ゲンゴロウブナ(ヘラブナ) Japanese White Crucian Carp
基本情報
- 和名
- ゲンゴロウブナ(琵琶湖に分布する原種),カワチブナ,ヘラブナ(飼育改良種)
- 分類
- 条鰭綱 コイ目 コイ科 フナ属 (Carassius)
- 英名
- Japanese White Crucian Carp
- 学名
- Carassius cuvieri
- 状況
- IUCN レッドリスト 2023-1:[EN] Endangered (危機) A2c; B1ab(iii,v) ver3.1, Pop. trend decreasing (個体数減少傾向)(ただし,琵琶湖と淀川水系について) (参考1)
- 環境省レッドリスト2020:[EN] 絶滅危惧 IB 類 (ただし,原産地である琵琶湖にて)(参考2)
写真とメモ
最新の写真
水辺のさとと小合溜のつながっている水路で数頭のフナが水面近くに浮かんでぱくぱく口を動かしていました.見る限りエサがあるようには見えず,おそらく水中の溶存酸素が不足して水面に上がって呼吸していたのではないかと思います.フナは体の一部しか見えませんが,大きさは20cm~25cmぐらいでしょうか,パクパク動かす口はあまり長く伸びず受け口になっていて,目がも下についているようなバランスの顔は,どうやらヘラブナに見えます.
自然保護地区「水べのさと」の半分を占める復元池は,この夏ずっと改修工事をやっており立入禁止でしたが,改修が完了して入れるようになっていました.水際が補修されたり,通路が整備されたりしているのを見ながら一周りしているときにフナの群れを見つけました.小合溜でフナが水面近くに浮いてきているのを見ることはまずありませんが,この水路は人が来ないのでフナが油断できる場所なのでしょう.「水辺の里」の復元池は,水路としては小合溜とつながってはいますが,その間は板で仕切られていて,水中の動物は行き来できないようになっています.
春になって何回か小合溜で釣りをしましたが,3月に釣れた一番大きなヘラブナが上の写真.水温が上がってきたとはいえ,まだ魚がエサを食べる動きが小さいと見えてアタリが小さく難しいです.また釣るときの引きも,魚が大きいので,重いのは重いのですが,魚の引き自体はまだまだ弱いです.
全長を測ったら35cm.これまで外溜で釣れたヘラブナの自分の記録が35~6cm程度なので,ほぼ自己レコードなのですが,ここで個体数が多いのはこのぐらいのサイズまでなのでしょうね.ただ,小合溜で釣れたヘラブナのサイズを測ってネット上に載せる人など自分以外いないらしく,もっと大きいのがいるのかどうか情報がありません.広い小合溜ですから,きっと40cmオーバーまで成長した個体もいると思うので,いつかそういうのが釣れたらいいなあと.
小合溜のヘラブナについて(2018)
ヘラブナの原種にあたるゲンゴロウブナは,小型で雑食性の種類で,琵琶湖・淀川水系の特産種,環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されています.ゲンゴロウウナの養殖は明治時代に淀川水系ではじまり,より大型で体高が高い個体が選別されてカワチブナと呼ばれ,これが全国に盛んに放流され,現在のようにヘラブナと呼ばれて定着したそうです.水元公園(小合溜)は,有名なヘラブナ釣り場らしく,いつも釣り人がいますが,昭和初期の戦前にはすでに小合溜でもヘラブナが釣られていたそうなので(参考7),「国内外来種」ではありますが長い歴史があります.その後の小合溜のヘラブナについてわかりやすく書かれていたのが,ヘラブナと小合溜の両方に通暁している方のブログです(参考8).内溜は現在でもヘラブナ釣り堀と化していますが,かつてはもっと小型のヘラブナもたくさん釣れたこと,かつて内溜のフナが外溜に逃げ出す事件があって以来,外溜でもヘラブナが釣れるようになったこと,内溜ではウが小型の魚を食べてしまうようになり,大きなのしか釣れなくなったことなど.また,水深が4m近くある内溜に比べて,外溜は深いところでも1.5mぐらいしかなく,岸近くは特に浅いので春の乗っ込みシーズンがもっとも釣れる時期であることなど,何気なく書いてあるだけなのですが,勉強になりました.
ヘラブナのエラを解剖してみた(2018年5月6日)
フナのページで試したエラの解剖(鰓耙数の計測)を,こちらでもやってみました.ヘラブナは釣り人みなさんで大事にしているのは知っていますが,ぜひ一度確認してみたかったので,ご了承ください.写真左は片側から取り出したエラ.ギンブナでは,エラが片側に3枚ずつ入っていましたが,このフナは4枚あるようにみえました.数え方が変だったのかな? 一番外側のエラの拡大が右側です.鰓耙(さいは,白いクシ状の部分)は一番外側のエラだけ長く発達しています.鰓耙は水とともに口に入ったものを濾して食べるときに使うところで,植物プランクトン食のヘラブナでは鰓耙の数が他のフナよりもずっと多く,すき間が細かいので濾し取る能力に優れているという特徴があります.数えられる鰓耙数が約80,エラを体から切り取るときに一番端から切り取れていない疑惑(「10」の左側がちぎれている疑惑)があるのでおそらく本来の鰓耙数は90以上程度なのではないかと思います.ヘラブナの鰓耙数は100前後といわれていて,一方,雑食性のギンブナでは半分の50程度までということで,おそらく写真の個体はヘラブナに間違いないです.ちょっと微妙に納得行かないのは,エラの端まで鰓耙を数えられているのかどうかがわからないので,100といわれるヘラブナの鰓耙数より少なさそうなのが測定誤差のためなのか個体差なのか判別できないところです.次にヘラブナを釣ったときにも,もう一度だけ,エラの解剖をしたくなるかもしれません.
もう一点,興味があるのはヘラブナともギンブナともつかない微妙な外見のフナが見つかることがあるそうで,通称「半ベラ」と呼ばれるそうなのですが(参考9),そういう外見のフナが見つかったら,その個体のエラもぜひ見てみたいです.「半ベラ」の正体は,体高が高く発達したギンブナをそう呼んでいるにすぎず,遺伝的なヘラブナとフナの交雑個体というわけではないとする考えがあるようですが,そういう個体の鰓耙の数はどうなっているでしょう?
これまで撮影した写真(時系列順)
夕方からコイを狙って小合溜.グルテン多めのエサでオモリベタ.コイのアタリはなく,暗くなってから浮きにコイのアタリのような派手な食い上げのアタリがあって,釣れてきたのが写真のヘラブナ.全長35.5cm,重さ 0.60kg,体長体高比 2.43(体長28cm,体高11.5cm)でした.以前冬に釣れたのと同じ全長ですが,今度のは体高があって体が一回り大きく感じます.小合溜は冬のほうが大きなヘラブナが釣れるのかなと思っていましたが,夏でも大きな個体が岸のそばにいることはいるんですね.
自分の,小合溜でのヘラブナのサイズ記録更新.全長35.5cm,重量0.70kgです.体長体高比=2.75(標準体長29.5cm,体高10.7cm)なのであまり体高は高くありませんが,体型はヘラブナらしい感じがします.背が張っていないというのではなく,体の後半が長く伸びている印象です.バラケとグルテンの底釣りです.この日は表面水温が15度で,水中ももう春だなというところ.乗っ込み待ちの時期になりました.お腹がパンパンの大きなメスを一度釣ってみたいです.
冬の釣り.冬と言ってもまだ水温は10℃前後で,しかもこの日はちょっと暖かい日.小合溜の厳冬期の水温は5℃以下なので,この時期はまだ魚がかなり動いていると思われます.釣れたうちの一番大きなフナ.両グルテンの底釣り.体型,体色などはヘラブナっぽい特徴を持ってます.全長は33.5cm(0.42kg)で自分にとっての小合溜記録更新.
ヘラブナが釣れたらやろうと思っていた,口がどこまで伸びるのかの確認です.マブナは口が伸びてヘラブナは口が伸びないというのは本当なのかどうか.
確認結果は,ヘラブナでは上唇はあまりのびないが,下唇は伸びる,ように見えます.ギンブナ(マブナ)と比べてみなくては.
秋も深まってきましたが,小合溜(外溜)では大きめのフナがポツポツ釣れてるようです.上の写真はこの日一番大きなフナ.釣れた魚をその場で見て思ったこと.「体が白く光り,体高があって,目が下についている可愛い顔… これはきれいなヘラブナだ!ヘラブナのサイズ更新!」ところが撮影した写真をあとで見てみたら,体型も体色も尾ビレの長さもどれもイマイチ,ほんとにヘラブナ?と感じてしまう写真になってしまいました.世に「半ベラ」「合いベラ」などと呼ばれているフナは,もしかしてこの写真のようなフナのこと?とひとりで首をひねっています.その場ではヘラブナ間違いなしと思ったのでリリースしましたが,もし「半ベラ」の可能性ありなら,また犠牲になってもらい,以前試したように解剖して鰓耙の数を計測してみたかったところ.
一応数値データでは,全長29.7cmのほぼ「尺ブナ」.標準体長23.7cm・体高10.1cmで体長/体高比2.37.もちろんこの数値ではギンブナとヘラブナを区別することはできません.
顔の拡大.ギンブナのような,目が上についた大人顔ではなく,どちらかといえば目が下についた子供顔に見えるのですが…
小さなフナだったのですが,この魚が釣れた瞬間,今まで釣れた中でいちばん体高がある!と感じたので撮影.撮った写真をあとでみても,その場で感じたほどの強い印象を受けないのが残念.数字上は,全長26cm,標準体長21cm,体高9.0cm,体長体高比2.33なので,これまでヘラブナと判定した魚とほぼ同じ.背中の盛り上がりがもこっと目立ったのが体高がある印象につながったのかもしれません.
この夏から秋にかけて,何度かヘラブナ狙いの釣りをしてみました.夏の間はギンブナに混じってヘラブナも何頭も釣れるときもあったのですが,夏の終わりから秋にはエサを打つとすぐにクチボソの大群に囲まれるようになり,群れが水面からも見えるぐらいになって釣りにくく,またギンブナや小コイに対するヘラブナの割合が少なくなった気がします.外溜の釣り人の数も,それに対応するように増減していることがわかりました.人がたくさんいるときは釣りやすいとき!わかりやすい!
上の写真は,寒い秋の雨の日の午後,クチボソたちが浮きを激しく動かす中,やっと釣れた個体.全長 28cm,標準体長 20.5cm,体高 8.5cm,体長/体高比 2.41このときは上鉤トントンの底釣り.ダンゴえさとグルテン.
下の個体は,夏の朝にわかりやすいアタリ連発で立て続けにヘラブナばかり数頭釣れたうちの1頭.見よう見まねの初心者の自分でもこんなに釣りやすい日もあるのかと.全長 24cm,標準体長 17.5cm,体高 7.5cm,体長/体高比 2.33.ズラシありの底釣り.両グルテン.
これらの写真は自分にとって,ヘラブナの特徴が比較的よく現れていた個体です.でも,ヘラブナの特徴はあるけれど,ギンブナっぽく見えなくもないような個体もありました.それがいわゆる半ベラにあたるのかどうかはわかりません.ヘラブナをある程度の数見てみて,見慣れたギンブナとの区別を考えてみると,自分にとって小合溜のギンブナはかなり特徴が一定しているように感じるのに対し,ヘラブナのように見えるフナは本当にまちまちです.ただ,タモ網の中で体が白く見えるという点でギンブナとは違う共通点はあります.ネット上の情報では,ヘラブナは養殖業者によって異なる特徴を持っている場合もあること,体型のよい個体を選別するのでさらに改良が進んでいることなどから,由来の異なる個体が混じっていると,印象が違うこともあるらしいこと,また体型が栄養状態に影響を受けることもあるようです.単にまだヘラブナをあまり見慣れていないので,共通する特徴を掴みきれていないだけなのかもしれません.また,自分がヘラブナと思っている中に実はギンブナが混じっているのかもしれませんが,わかりません.ヘラブナとギンブナの区別のためのエラの解剖は,その後まだやっていませんが,今後,その中間的な個体を狙って解剖してみるときかもしれません.
小合溜の大橋付近でヘラブナっぽい,小さめのフナを釣りました.斜めになった場所に水槽をおいて撮影しています.全長17cm,体長13cm,体高5.6cm,体長/体高比2.3でした(スケールの位置が魚体よりも手前なので,実際よりも小さめの数字かもしれませんが,縦横比は正しいはず).フナ類の中で,体長/体高比が2.6以下(=体高が高い)なのは,参考6のサイトによるとヘラブナかギンブナが当てはまります.これらの厳密な区別にはエラの解剖が必要とのことですが,この魚の顔を見るといかにもヘラブナらしさが出ていて,ヘラブナの実物を見るのがほぼはじめての自分でもヘラブナと判断できました.ポイントの1つ目は,自分の見慣れたマブナよりも目の位置が下の方(口の横),そして口の近くについているように見えます.2つ目は口の形で,上顎と下顎の境界線がマブナよりももっと斜め上を向いていて受け口に見えるところがマブナと違います.他に,釣れたときに感じたのは,マブナよりも体全体が白っぽくて,特に腹側が真っ白に感じたことでしょうか.こんなに小さいうちから見た目で他のフナと区別できるものなのですね(個体によるのかもしれませんが…).
ヘラブナの写真をこのサイトに追加したくて,ヘラブナ釣りの真似事をはじめて,これが初めて釣れた(感動の)1匹目です.この日は朝から釣り始めてフナっぽいアタリがあったのははじめの2時間ぐらいでしょうか.朝の水温は20℃でしたが,強い日差しの中,気温とともに水温もぐんぐん上昇して26℃を超えました.その後はクチボソがスレで引っかかるだけになったので撤退.釣りをした場所は水深1m程度のところで,エサはグルテン,下バリを水底につけるようにして待ったら,写真の魚は上バリにかかりました.ヘラブナの釣り方を勉強してみて,とりあえず1匹釣るところまではなんとかなったのでよかったです.しかし,技術の有無が釣果に出やすい釣りなのでしょう,この日も周囲の釣り人は「今日は当たりがないね」とか言いながら大型のをたくさん釣ってまして,ここから先の道が長いのもまた感じました.スポーツ的な競技性がある釣りですね.
参考
- Kanao, S., Hasegawa, K. & Mukai, T. 2019. Carassius cuvieri. The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T166137A1114496. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2019-2.RLTS.T166137A1114496.en. Downloaded on 03 May 2021.
- レッドデータブック・レッドリスト. “生物情報 収集・提供システム いきものログ” (環境省生物多様性センター). https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/booklist.
- ゲンゴロウブナ. “WEB魚図鑑”. https://zukan.com/fish/internal709, (参照 2024-01-06).
- ゲンゴロウブナ(カワチブナ) | 淡水魚図鑑(在来種).“大阪府立環境農林水産総合研究所”. https://www.knsk-osaka.jp/zukan/zukan_database/tansui/2150b2c26b1c855/4050b5a0e04cf39.html, (参照 2024-01-06).
- フナ類(ゲンゴロウブナとそれ以外とする分類は可能). “日本淡水魚類愛護会”. https://tansuigyo.net/a/link7-6.html, (参照 2024-01-06).
- 日研の歴史. “日本へら鮒釣研究会”. http://www.nikken-web.net/nikken%20rekishi.html, (参照 2024-01-06).
- 水元公園小合溜 外溜 . “とーちんのへら鮒釣り”. https://ameblo.jp/love-herabuna-fishing/entry-11820830614.html, (参照 2024-01-06).
- へら鮒釣りの疑問12 半ベラは居るのか? “マルキュー藤田の釣日記”. https://blog.goo.ne.jp/145606/e/5ed6c791a2db816f4f668b340e154243, (参照 2024-01-06).
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