ヤエザクラ類 Double Cherry Blossoms
基本情報
- 和名
- ヤエザクラ類
- 分類
- 被子植物類 真正双子葉類 バラ類 バラ目 バラ科 サクラ属 (Prunus)
- 英名
- Double Cherry Blossoms
- 学名
- Prunus
- 状況
ヤエザクラは八重咲きのサクラの総称ですが(参考1),ヤエザクラには関山,普賢象,八重紅枝垂など,多くの有名な品種が含まれていて,単一の種類の名前ではありません.野生種のヤマザクラからつくられた種類や,野生種のオオシマザクラ由来のサトザクラの系統の種類などいろいろあるようです.園内で見つかるヤエザクラはこのページに掲載して,品種が不明の場合は素人の同定結果を参考までに付ける感じにします.
写真とメモ
品種名 コウカ「紅華」
ソメイヨシノの時期が過ぎてサトザクラの時期になり,圃場のサクラが植えられている一画で八重咲きのサクラ2種類が咲いているのをみつけました.上の写真はその1種類.この品種はつぼみは濃いピンク,開き始めた花は紫がかった薄いピンクでどちらも非常に綺麗です.花びらが多くて,大きくてゴージャスな花は重々しく下を向いています.
名札付きで品種名は コウカ(紅華)となっていました.参考4によると,「紅華」はサトザクラの品種で,学名は Prunus serrulata 'Kōka'.サトザクラ類はオオシマザクラに由来する品種群ですが,この品種はオオシマザクラとオオヤマザクラの交雑が元になっていると推定されているとのこと.
開いた花は,花びらが中央でらせん状に並んでいて,咲いた花の花びらの色の濃さにはムラがあって,周囲の花びらは色が濃く,中央が薄い色.
花の裏側.小花柄には毛がなく,ガク筒はくびれず,ガク片は三角形で鋸歯はなし.短い花柄があります.
若葉の色が赤みがかっていて,花の色と合わさっていい感じです.
1週間後に来てみたら満開になっていました.
花の中心をよく見ると,長いめしべが1本あり,この軸の部分が葉になっていました.サトザクラにはこういう品種があるようで,一葉という種類はこれが品種名の由来になっているとのこと.
花の中を見て回ったら,ほとんどの花ではめしべが長く伸びて葉化していましたが,めしべが短くて葉化がはっきりわからないものものもありました.
品種名 ハナガサ「花笠」
圃場で咲いていたもう1種類の八重桜です.紅華よりも薄い花色で,淡いピンクがかった白で,上品な花.重々しく下を向いた大型の花が高密度で咲いています.
名札には「花笠桜」という品種名がありました.ハナガサはサトザクラ系の品種で,学名 Prunus serrulata ‘Hanagasa’.フクロクジュ(福禄寿) Prunus serrulata ‘Contorta’ というサトザクラ系の代表的な種類から選別されてつくられた(参考5)とのことなので遺伝的な背景は福禄寿と同じなのでしょう.参考4,5には,これらの2種類が同じ方が作った品種とありました.
花の拡大.長いめしべが2本あり葉化しています.葉化したメシベが2本ある品種といえばフケンゾウ(普賢象)という古くからある品種が有名のようですが,この種類もそのようです.
花の裏側.毛のない小花柄,くびれのないガク筒,三角形で鋸歯のないガク片.
小花柄の付け根に花柄あり.この種類の花色は咲いたあと次第に薄くなっていくとのこと.ごく淡い色なので花が咲き始めてかなり経過したところのようです.小花柄が長く伸びているのも,咲いてから時間がたったからでしょうか.
参考
- “ヤエザクラ”. ウィキペディア日本語版. 2022-12-08. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%82%A8%E3%82%B6%E3%82%AF%E3%83%A9, (参照 2023-04-16).
- 犀川,岩元:野外学習用の桜の検索表の作成とその実践.東京学芸大学紀要. 自然科学系 59: 61-67, 2007. https://u-gakugei.repo.nii.ac.jp/records/25955.
- 独立行政法人 森林総合研究所 多摩森林科学園『桜の新しい系統保全 ―形質・遺伝子・病害研究に基づく取組―』 2013. https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/3rd-chuukiseika5.html.
- 紅華. “桜図鑑(公益財団法人 日本花の会)”. https://www.hananokai.or.jp/sakura-zukan/koka/, (参照 2023-04-16).
- 花笠. “桜図鑑(公益財団法人 日本花の会)”. https://www.hananokai.or.jp/sakura-zukan/hanagasa/, (参照 2023-04-16).
- . “”. , (参照 ).
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