産まれてから時間の立った卵(最新の写真)

小合溜沿いのヨシ原,2024年3月3日午前,晴れ

1週間前にヨシの湿地で見たヒキガエルの卵がそろそろ孵化する頃かとまた見に来てみました.孵化はまだみたいでしたが,卵の様子がちょっと変わっていました.ヒキガエルの卵はヒモ状につながる卵ですが,それが破れて,中の卵が周囲にこぼれだしているようです.

小合溜沿いのヨシ原,2024年3月3日午前,晴れ

よく見ると,1つ1つの黒い胚(オタマジャクシになる部分)のまわりを透明な丸いゼリーが囲んでいます.ヒキガエルの卵ってこういう構造になっているのですね.

小合溜沿いの草地,2024年3月3日午前,晴れ

ヒモ状のゼリーが破れて中から丸い透明なゼリーが出てきている様子です.中の黒い胚はまだあまり細長くなっていないので,孵化はもう少し先のようです.


園内の池,2024年3月3日午前,晴れ

こちらは別の池.卵の透明なゼリー全体が白くなっているように見えます.イモリの卵などはゼリー部分がはじめから白いですが,ヒキガエルのゼリーが白くなる???

園内の池,2024年3月3日午前,晴れ

拡大すると,ゼリーの外に細長く伸びた黒い胚がたくさんありました.もうすぐオタマジャクシになりそうです.

園内の池,2024年3月3日午前,晴れ

白くなっているところを拡大すると,細い繊維状のものがたくさん生えていて,試験管ブラシのようになっています.卵のゼリーが白くなったのではなく,カビが生えて白く見えているだけのようでした.この中の卵はさすがに死んでしまうでしょうか.産まれたあと時間のたった卵は,環境によりいろいろな変化をするようです.



基本情報

和名
アズマヒキガエル(亜種)、ニホンヒキガエル(種)
分類
両生綱 カエル目 ヒキガエル科 ヒキガエル属 (Bufo)
英名
Japanese Common Toad, Japanese Toad
学名
Bufo japonicus formosus(亜種)
状況
東京都レッドリスト(本土部)2020年見直し版 東京都区部における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類,東京都本土部全体における区分:[NT] 準絶滅危惧 (参考1)(ただし,亜種 アズマヒキガエルとして)
埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)加須・中川低地における区分:[NT1] 準絶滅危惧,全県における区分:[NT1] 準絶滅危惧 (参考2)(ただし,亜種 アズマヒキガエルとして)
千葉県レッドリスト(動物,2019)[C] 要保護生物 (参考3)(ただし,亜種 アズマヒキガエルとして)
IUCN レッドリスト 2023-1[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend decreasing(個体数減少傾向) (参考4)(ただし,種 ニホンヒキガエルとして)

写真とメモ

2024 ヒキガエルの卵

小合溜沿いのヨシ原,2024年2月24日午前,晴れ

数日前の夜に盛んにガマ合戦が見られたヨシ原で卵を探してみたところ,水底でたくさんの卵を発見.ヒキガエルのひも状の卵塊が,機器のタコ足配線を思わせるように,束になったり,からみあったりしていました.ペアが移動しながら卵を産んだり,産んだ後の卵が引っ張り回されたりすると,こんな感じになるかもしれません.

小合溜沿いのヨシ原,2024年2月24日午前,晴れ

拡大したところ.水底から沈殿がたくさん舞い上がってゼリー状の卵塊の表面に付いたようで,不透明になり,中の卵が見えません.


園内の池,2024年2月24日午前,晴れ

別の池に来てみましたら,こちらにもヒキガエルの卵が産まれていました.こちらもヒモ状の卵が引っ張られてまっすぐになっています.

園内の池,2024年2月24日午前,晴れ

拡大したところ.水が澄んでいて中の胚が見えます.黒い胚はほぼ球形なので,まだあまり卵割が進んでいない時期なのでしょう.たまに白っぽいのも混じっていますが,受精卵には黒い側(動物極)と白い側(植物極)があるので,それが見えているのだと思います.

園内の池,2024年2月24日午前,晴れ

園内の池,2024年2月24日午前,晴れ

水面近くに見えた卵がもっと拡大できました.まだ胚に変形の様子は見えません.

園内の池,2024年2月24日午前,晴れ


2024 ガマ合戦

小合溜沿いのヨシ原,2024年2月18日夜,晴れ

東京の昼の最高気温が19度,夜になっても寒くなく,10度以上をキープしていた夜.冬のガを探す街灯めぐりはあまり成果がなく,その帰りに水辺に寄ってみたところ,たくさんのヒキガエルのクックックックッという声とバシャバシャという水音が響き渡っていました.2月はじめから春を思わせる暖かい日が何度もあり,すでに産卵が始まって期間が経過しているのだと思いますが,カエルの警戒心は低く,ライトを照らしても逃げないのでたくさんのカエルを観察できました.

小合溜沿いのヨシ原,2024年2月18日夜,晴れ

今年のヨシ原は,ヨシの刈り方のせいか,非常にカエルが見やすいのがよかったです.ここのヨシ原のヒキガエルは去年一昨年と観察した園内の別の池よりも,小型のヒキガエルが多かったようです.

小合溜沿いのヨシ原,2024年2月18日夜,晴れ

たくさん写真を撮ったので,在来種のアズマヒキガエル(東日本亜種)型の個体と,移入種のニホンヒキガエル(西日本亜種)型の個体との区別をしてみました.交雑が進んでいるものとは思いますが,どちらの特徴をもつ個体が多いのかという意味です.この夜の写真では半々でした.

上のペアと下のオスの写真が,鼓膜が大きく,[鼓膜の直径]>[目と鼓膜の間の距離]となっている在来のアズマヒキガエル型の個体です.

小合溜沿いのヨシ原,2024年2月18日夜,晴れ

前肢が発達しているオスのようです.

小合溜沿いのヨシ原,2024年2月18日夜,晴れ

この上下の写真は,鼓膜が小さく,[鼓膜の直径]≦[目と鼓膜の間の距離](鼓膜の直径と同じかそれよりも広い)となっている移入したニホンヒキガエル型の特徴が反映されている個体です.

小合溜沿いのヨシ原,2024年2月18日夜,晴れ

ヨシ原の隣の道路を横断して,ガマ合戦に参入しようとしている個体.


ヒキガエルの卵

小合溜沿いのヨシ原,2017年3月5日午前,晴れ

水位が低くて部分的な水たまり状態になっているヨシ原に生まれていたヒキガエルの卵.この場所ではもう少し後の時期には大量のオタマジャクシを見るので卵をはじめてみつけて,納得だったのですが,この場所は,水を張るのにポンプで水路の水を組み上げないといけないような場所なので,あらためて,かなり人工的な環境でヒキガエルが育っているということを感じました.水元公園のカエルといえば,どこでもウシガエルの鳴き声が響き渡り,水辺はウシガエルだらけの印象です.ヒキガエルはオタマジャクシは大量に見るのですが,大きな成体をほとんどみたことがないです.普段はどこかの土中に潜って隠れているからでしょうか.

小合溜沿いのヨシ原,2017年3月5日午前,晴れ

カエルの卵の周りのゼリー部分の形は種類によって決まっていて,ヒモ状のゼリーがヒキガエル類の特徴.他のカエルは卵1個を包む球状のゼリーに包まれています.


ヒキガエルのおたまじゃくし

園内の池,2023年3月12日午前,晴れ

先日ヒキガエルの抱接を観察した池に行ってみました.岸近くの浅瀬にうごめく黒いかたまり.ヒキガエルの小さなオタマジャクシが池のあちこちに集合しているのが見られました.

園内の池,2023年3月12日午前,晴れ

オタマジャクシがいるのは水のごく浅いところですね.水底に繁茂している藻の上にいますが,おそらくこの藻もオタマジャクシのエサなのでしょう.オタマジャクシはまだ小さく,足などもまだ生えていません.

園内の池,2023年3月12日午前,晴れ

このオタマジャクシのかたまり以外に,同じ池にあと数カ所のオタマジャクシのかたまりができていました.オタマジャクシが集まってかたまりを作るのは,どういう理由があるのでしょう.エサが多いところに自然に集まるのか,身を守るために集団をつくる傾向があるのか.



小合溜沿いのヨシ原,2014年4月6日午後,くもり

浅い水中に群れるヒキガエルのオタマジャクシ.オタマジャクシのエサは水中の植物質とのことなので藻などの多いところに集まっているんだと思います.よく見るとまだ足などは生えておらず,オタマジャクシっぽい体型.あたりの水面はオタマジャクシの体からの粘液で泡立っている感じです.去年の春はこの写真を撮りたかったんですが,1ヶ月遅かったようです(この下の写真).


オタマジャクシからカエルへ

園内の水路,2013年5月3日午後,晴れ

早春からオタマジャクシが見られるヒキガエルですが,オタマジャクシの写真が撮れないかと思って,園内の水路を見てみたら,もう前足も後足も生えてカエルになる直前のオタマジャクシでした.浅い水辺に集まってうごめく真っ黒いオタマジャクシのかたまりが撮れたらと思ったのですが遅すぎたようです.

ヒキガエルは身近な感じがしていますが,東京都と千葉県では絶滅危惧種に指定されていました.これはヒキガエルの亜種のことと関係しているそうです.種としてのヒキガエルは日本全国にいますが,もともと関東地方にいるのはアズマヒキガエルという亜種で,西日本にニホンヒキガエルという亜種がいて,住み分けているそうなのですが,東京には西日本亜種のニホンヒキガエルが持ち込まれてしまい,アズマヒキガエルとの混血が進むことが心配されているそうです.そこで,純血の東日本亜種が絶滅危惧種の扱い.2つの亜種の区別点は,大きく育ったカエルで,眼と耳の間の距離を測ったりする必要があるようなので,ここで見られているようなオタマジャクシからカエルになりかけでは区別ができません.でも,外来種の多い水元公園ですから,東京都内で西日本亜種が観察されたポイントに水元公園が含まれていないとも限りません.なんとも微妙な問題です.

園内の水路,2013年5月6日夕方,くもり

もう尾もほとんどなくなり,おそらく肺呼吸を始めたぐらいのカエルが,夕方暗くなってきた頃,水際に上がってきているのを見ることができました.どんどん水路から這い登ってきています.

園内の水路,2013年5月6日夕方,くもり

ウジャウジャ.周囲は積み重なるようになったカエルでたいへんな感じです.これから夜にかけて壁を登って水路から出て行くのでしょうか.ヒキガエルからすると,生き残りのために必死.一方,これを食べる鳥とか魚とかザリガニとかにとっては,すごいご馳走が!

園内の水路,2013年5月3日午後,晴れ

ちょっと色調が違うように見えますが,これもヒキガエル?アカガエル


「ガマ合戦」の記録

2023 ガマ合戦

園内の池,2023年2月28日夜,晴れ

今年もガマ(ヒキガエル)の産卵を見にチャンスを狙っていました.2月19日は東京の最高気温が19度とこの冬一番暖かい日になったので,夜公園に行ってみましたが,夕方からおもったよりも冷え込んでしまい,オスの鳴き声が2,3回聞こえたのみ.すでに起きているヒキガエルがいるのはわかりましたが,産卵開始はまだ先のようでした.

この日(28日)は,その時以来の,最高気温19度の暖かい日.しかも夜になっても10度以上を保っていて期待大.池に行ってみたら,小型のオスがたくさん動き回っており,オスの鳴き声が盛んに聞こえましたが,メスの姿はまばらで,抱接しているのを見つけたのは2ペアだけ.まだ「ガマ合戦」のピークにはちょっと早かったのかなという印象でした.

上の写真は,浅い岸辺を動いていたオス.体が黒くて腹が白い個体.体は小ぶりですが,前足で体を持ち上げて姿勢がよいです.ヒキガエルのオスの前足は,メスを抱く筋肉が発達していて太くて長いです.オスは小さくクックックッと鳴きながら,速いペースで動き回っています.メスを探している?

園内の池,2023年2月28日夜,晴れ

上の写真はやっとみつけたメスらしい大きな個体.恒例の“亜種チェック”をしてみると,鼓膜のサイズが眼と鼓膜の距離の倍以上大きいので,典型的な東日本亜種アズマヒキガエルの特徴を持っていました.

園内の池,2023年2月28日夜,晴れ

この夜,2ペアしかみつからなかった抱接中のオスメス.ストロボで目が光っています.もう1ペアはオスメスとも水中に沈んでいたので写真がボケてしまいました.この夜はその後,ヨシ原のほうにも回ってみましたが,小型のカエルが動いている様子しか見られず,産卵はまだのようでした.

というわけで,残念ながら,たくさんのオスメスが集まって盛り上がる「ガマ合戦」が見られなかったので,翌日もチャレンジすることにしました.ここから下の写真は翌日の写真です.この日も最高気温は同じく19度でしたが,夜22時の予想気温が14度と,さらに温かい夜になりました.

園内の池,2023年3月1日夜,くもり

結果は,活動しているヒキガエルの数は前日の2倍以上に増え,産卵しているペア数も増えましたが,去年見たようなメスを争ってバシャバシャという風景はなし.

ただこの夜は,亜種チェックではじめて,面白い個体を見つけました.上の写真の個体は,典型的な東日本亜種ですが,下の写真の抱接中のペアが問題です.前のメスも,後ろのオスも,どちらも鼓膜のサイズと眼と鼓膜の間隔が同じぐらいです.西日本亜種のニホンヒキガエルの特徴が,鼓膜が小さく,眼と鼓膜の間の距離が鼓膜の直径よりも長い,というものなので,この個体は西日本亜種の特徴に近いと感じます.交雑種は中間的な特徴を示すらしいので,純粋な東日本亜種ではないということなのだろうと思います.東京で西日本亜種の侵入が問題になっている,というときに,水元公園でも見つかるのは予想通り,というところでしょうか.

園内の池,2023年3月1日夜,くもり

園内の池,2023年3月1日夜,くもり

道路を歩いて渡っていたカエルもいました.ずいぶん体色が明るいです.やせて小型の個体でした.
まとめ:今年観察できたのは小型のヒキガエルが多かった/産卵のピークはまだちょっと早かったかも,という感想でした.


2022 「ガマ合戦」

園内の水路,2022年3月5日夜,晴れ

「ガマ合戦」を探し始めて今年が3年目,今回はじめてじっくりと観察することができました.昨年の冬もヒキガエルが集まって何やらやっているのを確認できたのですが,ヨシ原の奥でカエルの動きをよく観察できませんでした.今年こそ見通しのよい場所で「ガマ合戦」を観察できればと,タイミングをずっと待っていました.

去年の冬は最高気温15度を超える暖かい日が2月中に何度もあり,その夜に公園で「ガマ合戦」に出会えたのですが,今年の冬は2月中ずっと寒くて,去年と様子が違いました.ずっと気温の変化を追っていましたが,去年の基準で候補となるような暖かい日は2月中はゼロ.3月に入り,やっと暖かい日が来ました.この日は関東では春一番が吹いたことが気象庁から発表され,午後から夕方まで強い風が吹きましたが,その風も生暖かい風でしたので,今夜こそ!と公園に行ってみました.

夜の9時半頃に到着,水路とその近くの池で,あちこちからクックックッという鳴き声とバシャバシャという水音がひっきりなしに聞こえています.水音の方をライトで照らすと,岸辺にはたくさんのヒキガエルが集まっているのを見ることができました.

実はここに来る前に,小合溜沿いのヨシ原にも行ってみたのですが,そちらでは鳴き声は少し聞こえるものの水音がまったく聞こえず,たまに見えるのは小型のオスばかりで,オスメスが包接しているところは見られませんでした.その後,こちらに来てみたら開催中の「ガマ合戦」に立ち会えました.風の強い日だったので,風向きなどの関係で場所によって気温が違ったりしたために,開催時期が場所によってずれたのかもと想像しています.もしかしたら,この夜が合戦初日だったのかもしれません.この後しばらくの間,暖かい夜には「ガマ合戦」が続くものと思います.

園内の水路,2022年3月5日夜,晴れ

水路の岸辺の様子.水音の方をライトで照らすとたくさんのヒキガエルが見えました.よくみると,オスがメスにおんぶする「包接」の状態になっているカエルがたくさんいます.上の写真では下のほうで3ペアのオスメスがくっついています.この状態で産卵,放精が起こるわけですね.

実はもう一つ面白いことがあって,それは「ガマ合戦」の周囲では大きなコイが泳ぎ回っていたことです.もしかしたら,産卵された卵を食べに来たのかも?

園内の水路,2022年3月5日夜,晴れ

ちょうどバシャバシャ水音がしたタイミングで撮影.カエルの動きで水面に波紋ができています.どういう動きをして水音が出ているのかヒントになる写真が撮れました.それが下の写真です.

園内の水路,2022年3月5日夜,晴れ

中央に足を思いっきり伸ばしたカエルが見えますが,実はこれはオスで,よく見るとその下には,このオスが包接しているメスがいます(メスは水面下に潜っているのでよく見えません).そこに,右から別の個体が近づいてきているところです.包接中のオスが,メスに近づいてきた他の個体をキックして追い払うときにバシャバシャ音が出ているんですね.

園内の水路,2022年3月5日夜,晴れ

道路を横切ろうとしているヒキガエルもいました.水路側から近くの池に移動中らしいです.こちらはお腹が膨らんでいないオス.

今回見たカエルも,鼓膜の大きさと目と鼓膜の間隔を比べると,鼓膜の大きさが間隔の2倍なので,アズマヒキガエルの特徴をもっているように見えます.


2021「ガマ合戦」探し

ヒキガエルが冬の水場に集まって産卵する「ガマ合戦」に,公園でいつか遭遇したくて,この冬は1月下旬から,暖かい夜には水場を見回りに行っていました.数回の空振りが続いた後,2月21日の夜に初遭遇しました.この経緯から考えて,おそらくこの日が今年のガマ合戦の初日です!

現地で観察したのは,22時から1時間ほど.水の張られたヨシ原のあちこちから,ヒキガエルの鳴き声と水音が聞こえます.水音のする場所は刻々と移動しているようです.聞こえる鳴き声は2種類あり,1種類は,ぐうっ ぐうっ ぐうっ,とゆっくりした声です.ヒキガエルの腹部をつかんだときの鳴き方に似ているので,オスに包接されたメスの声かなと思います.こういうのが,2,3箇所から.もう1種類の声は,クックックックックッという,小さな音ですが,はやくて,澄んだ音です.オスがメスを呼んでいる声かもしれません.これも2,3箇所の違う場所から聞こえます.何箇所から聞こえてきたバシャバシャという水音は移動しながら,だんだん集まってくるようです.気温がどんどん下がってきたからかもしれませんが,22時時点では動きも鳴き声も活発でしたが,23時頃には速くて小さい方の声が聞こえなくなりました.

なお,ヨシ原の奥の方で行われている夜間のイベントを撮影するのは自分にはちょっと難度が高すぎました.双眼鏡ではカエルの姿が見えるのですが,写真を撮ろうとすると手前のヨシにピントが合ってしまいます.もたもたしているとカエルが移動してしまうので,いい写真は残せませんでした.残念.

小合溜沿いのヨシ原,2021年2月21日夜,晴れ

上の写真は,ヒキガエルの金色の目が見えているところ.ピンぼけ.

下の写真は,中央付近に白黒模様のヒキガエルの腹部の模様が見えています.あの辺りで何頭か集まって水面から上に体を出していたのですが…

小合溜沿いのヨシ原,2021年2月21日夜,晴れ


2020「ガマ合戦」探し

今年のヒキガエルの産卵がまだかなと夜の公園に通っていましたが,3月10日付のツイート(参考8)によると,もう公園にはヒキガエルのオタマジャクシがたくさんいるとのこと.ということはもうとっくに産卵は終わっている模様.残念.

園内の池,2020年3月10日夜,くもり

園内で,ヒキガエルは卵かオタマジャクシしか見たことがありませんでした.ぜひ大きなヒキガエルを見たいと,たくさんのヒキガエルが早春の水場に集まって産卵するシーン,いわゆる「カエル合戦」,「ガマ合戦」を狙ってみることにしました.数年前にヒキガエルの卵を見たのは3月5日,水元公園で見られたガマ合戦の記事では2月23日(参考5)ということでした.また,ネット上の東京近郊の「ガマ合戦」情報を探してみたところ,今年は暖冬で例年より1ヶ月早かったとか,どこそこではじまったとか聞こえてきていました.2月から何度か,夜の公園の池を回りましたが気配がなく,でも水中にはヒキガエルの卵はまだ見つかっていませんでした.この日までに,また少し暖かくなったので来てみたところ,園内の池で,はじめて大きなヒキガエルに遭遇できました.ただ,ガマ合戦(ヒキガエルの産卵)はやっていませんでした.このあと,公園ですでにヒキガエルのオタマジャクシが見られているという情報を見つけ(参考8),実はもうずっと前に産卵が終わっていたらしいのを知りました.残念.

この夜この池で見つけたヒキガエルは3個体です.オスなのかメスなのかはわかりません.ちなみに,このヒキガエルは,懐中電灯の光を当てると,全く動いていませんでした.じっと見ていても微動だにしません.しかし,しばらく光を照らさないでいると,その後,姿勢が変わりますので,光があたっているときは,自衛のために静止しているということなのでしょう.ヒキガエルはゆっくりのそのそ歩くだけで,ウシガエルのようにジャンプして素早く逃げられないので,こういう自衛の方法になるのでしょう.

園内の池,2020年3月10日夜,くもり

別角度からの写真.2頭とも姿勢がよく,非常にりりしいヒキガエルなので,カエルの置物のようでした.金色の目が印象的です.ヒキガエルの体の腹面は,黒と白のまだら模様と記憶していましたが,この2個体はどちらも黒っぽいところがないですね.

園内の池,2020年3月10日夜,くもり

上の写真が,この夜見た3個体目で,こちらは水中にいました.園内で見られるヒキガエルが,東日本亜種のアズマヒキガエルなのか,西日本亜種のニホンヒキガエルなのか,区別してみました.東日本だからアズマヒキガエルと決めつけることはできなくて,西日本亜種が首都圏に移入してしまい,遺伝子が混じり合ってしまう「国内外来種」状態になっているようです(参考6).2つの亜種の違いは,「目と鼓膜の間隔」と,「鼓膜の直径」との関係とのこと.アズマヒキガエルは,上の写真のように,鼓膜が大きく,目と鼓膜の間の距離よりも(2倍)大きいのに対し,西日本のニホンヒキガエルでは鼓膜が小さく,鼓膜の直径よりも目と鼓膜の間の距離のほうが長いとのこと(参考6,7).

園内の池,2020年3月10日夜,くもり

しばらく後にライトで照らしてみたら,カエルは2頭とも別の杭に移動して,姿勢も変わっていました.照らされていないときにはマイペースで活動しているようです.観察する時は,光を照らしっぱなしにするのはよくないかもしれません.

体はホッソリしていてスマート.後ろ足の指が長いのは他のカエルと同じです.



参考

  1. レッドリスト・レッドデータブック・植生図. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  2. 埼玉県レッドデータブックについて. “埼玉県生物多様性センター”. https://saitama-biodiversity-center-cessgis.hub.arcgis.com/pages/saitamardb.
  3. 絶滅危惧種の保護に向けて. “千葉県 環境生活部 自然保護課 生物多様性センター”. https://www.bdcchiba.jp/reddatebook_redlist.
  4. IUCN SSC Amphibian Specialist Group. 2021. Bufo japonicus. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T54673A177177294. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2021-1.RLTS.T54673A177177294.en. Accessed on 23 February 2024.
  5. いざ!蛙合戦!! “水元かわせみの里水辺のふれあいルーム”. https://mkawasemi.exblog.jp/12972350/, (参照 2024-02-23).
  6. アズマヒキガエル. “国立環境研究所 侵入生物DB”. https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/40240.html, (参照 2024-02-23).
  7. ニホンヒキガエル?アズマヒキガエル?しまねに生息するのはどっち? “しまねのいきもの”. https://simanenoikimono.com/hikigaeru/, (参照 2024-02-23).
  8. Kazuko Hase@toad_tadpole のツイート https://twitter.com/toad_tadpole/status/1237314415831044097, (参照 2024-02-23).
  9. . “”. , (参照 ).