基本情報

和名
ウスバフユシャク
分類
節足動物門 昆虫綱 チョウ目 (ガ類) シャクガ上科 シャクガ科 フユシャク亜科 Inurois
英名
Apple Fall Cankerworm
学名
Inurois fletcheri
状況

写真とメモ

園内の街灯,2024年2月4日夜,くもり

冬の蛾の写真を撮りたくて,園内の街灯巡りをしてきました.この夜を選んだのは,2日前に春かと思うほどの日和で,夜まで暖かい風が吹いた日がありました.その日に羽化したガがいたのではないかと想像.そして,当日の午前には久しぶりにちょっと雨が降り,夜になっても気温こそ高くありませんが,風がなくて湿度が非常に高い夜でした.街灯には写真のフユシャクや早春のキリガなどがぽつぽつと来ており,冬の蛾を満喫できました.また水場ではヒキガエルの産卵もはじまっていました.

ウスバフユシャクは日本に分布する普通種のフユシャクで12月~2月ぐらいに成虫が見られる種類.ウスバフユシャクとよく似ているクロテンフユシャクとの区別点は参考3などに.どちらも前翅に大きな黒点があるのは共通点.ウスバフユシャクでは,内横線と外横線がはっきりしていて,外横線の外側に白帯の縁取りが見えます.外横線は前翅前端に近づくと少し曲がっていて,前翅先端方向に線が分かれるように見ますが,クロテンフユシャクはもっとはっきり曲がるようです.上の写真の個体は,内横線と外横線の間の色が濃かったり,色調のメリハリがあり,翅には細かい黒点が散布されています.前翅外縁に白く光る長い毛が並んでいます.

園内の街灯,2024年2月4日夜,くもり

こちらの個体は,上の個体よりも翅の色調が明るく,散在する小さな黒点も目立ちません.参考3によると,ウスバフユシャクにはもっと翅の色の濃い個体もいるようです.

ウスバフユシャクの幼虫は広食性で,ウメ,サクラ,リンゴ他様々なバラ科や,コナラ,ケヤキ,エノキ,カエデなどを食べるとのこと.英語名は,リンゴの害虫であることからつけられた名称のようです(参考5).

園内で冬にガを探したのは今回が初めてでした.街灯にはガ以外にもいろいろな虫が来ていましたが,どの虫も光を当てて近づいても逃げないのでじっくり観察できます.条件がよいといろいろ見られることがわかったので,また来てみます.ただし,フユシャクのメスには翅がないので飛べません.この方法で見つかるのはオスだけで,メスや交尾シーンを見つけるのは難しそうです.



参考

  1. Inurois fletcheri Inoue, 1954 in GBIF Secretariat (2023). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/1973498 on 2024-02-05.
  2. ウスバフユシャク. “みんなでつくる日本産蛾類図鑑”. http://www.jpmoth.org/Geometridae/Alsophilinae/Inurois_fletcheri.html, (参照 2024-02-05).
  3. ウスバフユシャク. “東京23区内の虫 2”. http://tokyoinsects2.blog.fc2.com/blog-entry-210.html, (参照 2024-02-05).
  4. ウスバフユシャク. “暁の蛾類図鑑”. http://kanon1001.web.fc2.com/data_musi/ga/K_syaku_ga/AK_huyu_syaku/usuba_huyusyaku/usuba_huyusyaku.html, (参照 2024-02-05).
  5. Apple Pest Database (APDB) List of species. “果樹研”(農研機構). https://www.naro.affrc.go.jp/org/fruit/apdb/abun/listabc1.htm, (参照 2024-02-05).
  6. . “”. , (参照 ).