を探す元気をもらえました.



小合溜沿いの林,2019年12月15日午前,晴れ

今年の初夏,ミドリシジミの成虫の時期は天候不順で,成虫がちゃんと羽化して産卵できたのか,ハンノキに卵を探しに来てみました.残念ながら見つかったのは,上の写真の卵だけ.これは孵化した穴がある,1年前の卵です.



園内の林縁,2018年12月24日午後,晴れ

この日も園内のハンノキを回っていたら,また1個だけの卵を見つけました.見つけたのは樹高3mほどの幼木の高さ1.5mのところ,親指よりも太いぐらいの枝の枝分かれ部分の下側です.今回も多数の卵塊は見つけられませんでした.卵を探す場所ですが,夏に下草がどのぐらいの高さになっているか,チョウが横から飛んできて止まりやすいかどうかなどで探す場所を決めています.



園内の林縁,2018年12月16日午前,くもり

ここ数年,毎年冬になると園内のハンノキを回って,ミドリシジミの卵探しをしていましたが,やっと初ゲット! ミドリシジミは緑色で金属光沢のある翅をもったチョウで,成虫は初夏に見られます.成虫が夏に卵を産むと,卵はそのまま越冬し,春の芽吹きの時期に幼虫が育ちます.ミドリシジミの植樹は園内にたくさんあるハンノキなので,冬に葉が落ちて見やすくなったハンノキを卵を探して舐めるように見て回るという,恒例の寒いイベントがついに実ったというところ.

シジミチョウの卵は,上の写真のような饅頭型をしています.中央にくぼみが1つ.ミドリシジミの卵は表面の凹凸が比較的少なく,全体がわずかにトゲトゲしているように見える程度です.もっと解像度の高い写真は参考5,6などに.

ミドリシジミは,23区内では,石神井公園と水元公園には生息しているといわれているようで,水元公園で撮影された写真,観察記録などを目にしていました(参考7-9).いつか園内で見たいと思っていますが,自分ではまだ遭遇できず.今年も夏に成虫の写真を撮影した方に写真を見せてもらったりしていましたが,成虫は観察される時期が短いことや,活動時には林の梢を高速で飛び回る種類であることなど,成虫はラッキーでないと難しいかなと思っており,卵で生息確認をしようと探していました.ミドリシジミの卵は,細めの木の幹や枝に産まれます.今回みつけたのはたった1コですが,数個~10個以上の卵塊を作ることも多いです.日の当たる暖かい日をみつけてまたチャレンジしてみようと思います.

園内の林縁,2018年12月16日午前,くもり

卵とものさしと.卵の直径は1mm未満です.



参考

  1. レッドデータブック. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  2. 希少野生生物(レッドデータブック・・・). “埼玉県”. https://www.pref.saitama.lg.jp/a0508/red/.
  3. 絶滅危惧種の保護に向けて. “千葉県 環境生活部 自然保護課 生物多様性センター”. http://www.bdcchiba.jp/endangered/endang_index.html.
  4. Neozephyrus taxila (Bremer, 1861) in GBIF Secretariat (2021). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/ja/species/1921901 on 2022-03-23.
  5. ミドリシジミの卵で卵探しの目を慣らす. “蝶超天国”. https://konty33.exblog.jp/21333667/, (参照 2023-06-18).
  6. ミドリシジミの卵探し(総集編) (4). “Try! Nature Watching! (since 2006.8.14)”. https://plaza.rakuten.co.jp/moto2521/diary/201203050001/, (参照 2023-06-18).
  7. ミドリシジミ. “東京23区内の虫 2”. http://tokyoinsects2.blog.fc2.com/blog-entry-406.html, (参照 2023-06-18).
  8. 都立水元公園2008/7/16:ミドリシジミ. “タカエコ”. http://takaeco1.cocolog-nifty.com/photos/now/mmoomidori1.html, (参照 2023-06-18).
  9. ミドリシジミ 蝶の観察会 水元公園 エメラルドグリーンのキラメキを!! “チーズのかぁちゃん **天然酵母パンはんなり**”. https://ameblo.jp/4seasonscafehannari/entry-11577834903.html, (参照 2023-06-18).
  10. . “”. , (参照 ).