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水産試験場跡地,2025年3月30日午前,くもり

クヌギ林の林縁に面したクヌギの木です.以前,この場所のクヌギの葉に毛玉のような虫こぶ,クヌギハケタマフシを見つけたことがあります.その場所でクヌギの花(つぼみ)を観察していたら,花が虫こぶになっているのを見つけました.赤黒い中心部から白い毛が放射状に生えていますが,色合いと形がちょっと気持ち悪い感じです.クヌギハナカイメンフシという虫こぶらしく,クヌギハケタマフシと同じ種類のタマバチがつくる虫こぶのようです.

水産試験場跡地,2025年3月30日午前,くもり

拡大したところ.この虫こぶはクヌギの雄花の丸いつぼみにできていることがわかりました.

参考1にこのタマバチの生活環の図があります.春先に花の虫こぶで成長したハチはオスとメスになり(有性世代),葉に産卵し,葉に虫こぶをつくります.葉にできた虫こぶから育つ虫はすべて雌になり(無性世代),冬の芽に産卵します.この個体が春に孵化して,花で虫こぶを作るとのこと.有性世代と無性世代を繰り返すというのはアブラムシで聞く生活環ですが,虫こぶをつくるタマバチでもそういうのがあるのですね.



基本情報

和名
クヌギハケタマバチ
分類
節足動物門 昆虫綱 ハチ目 タマバチ科 Cerroneuroterus
英名
(in Jpn.) Kunugi-ha-ke-tamabachi; A Species of Oak Gall Wasp
学名
Cerroneuroterus japonicus (Ashmead, 1904)
Syn. Neuroterus vonkuenburgi Dettmer, 1934
状況
時期
123456789101112
花の虫こぶ1
葉の虫こぶ1

写真とメモ

水産試験場跡地,2022年11月6日午前,晴れ

水産試験場跡地の雑木林のクヌギの木に虫こぶがついていました.葉裏に直径1cm以下ぐらいの丸いかたまりがいくつもくっついています.表面にはツヤのある毛がびっしり生えていて毛玉のようです.このタイプの虫こぶは「クヌギハケタマフシ」(クヌギ・葉・毛・玉・フシ)という特徴を捉えた名前がつけられています.寄生しているのはクヌギハケタマバチという種類.このタマバチは参考1,2などに写真があります.

水産試験場跡地,2022年11月6日午前,晴れ

「毛玉」はちょっとかわいい感じです.その中央に突起があり,おそらくここが内部の空間とつながっていると思われます.

今回見つけたのはクヌギの葉についた虫こぶですが,参考1によると,春にはクヌギの花に虫こぶをつくるとのこと.参考2にはその写真もあります.参考2にある,花にできる虫こぶは,丸く膨らんでいるという点では今回のと同じですが,色の感じがあまりかわいくなく,むしろ気持ち悪い外見.春にここに来てまた探してみましょう.

水産試験場跡地,2022年11月6日午前,晴れ



参考

  1. 【国立科学博物館】1種のハチが9回新種記載されていた!体長3mmのハチがもつ特殊な生態がもたらした混乱に終止符(文化庁のプレスリリース). “PRTIMES”. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000226.000047048.html, (参照 ).
  2. クヌギハケタマバチ(クヌギハナカイメンタマバチ). “柏の葉の野鳥 Homepage”. https://kashiwanohasizen.ame-zaiku.com/musi/hachi/kunugihaketamabati/kunugihaketamabati.html, (参照 2023-01-01).
  3. . “”. , (参照 ).