最新の写真

園内の林,2024年1月20日午前,くもり

この日は午後から雨の予報で,雲の低く垂れ込めた午前中.林の中で,ポツポツと大粒の雨が降ってきたような音が聞こえていましたが,周囲の地面が濡れていなくて??? 地面に落ちてきているのは雨粒ではなく,センダンの白い実でした.上を見上げると,実がたくさんついたセンダンの木.実は1粒ずつバラバラに落ちていますが,上の写真のように枝ごと落ちているのもありました.

園内の林,2024年1月20日午前,くもり

実を落としているのは10数頭のヒヨドリの群れでした.食べている個数よりも落としている個数が多いぐらい周囲に落ちています.センダンの実は,ヒヨドリの真冬の食料のようです.

園内の林,2024年1月20日午前,くもり

センダンの分布マップが2つの資料に載っていました.参考2のマップは原産地で,中国から東南アジア,オーストラリアなのに対して,参考3が移入された地域も含めた現在の分布です.比べるとその広がり方がわかります.



基本情報

和名
センダン
分類
被子植物類 真正双子葉類 バラ類 ムクロジ目 センダン科 センダン属 (Melia)
英名
China Berry, Cape-lilac, Hog Bush, Persian Lilac, Pride of India
学名
Melia azedarach
状況
IUCN/ISSG 世界の侵略的外来種侵略的外来種(北中南米,ヨーロッパ,島嶼部など),原産(日本,中国,インド,スリランカ,インドネシア,ニューギニア,オーストラリア) (参考1)
IUCN レッドリスト 2023-1[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend stable (個体数動向 安定) (参考2)

写真とメモ

カワセミの池,2023年5月3日午後,晴れ

花が咲き始めた前回の写真から1週間経過して,花を見に行ってみました.筒状のおしべははじめは紫色で,咲いてから時間が経つと褐色になるようです.

カワセミの池,2023年5月3日午後,晴れ

まだつぼみが多いですが,全体としては二分咲きといったところでしょうか.センダンの花は長い期間に渡って咲くようです.


カワセミの池,2023年4月29日午前,晴れ

カワセミの池の木道沿いにある大木に小さな花が咲き始めていました.薄紫色の花びらは6枚で,花の中心に濃い紫色の筒があってこれがおしべ,更に中に黄色いのがめしべとのこと.

カワセミの池,2023年4月29日午前,晴れ

青紫色のつぼみがたくさんついた花序で,ちょうどぽつぽつ花が開き始めたところです.この花序はそのままここに実がつくことを想像すると,確かにセンダンっぽいです.

カワセミの池,2023年4月29日午前,晴れ

センダンの枝ぶり.枝の伸びる方向が他の枝と鈍角をつくって広がる傾向.

カワセミの池,2023年4月29日午前,晴れ

幹の樹皮.



バードサンクチュアリの森,2021年12月22日午前,晴れ

センダンの木の実が,日光を浴びて光って,まるで花が咲いたようです.晴れた冬の午前中にこの森の道を通るといつもきれいです.

バードサンクチュアリの森,2021年12月22日午前,晴れ

以前も写真を撮ったのですが,そのときは実を拡大すると緑色でした.今回は黄色くなっていました.

バードサンクチュアリの森,2021年12月22日午前,晴れ



バードサンクチュアリの森,2018年5月20日朝,晴れ

森の樹冠に小さな薄紫色の花がたくさんついている木がありました.以前,冬に実がなっているのを見たことがあるセンダンの木です.樹冠の高いところにある枝で,花がちゃんと見えていませんが,次に花を撮れる来年まではこの写真で.



バードサンクチュアリの森,2017年12月17日午前,晴れ

森のなかで上を見上げるとたくさんの実のなっている木.葉はほとんど落ちていますが,羽状複葉であることがわかる感じの葉柄が残っています.種類を調べてみると,どうやらセンダンという木のようでした.春から初夏に紫色のきれいな花がつき(参考5),秋に黄色い実が熟しますが,この木の属名がつけられたメリアトキシン(meliatoxin)という毒成分を含むそうです(参考6).ただ,ツグミヒヨドリムクドリなどの鳥は平気で食べるようです(参考4).

センダンはもともとは日本では四国,九州などに自生する木のようですが,公園樹として植えられ,種などから広がって関東にも自生するそうです.国際的に見ると,南北アメリカ大陸,ヨーロッパなどで侵略的外来種になっています.病気に強く,種がたくさんできてどんどん広がるとのこと.

バードサンクチュアリの森,2017年12月17日午前,晴れ

実の拡大.しわしわした感じの外見.石果という堅い実で,中に数個の種が入っているようです.見た感じでは,鳥はぜんぜん食べに来ておらず,まだ実が食べられている形跡もなかったです.今の季節,ツグミやヒヨドリはトウネズミモチに集まっていて,トウネズミモチの実もたくさん残っている時期ですので,こちらは優先でない,つまりあまり魅力的な実ではないのかもしれません.

バードサンクチュアリの森,2017年12月17日午前,晴れ

樹形.広がった枝にはどこをみても実がびっしり.

バードサンクチュアリの森,2017年12月17日午前,晴れ

幹の様子.センダン科には,高級木材で有名なマホガニーも含まれています.センダンの材は江戸時代に打ち首獄門の首を乗せる台に使ったというう記録があるそうで(参考4),縁起の悪い木扱いをされています.成分のために虫があまり寄らない木だからという推測がされていますが,虫が寄らないという同じ理由で,インドでは聖なる木の扱いなのだそうです.



参考

  1. Global Invasive Species Database (2017) Species profile: Melia azedarach. Downloaded from http://www.iucngisd.org/gisd/speciesname/Melia+azedarach on 29-12-2017.
  2. Barstow, M. 2018. Melia azedarach. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T61801956A61801958. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2018-1.RLTS.T61801956A61801958.en. Accessed on 20 January 2024.
  3. Melia azedarach L. in GBIF Secretariat (2023). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/5914287 on 2024-01-20.
  4. センダン. “木のぬくもり・森のぬくもり”. https://www.jugemusha.com/jumoku-zz-sendan.htm,(参照 2024-01-25).
  5. 「センダン(栴檀)」 センダン科. “ひげ爺さんのお散歩日記-3”. https://blog.goo.ne.jp/21434higejiisann3/e/7e6ac64102f34f8b975a7d8283978379,(参照 2024-01-25).
  6. 主な植物中毒とその診断法 (PDF). “農研機構”. https://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_byosei-kantei2016/poisoning/plant.pdf,(参照 2024-01-25).
  7. . “”. ,(参照 ).