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水産試験場跡地,2022年10月9日午前,くもり

復元池コーナーの池のひとつの水面が茶色くそまっていました.池の水は普段とあまり変わらない様子なのですが,水面に茶色い膜のようなものが薄く広がっていて「水の華」と呼ばれる状態です.赤潮やアオコのように,何かの微生物が繁殖しているものと思います.

水面に膜ができる原因について調べてみたところ,埼玉県の環境科学国際センターの方の書いた解説記事(参考1)をみつけました.この記事は,2010年の夏の高温期に埼玉県内の川で,油や塗料が浮いているのではないかという問い合わせが多かったことから報告されたようで,原因となる現象が2つ紹介されています.1つは通称「鉄バクテリア」と呼ばれる微生物が増えて,田んぼや池の水面に油膜のような虹色の膜ができたり,水底が赤茶色に染まったりするもの.これは春先に多いそうで,今回はこれではなさそう.もう1つは,「赤い色のミドリムシの一種」が増えて水面に赤褐色の膜ができるとのことで,今回はこの可能性が高いと思います.この原因となる微生物は,Euglena sanguinea エウグレナ(ユーグレナ)・サングイネアというミドリムシの一種.ミドリムシ類は鞭毛藻類に含まれ,鞭毛を持っていて自分で移動できる原生生物です.葉緑素を持っていて光合成をおこない,普通のミドリムシ類は緑色をしていますが,この種類は他に赤い色素も持っているので赤く見えるとのこと.水面に赤い膜を作ることから,アカマクミドリムシと呼ばれることもあるようです.赤いミドリムシは世界で5種類いるそうですが,この種類は世界の池に多い普通種とのこと(参考2).ミドリムシの分類を調べたら,原生動物界 ユーグレノゾア門 ユーグレナ藻綱 ユーグレナ目 ユーグレナ科となっていました(参考3).

水産試験場跡地,2022年10月9日午前,くもり

風が吹いて少しずつ吹き寄せられて,帯状の縞模様ができています.

「水の華」ができる条件として,富栄養化して微生物が増えやすい環境であること,参考1によると,とくに猛暑で水温が上昇し環境条件が悪化すると,このミドリムシがシストという休眠状態になり,これが水に浮くために膜状になるというもの,また参考4には,水温20~25度ぐらいがこのミドリムシの適温で一番増殖するという説明もあります.10月は休眠状態というよりは,よく繁殖する時期になっているのだと思います.

水産試験場跡地,2022年10月9日午前,くもり

風上から見ると,写真の手前の水面はきれいなのに,奥の方が真っ茶色です.

水産試験場跡地,2022年10月9日午前,くもり

「水の華」の水面の拡大.かなり赤みの強い赤褐色です.膜が吹き寄せられて,シワができています.さすがにこうなってしまうと,水中に溶ける酸素量が減ってしまいそう.



参考

  1. 池田:生物に起因する河川の景観悪化現象 ~その原因は油や塗料ではありません~. “埼玉県環境科学国際センター講演会要旨 平成26年度”. https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/torikumi/yoshi/cesskouenkaiyoushi2014.html.
  2. 鞭毛藻のなかま. “やさしい日本の淡水プランクトン”(滋賀の理科教材研究委員会). (参照 2022-12-11) https://www.ds-j.com/nature/science/plankton/webpdf/032-039.pdf.
  3. Euglena Ehrenberg, 1830: In "Catalogue of Life". 2022-12-11 Retrieved from https://www.catalogueoflife.org/data/taxon/4FMC.
  4. 大池自然再生日記8月号. “上尾市”. (参照 2022-12-11) https://www.city.ageo.lg.jp/page/046120080601.html.
  5. アカマクミドリムシ. “ぶんぶく探検隊”. (参照 2022-12-11) http://bunbuku2.web.fc2.com/sonota-akamakumidorimusi.html.
  6. . “”. (参照 ) .