写真とメモ

噴水広場入口,2023年3月21日午後,くもり

いまさらですが,水元公園の入口の看板に掲示された公園利用上の注意を紹介します.この看板に書かれているルールは,東京都立公園条例 第16条(行為の制限)にある内容(参考1)から,水元公園の事情に合わせて取捨選択したものということですね.東京都立公園条例は,すべての都立公園に共通のルールですので,いちばん守るべき基本的な内容ということになります.

  1. 植物や公園の施設を大切にすること。
  2. 広告、宣伝などは禁止します。
  3. ゴミは必ず持ち帰り、公園を汚さないこと。
  4. 園内での喫煙はご遠慮ください。
  5. 犬の糞は飼主が責任を持ってお持ち帰りください。
  6. 犬の放飼いはしないでください。
  7. 自転車、家具、家電など放置することを禁止します。
  8. バイクは乗り入れないでください。
  9. 自転車はスピードを落として通行してください。
  10. スケートボード等はご遠慮ください。
  11. ラジコン(飛行機、車、船)はご遠慮ください。
  12. 大きな音が出たり、上空へ飛び出し、人家等に迷惑を与える花火は禁止します。(公園内は火気禁止)
  13. その他、他人の迷惑になる行為や危険な遊びを禁止します。

「5. 犬の糞の始末」「6. 犬の放飼い」など,イヌの飼い主さんたちがほぼ完璧に守っている項目もあれば,「10. スケートボード等の利用」などのように,あまり守られていない項目もあります.守られていない項目については,この掲示が残念ながらあまり目立たないので,知らずにルール違反をしている例が多いのではないかと思います.ちなみに,ここで禁止されている「スケートボード等」には,スケートボード,ブレイブボード,キックボード,ローラースケート,インラインスケートなどがあてはまります.これらで遊んでいると,園内を巡回している警備員さんに使用をやめるように言われるのですが,掲示を見たことがないと,いきなり言われてびっくりするでしょうね.ちなみに,水元公園のとなりの「埼玉県営みさと公園」は都立公園ではないので,「スケートボード等」は禁止されていません.


園内の生き物についてのルール

ここから下は,このブログに関係する「生き物」についてのルールを,自分の認識している内容を加えた補足の説明です.公園の公式見解というわけではないのでご了承ください.

植物の採集,樹林の損壊は強く禁止

上のルールで,園内の生き物についてのルールは「1. 植物や公園の施設を大切にすること.」があります.このうち「植物を大切に」の部分は,都立公園条例 第16条「二 植物を採集しまたは損傷すること.」に相当する内容で,水元公園では特に重視されているようです.「植物採集禁止」の掲示が園内のあちこちにありますし,樹林(下草を含む)の保全のための林内立入禁止の看板や,禁止エリアを示すロープも設置されています.特に禁止の対象として想定されているのは,絶滅危惧種の野草を盗掘したり,山菜など食用になる野草を大量に採取していく人,鳥の写真を撮りたい人が林内に鳥を集める水場やえさ場を設置したり邪魔な枝を落としたりして林の環境を改変してしまうこと,林内に入ることで踏み分け道ができたりすることだと思います.関連する園内の看板はこちら

魚釣りは(ルアー/リールを使わなければ)OK,釣り以外の魚取りはNG

一方,都立公園条例 第16条には「三 鳥獣魚貝の類を捕獲しまたは殺傷すること.」という項目もありますが,水元公園の掲示にはこの内容がありません.水元公園の独自の事情で,ヘラブナなどの釣りが認められていることと関係しているのではないかと思います.水元公園の誕生前からずっと存在している小合溜では,歴史的に釣りが盛んで「釣仙郷」の別名もあります.この事情から,水元公園となってからも小合溜での釣りが認められています.ちなみに,都立公園で釣りが認められているところには水元公園以外にもあるようです.

これに関連する内容で,2005(平成17)年3月31日に水元公園の関連団体の合意によって定められた「準用河川水元小合溜における水面利用の要領」によると,魚の採取については以下の項目が定められています.

  • ① 投げ釣りの禁止(ルアー釣りなど、リール付竿による釣りの禁止)
  • ② 投網、四つ手など、釣りざお(糸)以外での捕獲の禁止
  • ③ 釣り糸、餌などのポイ捨て禁止

これによると,魚を採ってよい方法は釣りのみで,四ツ手網,「お魚キラー」などのワナ,手網を使ったいわゆる「ガサガサ」なども禁止ということです.また,釣りの中でも,ルアー釣り,リール竿を使うものは禁止となっています.関連する園内の看板はこちら

魚以外の動物は採取禁止

都立公園条例 第16条「三 鳥獣魚貝の類を捕獲しまたは殺傷すること.」に定められた「鳥獣魚貝の類」のうち,上に書いた通り,魚は釣ってもよいのですが,魚以外については都立公園の原則にしたがって捕獲・殺傷は禁止です.「鳥獣魚貝の類」とは何を指しているのか?ですが,鳥獣とは哺乳類と鳥類です.魚貝は魚介と同じ意味で「魚市場に流通するような水生動物すべて」を指します.ここにはヘビ(爬虫類)やカエル(両生類),陸生の昆虫類などの名前は挙げられていません.ではカエルや昆虫は捕獲・殺傷してもよいかというと,これらもダメなのではないかと思います.理由は「の類」に含まれるからです.

自分の考えでは、この条例で「鳥獣魚貝」が具体例として挙げられているのは、条例が制定された当時(昭和35年)の価値基準にしたがって,人々が捕獲・殺傷して問題となりそうなのは(あるいは都民の財産として守る価値があるのは)産業として売買可能な生き物である、という前提でこういう書き方になっているのではと思います.一方、現在では生態系の保護,生物多様性の維持,絶滅危惧といった考え方が一般化し,すべての種類の生物に価値があり,それらが全体として都民の財産であると解釈できます.すべての動物は捕獲・殺傷禁止と考えておくべきでしょう.

また最近,在来種は保護されるべきだが外来種は駆除されるべき,というような考えを耳にすることもありますが,公園のルールにはこれは定められていません.外来種だから捕獲・殺傷してもよいなどということはありません.

(禁止エリア以外での)昆虫採集は「子どもの遊び」程度ならOK,ガチ勢はNG

園内で動物を採集することが,実際に取り締りの対象となるかどうかについては,ずっと以前ですが,公園管理センターに方針をうかがったときの回答によると,子どもの遊びとして行われる程度のことは黙認する方針とのことでした.つまり,子ども(親子連れ)が手網など,釣り以外の方法で魚をとったり,虫取り網で昆虫採集するのは許容範囲ということです.子どもの遊びレベルではないものとは,大人による本格的な採集行為のことです.大人が四ツ手網でタナゴを売れるほど集めたり,大人が絶滅危惧種のトンボを捕りまくったり,というようなのは黙認できないということです.

子どもの遊びレベルでも,採集禁止や虫取り網持ち込み禁止などの指定エリアでは厳密に禁止されています.たとえば,水産試験場跡地の「水辺のさと」エリアでは虫取り網の持ち込みも禁止.また,水元公園は東京都指定の鳥獣保護区になっています(参考2,「水元公園及び小合溜(内溜を除く)の水面」が対象).すべての鳥と,ドブネズミ,クマネズミ,ハツカネズミを除く哺乳類については鳥獣保護管理法という国の法律でも捕獲が禁止されています.



参考

  1. 東京都立公園条例. “東京都”. https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00001484.html, (参照 2023-03-31).
  2. 鳥獣保護区について. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/birds/regulation.html, (参照 2023-04-03).
  3. . “”. , (参照 ).