カラスウリ Japanese Snake Gourd
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今年は園内のあちこちでカラスウリの成長がよく,カラスウリの大きな葉が広がっている群落が例年よりもたくさん見られたように思います.道端のカラスウリにも次々に花が咲き続けていましたが,この晩みたのは雄花がいくつか咲いている雄株でした.上の写真は雄花が一番広がって咲いているタイミング,下の写真はそれを過ぎて花びらのヒゲも丸まり,花びらそのものも丸まり始め,しおれ始めたところです.朝にはしぼんでしまう花です.
基本情報
- 和名
- カラスウリ
- 分類
- 被子植物類 真正双子葉類 バラ類 ウリ目 ウリ科 カラスウリ属 (Trichosanthes)
- 英名
- Japanese Snake Gourd
- 学名
- Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim. ex Franch. & Sav.
- 状況
写真とメモ
カラスウリの花
カラスウリの株を見に寄ったら,咲き終わってしぼんだ花はいくつかあるものの,咲いている花は1つだけでした.花の中央に黄色い雄しべのある雄花でした.繊維状になった花びらの先がぴんと張って広がっています.夏の公園では,昼はガガブタの花,夜はカラスウリの花を見られると来てよかったと感じます.
繊細でゴージャスなカラスウリの花が真っ盛りの夜でした.カラスウリは雄株と雌株が別ですが,この夜は雄花も雌花もたくさん咲いていて,どちらも花の正面からの写真を撮ってきました.まずは雌花です.花弁のヒゲの量は雄花よりも控えめで,広がっている範囲も少し狭いです.中央に雌しべが3本.
こちらが雄花.密集するヒゲが花弁からさらに広がって,花の直径が何倍にも大きく見えます.中央部には黄色い雄しべの葯があります.
夜の林を散歩して,またカラスウリの花を発見.今度の花は中央部に黄色い雄しべがあるので雄花です.花の咲いていた場所は,先日みつけた雌株のすぐ近くでした.雄花でも,花びらから長く伸びだしているヒゲがありますが,雌花とちょっと違っています.雌花では花びらから出る最初のヒゲ(幹に当たる部分)が太く長く,そこから枝分かれする枝の部分は細くて短く,枝の本数も少なめなのに対して,雄花では幹の部分が短めで,そこから出る枝の部分はまっすぐに長くのびていて,本数もずっと多いように思います.全体として,雄花の外見はモジャモジャしています.
これから咲くと思われる花芽がいくつもついています.雄花も雌花もかなり長い間,咲き続けるのでしょうか.
園内でカラスウリの実をみつけたときから,いつか遭遇したいと思っていたカラスウリの花にやっと会えました.花びらの先が細く糸状にのびている,繊細な花が印象的です.この写真を撮ったのは夜の10時ごろですが,夕方から開き始めて,翌朝にはしぼんでしまう一夜限りの花とのことです.雌雄別株で,写真の花は雌花です.雄花はもっと糸状の部分が長いのですが,この場所で見つけた花はみなこの形で,1株だけしか生えていなかったのかも.
夜行くたびに探していたのですが,カラスウリの実は赤くて大きく,葉が落ちた秋冬なので目立つのですが,盛夏に咲く花はヤブの中,明るいうちにカラスウリを見つけておかないと暗い中では探しにくいです.この場所は林の道端でみつけておいた場所です.
ダイナミックで,かつ繊細な花は,ガガブタの花と並んで,水元公園で見られる花の中で一番ではないかと思います.
非常に特徴的な形の花で,花弁の先端の枝分かれの感じが海の生物でテヅルモヅルというのと似ていませんか?
こちらはしぼんだ花に見えます.花の付け根に膨らんだところがカラスウリの実になるところか.しぼむとこんなに小さく.
こちらはつぼみに見えます.こんなに小さなつぼみが明日?明後日?の夜にはあんなにのびるとは.参考4に花が開く途中の写真がありました.
カラスウリの実
低木のヤブを覆っていた,クズ,カラスウリなどのつる性の植物の勢いはなくなり,葉は枯れはじめ,ぶら下がっているカラスウリの実がよく見えるようになっていました.盆踊りの提灯のよう.実の色は朱色に近い赤で.触るとちょっとやわらかいです.
ヤブの奥の方にも実があるということは,カラスウリの花がこのヤブの中で咲いたということですね.
前の週にキレイに赤くなっていたカラスウリの実ですが,この日はほぼすべての実が写真のように下半分に穴が空いていて,中身が空になっていました.これはなんでしょうか? 小鳥がこの実にぶら下がってクチバシを突っ込んで中身を食べている風景が頭に浮かびましたが,穴の輪郭が直線的なのがちょっと気になります.ヒトの仕事…?
こちらにも穴があり,中身が空っぽ.
そろそろカラスウリの実のできる時期かと,夏に雌花の咲いていたヤブを探してみました.葉の陰にかなり赤くなってきた実がありました.大きくてみずみずしい実なので,齧ってみたくなるのですが,苦くて食用にはまったくなりません.
水産試験場跡地の保全区域のはずれでカラスウリの実を発見.もう冬なので実は干からびてしまっていますが,ふだんは葉や茎が繁茂していて藪を作っているため近づこうとしなかった場所なので,この季節だから見つけられました.この場所を覚えておいて,花の咲く真夏に来れば,綺麗なカラスウリの花の写真を撮れる!と考えたところで,この場所が保全区域で夕方4時半までしか立ち入れない場所であることを思い出しました.カラスウリの花は雄花と雌花があり,雌花は日没から日の出までの一晩しか咲かないので,雌花はここでは無理ですね(雄花は何日間か咲くらしいです).
低木を上から覆うようにカラスウリやクズのツルが広がっており,カラスウリの実やクズのさやもたくさんぶら下がっています.
実を割ってみると中はスカスカに乾燥していました.中心部付近に種のある場所に黄色い繊維が残っています.
園内のあちこちで,秋冬にカラスウリの赤い実がなっているのをみたことはあるのですが,この写真は花も実もついていないカラスウリの葉です.林内の道端で曲がりくねった虫こぶとテントウムシをみつけたのですが,虫こぶはカラスウリクキフクレフシというカラスウリの茎にできる種類,テントウムシはカラスウリを食べるトホシテントウでしたので,ついでに宿主のカラスウリの写真も上げときます.今後,夜に咲く白い花の写真や実の写真も撮れればと.
カラスウリは,「カラス」が名前につくだけあって,ヒトが食べるのには向かないウリのようで,食べてみた記録が秀逸です(参考2).チャレンジャーの人には拍手を.未熟の実を漬物にすることはできるようですが,熟すと苦くなるそうです.巨大な曲がりくねった実のできるヘビウリの近縁種ですが,ヘビウリの方は食べられます.
参考
- “カラスウリ”. ウィキペディア日本語版. 2020-07-20. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%83%AA, (参照 2020-08-22).
- 鳥も食わないカラスウリをなんとかしてみたかった.“ざざむし。”. http://zazamushi.net/karasuuri/, (参照 2023-08-20).
- カラスウリ. “植物形態学”(福原のページ(植物形態学・生物画像集など)). https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/karasuuri.html, (参照 2020-08-23).
- 一夜のシンデレラ -カラスウリ-. “あなたの知らない自然(大島 修:天文と科学のページ)”. http://www.sunfield.ne.jp/~oshima/ccd/natu25.html, (参照 2020-08-23).
- 逢魔が時[前編] カラスウリ. “東アジア植物記”(小杉 波留夫). https://sakata-tsushin.com/yomimono/rensai/standard/eastasiaplants/20171010_006016.html, (参照 2020-08-23).
- . “”. , (参照 ).
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