基本情報

和名
ヤマガラ(ベンケイヤマガラ;ヤマガラ変異個体)
分類
鳥綱 スズメ目 シジュウカラ科 ヤマガラ属 (Sittiparus)
英名
(in Jpn.) Benkei-yamagara; A Possible Color Variant of Varied Tit
学名
Sittiparus varius
状況
東京都レッドリスト(本土部)2020年見直し版 東京都区部における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類,東京都本土部全体における区分:[○] ランク外 (参考1)
埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版) <繁殖鳥> 加須・中川低地における区分:(未指定),全県における区分:[RT] 地帯別危惧 (参考2)
IUCN レッドリスト 2023-1[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend unknown (個体数動向 不明) (参考3)

写真とメモ

園内の林,2023年12月30日朝,晴れ

この秋から,園内のヤマガラの群れに,通称ベンケイヤマガラと呼ばれる色彩変異個体が混じっているという写真がネット上でたくさん紹介されていましたが,やっと自分でも撮れました.じっくり見てみると,ぜんぜんヤマガラっぽくなくて別種に感じるほどです.ヤマガラとシジュウカラの群れに1頭これがまじっていました.写真は地面にエサを食べに頻繁に降りてきているところ.同じ群れの通常色のヤマガラと比べられるように色々な向きからの写真を並べてみました.

ヤマガラは日本や朝鮮などに分布する留鳥ですが,伊豆諸島や琉球列島などの島嶼部に生息するものが何種類かの別亜種として記載されています.とくに,伊豆諸島南部に生息するオーストンヤマガラという亜種が体が大きく色彩が大きく異なり,遺伝的距離が他の亜種とより離れているので有名です.オーストンヤマガラの体色は,ヤマガラの頭部の白い部分が褐色になるというものですが,日本本土に生息するヤマガラにも同様に頭部が褐色になる個体が混じっていることが知られていて,通称ベンケイヤマガラと呼ばれているようです.ベンケイヤマガラとオーストンヤマガラの体色を比べてみると,頭部の白いところが褐色なのは共通ですが,頭頚部の黒い部分についてはオーストンヤマガラでは通常のヤマガラに近いパターンなのに対し,ベンケイヤマガラでは1) 頭頂部の黒い部分は灰色になっていること,2) のどの黒い三角の部分は,胸腹部と同じ褐色になっていることなど,オーストンヤマガラとはかなり異なります.このベンケイヤマガラは,地理的変異ではなく亜種にはなっておらず,その出現頻度が低いこととあわせると,おそらく体色に関する劣性遺伝の多型があるということなのかなと想像しました.こういう変異が生じた理由については,参考5で紹介されている説によると,伊豆諸島北部に分布するナミエヤマガラという亜種では頭部の白部分のバリエーションが大きく,オーストンヤマガラ型の褐色個体が混じることなど,遺伝的な変異が多いことから,ベンケイヤマガラは他亜種の影響を受けた個体なのではというのがありました.ちょっと説明を簡略化しすぎですね,詳細は参考5で.

園内の林,2023年12月30日朝,晴れ

前から見たところを通常のヤマガラ(下の写真)と比べると,頭部の黒い帽子と黒いマフラーがなく,帽子はグレー,マフラーはなし.体に黒いところがまったくないので印象が全く異なりますね.

園内の林,2023年12月30日朝,晴れ

園内の林,2023年12月30日朝,晴れ

後ろから見たところを通常色のヤマガラ(下の写真)と比べると,背中の上部が褐色で,翼がグレーなど頭部以外の色は共通です.頭部の色は通常は黒のところ→グレー,通常は白のところ→褐色と全く異なっています.黒と白が,褐色と灰色になることで印象が柔らかくなるものですね.

園内の林,2023年12月30日朝,晴れ

園内の林,2023年12月30日朝,晴れ



参考

  1. レッドリスト・レッドデータブック・植生図. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  2. 埼玉県レッドデータブックについて. “埼玉県生物多様性センター”. https://saitama-biodiversity-center-cessgis.hub.arcgis.com/pages/saitamardb.
  3. BirdLife International. 2017. Sittiparus varius (amended version of 2016 assessment). The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T103758876A112809007. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2017-1.RLTS.T103758876A112809007.en. Accessed on 20 May 2022.
  4. 水元公園 / ベンケイヤマガラ. “流山野鳥同好会”. https://wbc-nagareyama.net/%E6%B0%B4%E5%85%83%E5%85%AC%E5%9C%92-%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%83%A9/, (参照 2023-12-10).
  5. ヤマガラが濃色化した個体について. “花鳥いろいろ(四季の野鳥たちとの出会い)のブログ”. https://plaza.rakuten.co.jp/kachoiroiro/diary/202310040000/, (参照 2023-12-31).
  6. . “”. , (参照 ).