キヅタ Japanese Ivy
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高木に絡んでいるキヅタの花が,茶色の帽子をつけたようになっていました.本来の花は全体が薄緑色のはず.以前花を見たのは11月でしたので,これは花が終わったところなのかなと思います.右端の1つの花(拡大図)は他と様子が違うのですが,これは花が咲いている途中で乾燥してしまったのかもしれません.というのは,キヅタの花は両性花で,最初に雄性期,その後に雌性期と時期によって変化するとのことで(参考1),雄性期には小さな花弁と5本のおしべがありますが,雌性期になると雄しべと花弁が落ちてしまい,中央の雌しべだけ残ります.写真右端の花以外は雌性期まで進んだあと,右端の1つの花だけは雄性期のままなのかなと思います.
時期的なものなのかわかりませんが,多くの葉が少し巻いているように見えます.枯れているというわけではないですが,水分が足りていないような印象.
基本情報
- 和名
- キヅタ
- 分類
- 被子植物類 真正双子葉類 キク類 キキョウ群 セリ目 ウコギ科 キヅタ属 (Hedera)
- 英名
- Japanese Ivy
- 学名
- Hedera rhombea
- 状況
写真とメモ
冬に花が咲いていたキヅタの実を見てきました.翌年の5~6月に黒紫色に熟して8~10mmぐらいになるとのことですが(参考1),まだ小さくて硬そうな濃緑色で熟していません.
若い実の拡大.先端の帽子のような丸いところがめしべだったところで,点があるのが花柱だったところ.
一部のみが他よりも大きく見えます.これが熟していくときの様子でしょうか.
キヅタの若葉.
上の写真では,キタテハが吸蜜に来ていました.この花は,同じく冬に咲くヤツデの花にそっくりですが,キヅタの花です.キヅタは「アイビー」に近縁のツル性の在来種で,ツル性なので全体像はヤツデと全然違いますが,分類上は,どちらもウコギ科で,近いグループです.なるほど,花もよく似ています.
キヅタの巻き付いている木.この木の幹の数m以上までキヅタでびっしり覆われています.夏はこの木そのものの葉が繁るでしょうからキヅタの葉は隠れているでしょうが,冬には日向になっていて遠くからも目立ちます.
花の拡大.たくさん付いている丸い部分が1つ1つの花で,その中央に雌しべ,丸い部分の周囲に5本の雄しべがあるそうです.雄しべが見えていませんが,時期が遅くてとれているのかもしれません.
チョウだけでなく,ハナアブやハエなどが,この冬の時期にしてはたくさん来ていました.
花が咲いているところが少し高い場所なのであまり近づけませんでした.
「アイビー」のツタが木に巻き付いているところで,気根がよく見える場所があったので撮影(下の写真).種類を調べたら,外来種の「アイビー」の野生化したものではなくて,在来種のキヅタでした.園芸用に持ち込まれたいわゆるアイビーは,このキヅタと同じキヅタ属の何種類かの総称で,属名からヘデラと呼ばれることもあるようです.外来の種類の代表は,セイヨウキヅタ(イングリッシュ・アイビー) Hedera helix や オカメヅタ(カナリー・アイビー) Hedera canariensis など.在来種との区別点ですが,葉裏や葉柄に毛が生えていないのが日本のキヅタだそうです.また,葉の形は日本のキヅタはその株の大きさ(成熟度?)によって変異があり,若い株だとセイヨウキヅタやオカメヅタなどと同じく,掌形に3~5つの突起のある多角形の葉ですが,株が大きくなるとひし形の葉になるとのこと.園内ではまだひし形の葉を見たことがありません.ヤツデと同じウコギ科で冬に咲く花もヤツデに似ているとのことですが,花も見たことがありません.
大木の根元付近に巻き付いているところ.気根が試験管洗いのブラシかタワシのようです.
茎が気根でモジャモジャになっている訳ではなく,こちらは葉が出ていて,気根のない茎.
葉の拡大です.葉裏(上)も葉表(下)も毛が生えていません.
参考
- キヅタ(木蔦). “松江の花図鑑”. https://matsue-hana.com/hana/kiduta.html. (参照 2023-04-11).
- キヅタ. “三河の植物観察”. https://mikawanoyasou.org/data/kiduta.htm. (参照 2023-04-11).
- 一目でわかるアイビーの見分け方と優秀品種40選. “A Tropical Garden”(井上熱帯園株式会社). https://a-t-g.jp/ivy-the-kind-3071. (参照 2023-04-11).
- . “”. (参照 ).
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