金気水(鉄バクテリア) Iron-oxidizing Bacteria
最新の写真
水面に,鉄バクテリアによるものと思われる虹色に反射する薄膜ができていました.春先によく見られるものということですが,今年は2月前半からでき始めていたようです.
鉄バクテリアによる膜と,油膜との区別点としてよく書かれている(参考1,2),膜を壊したときの反応というのを試してみました.写真は,その辺に落ちていた枯れ枝で膜の一部を引っ掻いたときの様子です.左が before,右が after です.膜の中央付近を右下に向けて引っ掻いたところ,もしも油膜ならば,またすぐに油が広がって穴をふさいでしまうのに対し,鉄バクテリアの膜の場合は,壊れたところが壊れたままになる,というものです.上の写真では油膜ではないのがわかります.
写真とメモ
この春,ヨシ原の水面には,鉄バクテリアによって油膜のような膜ができていましたが,その水面の一画が赤褐色になっているのを発見.泥で濁っている感じではなく,褐色に濁った表面は金属的に光っています.鉄バクテリアの酸化鉄の沈殿が厚くなったもののようです.
水面の油膜のようなものに指を触れると,膜が小さく散り散り,バラバラになります.もしこれが本物の油膜だった場合は,油膜には一旦穴ができますが,すぐにまたつながるはずなのが,鉄バクテリアの膜と油膜との区別点とのこと.
薄く水の張られたヨシ原で,水面に油膜のようなものが張っているのに気づきました.秋に水面に膜ができた(水の華)のを調べたときに知ったのですが,油膜のように見えますがこれは油ではなく,水面に鉄の酸化皮膜が張っている状態で,地方によって金気水(かなけみず)と呼ばれることもあるもののようです.「かなけみず」という言葉が雰囲気が出ている,いい言葉に感じたのでページのタイトルにしてみました.春先の田んぼなどでよく見られる現象で,流れ込んでくる水に水酸化鉄がたくさん含まれていて,水中に鉄酸化バクテリア(鉄バクテリア)が多く生息していると,水酸化鉄の鉄が酸化されて,水面に薄い被膜ができたり,水底に赤褐色の沈殿ができるというものです.写真では水底に沈殿があるかはわかりませんが,水面の一部を光の反射の異なる油膜のような膜が覆っているのがわかります.
膜ができているのは,水の張られたエリアの周辺部です.角度によっては虹色に光る油膜のようにみえるのかもしれませんが,今回の角度では白っぽく見えるのみ.
鉄バクテリアというのは,水酸化鉄を酸化する能力をもつバクテリアをすべて含む概念で,さまざまなグループに分類されるバクテリアにこの性質を持つものがあるとのこと.したがって,顕微鏡で見たりしないとバクテリアの名前まではたどり着けなさそうです.
上の場所からちょっと離れたところ.ここは水面に泡がたくさん浮いていますが,その中でも油膜のように色が変わっているところがあるのがわかります.これも鉄バクテリア関係なのではないかと思います.
参考
- 鉄バクテリア. “京都市青少年科学センター”. http://www.edu.city.kyoto.jp/science/online/story/26/index.html, (参照 2024-03-03).
- 水路や河川に見られる茶褐色の沈殿物や油膜のようなものについて(鉄バクテリア). “枕崎市”. https://www.city.makurazaki.lg.jp/soshiki/shimin/19380.html, (参照 2024-03-03).
- . “”. , (参照 ).
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿