アカスジキンカメムシ Clown Stink Bug
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アカスジキンカメムシのコロニーに翌週また来てみました.幼虫はもうゼロで,見つけた個体がすべて成虫です.例のクワの木やそのとなりのノイバラの木に,何頭かずつまとまっていました.
1頭1頭の色合いが異なり,個体差があるのがよくわかります.
アカスジキンカメムシの終齢幼虫がたくさん見つかったクワの木に数日後にまた行ってみました.前回はこの近くに1頭だけ成虫がいましたが,この木にいたのは幼虫ばかりでした.この日はかなり成虫への羽化が進んできていたようです.写真では,全8頭のうち,成虫が3頭いました.この木の周辺を見回ると単独でみつけた成虫も数頭ほど.1頭1頭の個体差が感じられます.
上の個体は体が大きく,背面の緑色が控えめで黒い斑紋が目立ちます.また,赤いスジも太め.
こちらも体が大きく,緑色が強くでていて黒い斑紋が目立たず,赤いスジの細い個体.
ちょっと体の小さい個体.赤いスジが太くて目立ちます.
基本情報
- 和名
- アカスジキンカメムシ
- 分類
- 節足動物門 昆虫綱 カメムシ目 カメムシ亜目 キンカメムシ科 Poecilocoris 属
- 英名
- Clown Stink Bug
- 学名
- Poecilocoris Lewisi (Distant, 1883)
- 状況
写真とメモ
草地のクズの葉上で見つけた成虫1頭.この朝はくもっていたからか,体の色彩が非常に鮮やかに撮影できました.過去一美しくて感激.頭部と胸部の色合いはちょっと違いますが,頭部は光沢が強く,胸部と前翅の点刻のためかマットな色ですね.
上と同じ個体の別角度.触角を絶えずぴくぴく震わせながらじっとしています.
その周囲を探すと,近くのヤマグワの木にたくさんの終齢幼虫が群がっていました.これがみな成虫になったら,さぞ壮観なのではと期待してしまいます.しばらくここに通ってみることにします.
羽化したて?
朝の草地で,イネ科の葉の上にアカスジキンカメムシの成虫を発見.久しぶりに見ましたが,やはり綺麗.この個体はじっとして動かず,触角だけが細かく震えています.腹部の先あたりに何かあります.幼虫の脱皮殻の一部か羽化したときに放出したものでしょうか.体色の赤い帯の部分の色が薄いので,羽化したての個体なのではないかと思います.
前から見たところ.頭部と胸部は色が違って,頭部のほうが光沢が強いようです.
羽化失敗?
上の個体と近くでみつけた変な個体.体の色が頭部付近は普通の色ですが,腹部の方は黄色っぽくて模様がはっきりしていません.そして体のバランスが通常の成虫とはかなり違って,胸背が狭く盛り上がっていません.羽化の途中かと思いましたが,参考4,5によると,通常の羽化では,黒い羽化殻を脱いだ後,一旦全身が黄色い虫になり,その状態で成虫の体のバランスになった後,だんだんと色がついてくるようです.つまり,体の割合がおかしくて,体の部分ごとに色づき方が違っているこの個体は,正常な状態ではなく,羽化失敗個体なのかもしれません.
アカスジキンカメムシは,個人的に,日本で最も美しいカメムシのひとつだと思っています.園内で何度か幼虫を見かけたことがありましたので,成虫に出会う機会を待っていました.ついに見つけましたよ成虫.時期的に羽化したばかりなのかもしれません.葉裏に止まってじっとしてました.光を浴びて背中の鮮やかな緑とオレンジ色のコントラストが映えます.撮影する角度が限られるので頭部と胸部(前胸背)が陰になっているのがちょっと残念.足の配色もすごいですね.腿節がオレンジ,脛節が緑,跗節が緑とオレンジという配色.
ちなみにアカスジキンカメムシを含むキンカメムシ科や,マルカメムシ科では,他のカメムシ類とは違って,「背中」の後半部を覆っているのは前翅ではなく,背盾板(はいじゅんばん)という構造とのこと(参考3).他のカメムシ類では,左右の前翅の前縁中央に小さな三角形の部分(小楯板)がありますが,これが大型化して背中全体を覆うようになっているそうです.翅はその下に収納されています.なので,背中全体がつながった構造で,ツヤがあって模様が派手なのですね.
ちなみに,アカスジキンカメムシの右上に見えている細い緑色の枝のようなものはナナフシモドキの足です.撮影中,隣に別の虫がいるのにしばらく気づきませんでした.
日本で一番美しい虫といえば,タマムシも園内で見られるようですね.タマムシの写真も撮りたいですね.
ヨウシュヤマゴボウの実に止まっていたアカスジキンカメムシの幼虫.参考2によるとどうやら4齢幼虫のように見えます.いろいろな広葉樹の葉や果実から汁を吸うそうですが,ヨウシュヤマゴボウの実の汁も吸うのでしょうか.
圃場の片隅のナツグミに虫がたくさん集まっていました.参考1,2によると,この模様をしているのは5齢(終齢)幼虫とのこと.この幼虫も体のあちこちに成虫の綺麗さを想像させる光沢がありますが,体全体が宝石のような成虫をみたいですね.まだ見たことないです.
アカスジキンカメムシは,カメムシ科ではなくキンカメムシ科という別のグループに属します.南方系のグループで,熱帯産,亜熱帯産の派手な種類が多いグループ.
参考
- アカスジキンカメムシ. “昆虫エクスプローラ”. http://www.insects.jp/kon-kameakasuji.htm, (参照 2023-05-22).
- アカスジキンカメムシ. “幼虫図鑑”. http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/youtyuu/HTMLs/akasujikinkamemusi.html, (参照 2023-05-22).
- “キンカメムシ”. ウィキペディア日本語版. 2022-10-31. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A0%E3%82%B7, (参照 2023-05-22).
- アカスジキンカメムシの羽化. “ご近所の小さな生き物たち”. http://serigaya.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-3ac1.html, (参照 ).
- アカスジキンカメムシ羽化後の気になる行動. “チャンネルF+”. https://hoshtani.blog.fc2.com/blog-entry-765.html, (参照 ).
- . “”. , (参照 ).
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