基本情報

和名
コイ
分類
条鰭綱 コイ目 コイ科 コイ属 (Cyprinus)
英名
Common Carp, Eurasian Carp
学名
Cyprinus carpio
状況
IUCN レッドリスト 2023-1[VU] Vulnerable (危急) A2ce ver 3.1, Pop. trend unknown (個体数動向 不明) (ただし,原産地である黒海,カスピ海,アラル海のもの)(参考1)
環境省レッドリスト2020[LP] 絶滅のおそれのある地域個体群 (ただし,「琵琶湖のコイ在来型」について)(参考2)
IUCN/ISSG 世界の侵略的外来種侵略的外来種(日本を含むアジア,ヨーロッパ,アフリカ,北中南米,オーストラリア,),原産(ヨーロッパからロシア,カザフスタン,中国,モンゴル,ベトナムなどのアジア,アフリカ,米国などの一部) (参考3)

写真とメモ

最新の写真

小合溜(カワセミの里),2020年11月15日午前,晴れ

カワセミの里の裏,小合溜の水路の分岐の上を通る橋です.橋の上でしばらくぼーっと景色を見ていたら,いつのまにか真下の水面に大きなコイが20頭以上も寄ってきていました.このあたりのコイはエサをもらい慣れているのかもしれません.高い橋の上からの写真で,比較対象物がないので,魚のサイズがどのぐらいなのかはっきりとはわかりませんが,コイの体長と体幅の様子から,60cm前後のコイが多くて,中にもっと大きいのがぽつぽつ混じっている感じかなと思います.



小合溜(外溜,水元大橋付近),2019年12月20日午後,晴れ

冬の釣りでコイ.この日,2頭釣れたうちの大きいほうが上の写真.全長63cm,体重3.15kgです.全体に体が太く,お腹が少し大きいように見えるので,春に向けて卵巣が発達しはじめたメスでしょうか.体色が明るくて,前に釣れた黄色いのと比べるとコイの体色にはバラエティがあるなと.この日はもう1頭,50cm,1.90kgもつれたのですが,釣れた仕掛けは9尺ヘラ竿,ハリスフロロ0.6号(シーガー グランドマックスFX),ヘラ用の小さいハリのバラサ4号という,大きめのヘラブナならぶっちぎっていきそうなものでした.苦労して上げたとはいえ,水温の低い冬の小合溜のコイの運動性は,かなり落ちるんですね.


※ コイを釣る方,水元公園ではリール竿を使った釣りは全域で禁止されていますのでご注意ください.

小合溜,2019年5月12日午前,晴れ


小合溜(外溜,水元大橋付近),2019年8月22日朝,くもり

小合溜で釣れたコイのサイズ更新,70cmちょうど,重さは4.1kgでした.尾びれが大きくてきれいな個体です.体全体の色が明るくて,尻ビレから尾びれの下半にかけて特に黄色い色がついています.

釣れた時間帯は朝明るくなって来たぐらいの「朝まずめ」です.先日小合溜でソウギョらしき魚を見つけてから,いつかここでソウギョを釣るのが目標になったので,その対策として「エサを浮かせた釣り」を今回はじめて試してみました.ちぎった食パンをエサにした,いわゆる「パンプカ」(パンコイ)です.仕掛けは,大物にも対応しやすいような6mのべ竿,ハリは(返しをつぶした)伊勢尼7号,ハリスフロロ2.5号,道糸ナイロン4号,ハリスは細い穴のある発泡スチロールの浮きを通して,カミツブシおもり2個を使って浮きを固定.この釣りがうまくいけば,エサを変えると大きなソウギョも狙えるのかなと.

薄暗いうちから釣りはじめて,最初はパンをまるごと食ってくれたコイがいましたが,次第に明るくなるにしたがって水面でバシャッとエサを弾いて反転するコイばかりになりました.これは仕掛けの付いているパンも,付いていないパンも同様でしたので,コイは「糸が見えると食わない」のではなく,水面に浮いたパンというエサをそもそも警戒して食べなくなるのではないかと思います.明るくなるとコイの警戒心が増すのではないでしょうか.小合溜で「パンプカ」を試してみて,この釣りは,コイの警戒心をいかにしてかいくぐるかという釣りかなと感じました.

小合溜(外溜,水元大橋付近),2019年8月22日朝,くもり

小合溜(外溜,水元大橋付近),2019年8月22日朝,くもり



小合溜(外溜,水元大橋付近),2018年10月28日夕方,晴れ

秋が深まるに連れ,岸の近くに大きなコイがエサを取りに来なくなったのか,釣れるのが20~30cmぐらいの小さなコイばかりになりました.大きなコイがかかってヘラブナ用の仕掛けが壊されることもなくなりましたが,ちょっと寂しい.この日も何匹かフナとコイが釣れたうちの一番大きかったのが上の写真.全長35.5cm(標準体長29cm),体重550gです.このぐらいのコイの体型はもっと小さなコイと同じく,フナのような側扁した体で,大きな尾びれを持っています.ギンブナヘラブナほど体高が高くないので,同じ全長のフナよりも体重も軽いはずなのに,フナよりも引きは強かったですね.

小合溜(外溜,水元大橋付近),2018年10月28日夕方,晴れ

頭部の拡大.



小合溜(外溜,記念広場),2018年7月8日朝,晴れ

ちょっと大きめのコイ釣れました.昨年から何回かコイ釣りにチャレンジして来ましたがやっとです.全長は 56cm,体重は 2.1kgでした.まじまじとコイの体型を見てみると,コイの体型は小さいときはフナに似ていますが,大きくなるに従って体が長くなり,厚みが増していくのに対し,体高があまり高くならないのですね.円盤状体型から円筒状(あるいは紡錘状)体型へ,という感じ.頭が長くて,口が大きいのは小さい頃からの特徴です.体色は水中で背中を見るとかなり黒っぽく見えますが,水から上げたときの側面の体色は金色といってもよいぐらいの色.

釣り方はのべ竿のウキ釣りです(園内はリール竿禁止).エサは練り餌(浮子鯉 2:凄グル 1),仕掛けはハリがヘラスレ6号,ハリスはフロロカーボン3号,道糸ナイロン4号,竿がグラスロッド 3.6m(二代目 剛)です.小合溜に住んでいるコイのサイズとしては,大きいのはきっと1m近いのもいると思うので,50cm台というのは中ぐらい,これよりも大きくなると数が少なくなるものと思います.コイの生態として,ある程度の大きさになると岸の近くの浅いところにもエサ取りに回遊するようになるそうなので,岸の近くで釣れるサイズとしてはごく小さい方,といえるかもしれません.もし,これよりも大きいのが掛かったとしたら,今回の仕掛けだと釣れないかもしれません.

小合溜(外溜,記念広場),2018年7月8日朝,晴れ

頭部の拡大.コイのヒゲ,2対あるのですが,太くて長いヒゲの上に細いヒゲが見えます.早く水に戻せるように撮影を急いでいたので,ウロコの大きさを測るところまで気が回りませんでしたが,ウロコが大きいですね.今回ハリがかかっていたのは,口の斜め上側でしたが,口の下の縁に膨らんでいるのはデキモノのようなもの?



小合溜(外溜,記念広場),2017年9月24日夕方,くもり

小合溜で小ゴイが釣れました.フナとの違いはヒゲの有無だけではなく,体形や体色,行動などいろいろ違いますね.コイは頭が小さくて体が細長く,ヒレがみな大きく,体色は金色っぽくて,ヒレは赤っぽいです.釣った後,水槽内で暴れる傾向が強く,おとなしくなるまでにフナよりも長い時間かかります.

水路を泳ぐコイを上から撮った写真だけでなく,体全体の見える写真が載せたいということで,コイ釣りの勉強をして釣ってみました.しばらく空振りが続きましたが,やっと釣れるようになりました.延べ竿で,コイ用の練り餌(マルキュー 天下無双)に,グルテンえさ(凄グル)を2:1で混ぜたものを使ったウキ釣りです.もし大きい魚が掛かっても糸を切られないようにと,太めのミチイトとハリスをつけましたが,結局かかったのはこの21cmのが最大サイズでしたので,よかったような残念なような.野生のコイの場合,21cmというサイズは,生まれて2,3年目のサイズで,まだ成熟していない魚のようです.成長が速いのですね.

小合溜(外溜,記念広場),2017年10月9日夕方,くもり

こちらも釣れたコイ.サイズは14~15cmぐらい.この大きさは生まれて2年目に入ったコイでしょうか.この釣り方で釣れたことのある魚は,コイなら10cm~20cmぐらい,フナなら10~25cmぐらいです.エサが練り餌で使っている針が大きいので,たくさん住んでいるモツゴタモロコはたまにスレ(針が口でなく体のどこかに偶然引っかかる)で釣れるぐらいなので,煩わされないです.



小合溜の水路,2014年8月3日朝,晴れ

去年コイを撮影できた場所(2枚下の写真)と同じ水路ですが,水面まで繁っていたオオカナダモが藻刈りされていたこと,風雨がない穏やかな朝だったことから,澄んだ水中に悠然と泳ぐコイの姿がよく見えました.

小合溜の水路,2014年8月3日朝,晴れ

このコイのサイズは40~50cmぐらいでしょうか.すぐ近くで見ている自分を気にする様子もなく泳ぎまわっていました.



小合溜の水路,2013年7月28日朝,晴れ

早朝,小合溜につながる細い水路で結構大きなコイを見つけました.昼間は小物釣りやザリガニ釣りの人が多く賑わう場所なのですが,朝は静まり返っています.オオカナダモがモジャモジャと繁茂する水路に,大きなコイが何匹もゆらーっと泳いでいました.コイは水面近くをハフハフして何か吸い込みながら移動していくのでエサを取っているのでしょうか.このコイを狙って釣れないものなのでしょうか.

バードサンクチュアリ,2013年7月28日朝,晴れ

バードサンクチュアリの観察窓からすぐ見える水面には,朝は何匹もコイが見えます.5,60cmかそれ以上はありそうな巨大なのもいます.バードサンクチュアリ付近は釣り禁止なので特に大きなコイも多いのでしょうか.


複雑なコイの事情について

コイの分類と種としての現状について調べてみると,なかなか難しい位置づけのようです.日本のどこにでもいる普通のコイ(Cyprinus carpio;キプリヌス・カルピオ)は,もともとの原産地はヨーロッパ~中国なのですが,日本には中国から食用などのために大昔に持ち込まれたものが広まったそうです.現在の日本では,コイはもとから日本に住んでいたかのように環境的にも文化的にもコイに馴染んでしまっていますが,同様に世界のあちこちに持ち込まれていて,全世界的に見れば,コイは侵略的外来種として認識されています(参考3).また,もともとコイが住んでいた中国よりも西の地域(西アジア,東ヨーロッパなど)にも,中国産のコイが持ち込まれており,こちらは同じ種類ではあるもの,遺伝子が違う中国のコイが原産地のコイと混ざってしまって(いわゆる遺伝子汚染の状態),中国産のコイが侵入していないわずかな地域では,原産地の純粋なコイが IUCN の絶滅危惧種に指定されています(参考1).

上の話だけを考えると,日本にはもともとコイは住んでいなかったのか,ということになるのですが,ここに別の話題も加わります.環境省の絶滅危惧種に,「琵琶湖のコイ在来型」が指定されているのです(参考2).これについての説明は,Wikipedia(日本語版)が簡単でした(参考4).琵琶湖や日本の大河に住むコイは,体高が低い特徴的な体型をしていて,中国から大昔に持ち込まれたコイとは違う,もっと昔から日本在来のコイがいたのではないかと言われていたそうです.遺伝子を調べたら,別種といってもよいぐらい違うことがわかったため,研究が進めば,きっと近い将来,別種(あるいは別の亜種)として記載されることになりそうです.これが環境省の絶滅危惧種になっている(今はまだ普通のコイと分類上は区別されていない)「日本在来型のコイ」とのことです(参考2).ということは,こちらも中国由来のコイとできるだけまじってほしくないわけですね.

もうひとつ,ニシキゴイの由来の話も面倒くさい話があります.コイ属には普通のコイ以外にもたくさんの種類がいるのですが(参考5),日本の改良品種であるニシキゴイは,コイとは別種で中国からベトナム,ラオスなどに住む Cyprinus rubrofuscus(キプリヌス・ルブロフスクス)由来なのではないか,またはコイとこの種類の交雑種からできたものではないかと考えられているそうです(参考1).もしそうなら,ニシキゴイが野生化したら,これも普通のコイとはまた別の外来種ということになるのでしょうね.

何を外来種として考えるのかというのは難しい問題ですね.



参考

  1. Freyhof, J. & Kottelat, M. 2008. Cyprinus carpio. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T6181A12559362. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T6181A12559362.en. Downloaded on 17 January 2021.
  2. レッドデータブック・レッドリスト. “生物情報 収集・提供システム いきものログ” (環境省生物多様性センター). https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/booklist.
  3. Global Invasive Species Database (2017) Species profile: Cyprinus carpio. Downloaded from http://www.iucngisd.org/gisd/species.php?sc=60 on 11-11-2017.
  4. “コイ”. ウィキペディア日本語版. 2020-12-13. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%A4, (参照 2021-01-17).
  5. 鯉(コイ)の種類一覧.“いちらん屋”. http://ichiranya.com/technology/078-carp.php.
  6. . “”. (参照 ) .