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小合溜沿いの草地,2023年5月21日朝,くもり

草地に隠れて休んでいたアオヤンマ.体色に青みが少なくて腹部が太めなのでメスかなと思ったら,腹端は上と下に付属器がついていてオスのようです.

この日,草地ではアオヤンマよりも大きなトンボが飛び回っていました.ひとつはクロスジギンヤンマ,飛び回っていて写真を撮れず.産卵しているときでないと撮れなさそう.もうひとつはオオヤマトンボで,こちらは止まってくれたのですが,止まった場所が近くの高木,はるか上の方の枝先です.この公園で自分にも観察しやすいのはアオヤンマとウチワヤンマだけです.



基本情報

和名
アオヤンマ
分類
節足動物門 昆虫綱 トンボ目 ヤンマ科 アオヤンマ属 (Aeschnophlebia)
英名
(jn Jpn.) Aoyanma-hawker
学名
Aeschnophlebia longistigma
状況
環境省レッドリスト2020[NT] 準絶滅危惧 (参考1)
東京都レッドリスト(本土部)2020年版 東京都区部における区分:[EN] 絶滅危惧 IB 類,東京都本土部全体における区分:[EN] 絶滅危惧 IB 類 (参考2)
埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版) 加須・中川低地における区分:[NT1] 準絶滅危惧,全県における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類 (参考3)
千葉県レッドリスト−動物編(2019年改訂版)[B] 重要保護生物 (参考4)
IUCN レッドリスト 2021-3[LC] Least Concern ver 3.1(絶滅のおそれなし), Pop. trend unknown (個体数動向 不明) (参考5)

写真とメモ

小合溜沿いの草地,2022年5月8日朝,晴れ

茂った草地で虫を探しながら歩いていたときに発見.腹部のスマートな,たぶんオスです.体が黄緑色の未熟な個体です.複眼も成熟すると透き通ったきれいな水色になりますが,まだオリーブ色っぽい色で濁った色です.複眼の一部だけが水色にみえるのですが,これはトンボ側からの視界にも影響があるのでしょうか?未熟なうちは視界もぼやけているので草地でじっとしてる,とか?

小合溜沿いの草地,2022年5月8日朝,晴れ

アオヤンマはこの公園に来るまでは見たことがなかったのですが,きれいなトンボですね.体側の黒いラインがはっきりしているので,キル・ビルの主人公みたい.



園内のヨシ原, 2018年6月3日午前, 晴れ

低く, ゆっくり飛んでいるアオヤンマがいるなあと思っていたら, 近くのヨシの中にすっと入っていきました.そっと近づいて探したところ, ヨシの茎に腹部の先端付近を押し付けてどうやら産卵をしている様子.アオヤンマの産卵に初遭遇です.なんとかトンボの体が見える角度に移動してしばらく双眼鏡とカメラで, 代わる代わる観察しました.15分以上見ていましたが, その間あまり体を動かしていないように見えました.ヤンマ類など, 植物体に卵を産み付けるトンボは, メスの腹部に産卵管があり, これを植物に刺して卵を生みます(参考12).参考13によると, ヨシの茎の1箇所に, ある程度まとまった数の卵を生むようです.ちなみに, アオヤンマが止まっていたのは, 水面から数十cmほどの高さのところでした.ネット上で「アオヤンマ 産卵」で検索して見つかる写真でも, 水面からかなり高いところが多いようです.ということはアオヤンマの孵化した幼虫(ヤゴ)は, 水面まで長い距離を降りていくのですね.ギンヤンマなどは水面にあるものに産みますが, それぞれ別のメリットがある方法なのでしょう.

園内のヨシ原, 2018年6月3日午前, 晴れ

産卵.後ろから見たところ.園内の小道をふさぐ形で陣取って観察していたので, 散策する人が通りかかったとき避けるために撤退しましたが, 産卵は続いていました.近くに人が通りかかったりしても平気なものなのですね.



園内の林縁, 2018年5月13日午前, くもり

今年もアオヤンマを小合溜沿いの草地で見つけました.以前にアオヤンマを春に見たときと同じく, 昼間の草むらに埋もれるように止まっています.この付近を歩きまわってみつけたアオヤンマは5,6頭ぐらいでしょうか.多少近づいても飛ばれなかった2頭の写真が上と下です.上の写真はオスですね.草の緑と同じ緑の色調がきれいで, 自分にとっては気に入った写真です.

園内の林縁, 2018年5月13日午前, くもり

こちらは肢の腿節が明るい色をしたメス.腹部がまっすぐで太めで, 色調がオスよりも青みが少なくて黄緑色です.頭部は残念ながら隠れてしまっています.前翅前縁の翅脈の色がきれい.



園内の池, 2017年8月11日お昼, くもり

久しぶりのアオヤンマ.池を飛び回っていたヤンマが, 池の畔の葉(ショウブ?)に止まったところ.以前撮影できたのはメスでしたが, 体色の緑がかなり青みがかっているのでオスだと思います.腹部にくびれのないトンボですが, かなりほっそりして見えたのが印象的でした.



園内の林縁, 2016年5月8日午前, 晴れ

サナエトンボなどの春のトンボが見つかるかも…と思って小合溜近くの林をぶらついていて遭遇しました.体が緑色でずん胴, 結構大きなトンボです.肢の腿節が明るい色をしていて, 尾部の形からメスだと思います.目に妙に表情があるのが印象的です.まだ羽化してからあまり経っていないのでしょうか, それとも休憩の時間帯なのでしょうか, 近づいた自分に驚いて飛び出した後, すぐ近くにまた止まったので撮影できました.

園内の林縁, 2016年5月8日午前, 晴れ

ひとつ上の写真と同じ個体かどうかは不明ですが, 草地のオニノゲシに止まったところ.

この日はギンヤンマが水辺を飛んでおり, コフキトンボ, シオカラトンボ, アジアイトトンボなどはたくさんいました.水元公園で見つけたヤンマはギンヤンマに続いて2種類目ですが, これはうれしいです.アオヤンマは環境省レッドリスト, 東京都, 埼玉県, 千葉県などのレッドリストに掲載されている絶滅危惧種ですが, 水元公園ではコンスタントに見られているようで, 参考7~11は水元公園のアオヤンマの写真です.アオヤンマが今後も水元公園で見られるかどうかは, ヤゴの生息地としての小合溜のヨシ原の環境次第でしょうから, きれいな小合溜とヨシ原が末永く維持できるといいですね.



参考

  1. レッドデータブック・レッドリスト. “生物情報 収集・提供システム いきものログ” (環境省生物多様性センター). https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/booklist.
  2. レッドデータブック. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  3. 希少野生生物(レッドデータブック・・・). “埼玉県”. https://www.pref.saitama.lg.jp/a0508/red/.
  4. 絶滅危惧種の保護に向けて. “千葉県 環境生活部 自然保護課 生物多様性センター” http://www.bdcchiba.jp/endangered/endang_index.html.
  5. Wilson, K. D. P. 2009. Aeschnophlebia longistigma. The IUCN Red List of Threatened Species 2009: e.T168042A6452293. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2009-2.RLTS.T168042A6452293.en. Accessed on 30 June 2022.
  6. アオヤンマ. “昆虫エクスプローラ”. http://www.insects.jp/kon-tonboaoyanma.htm, (参照 2023-05-24).
  7. 館内に立てこもり、太る. “水元かわせみの里水辺のふれあいルーム”. http://mkawasemi.exblog.jp/21993207/, (参照 2023-05-24).
  8. アオヤンマ. “東京都の昆虫”. http://www9.plala.or.jp/tokyoinsects/aoyanma-1.htm, (参照 2023-05-24).
  9. 東京23区のアオヤンマ. “5x虫虫虫”. http://wiederherstellung.blog67.fc2.com/blog-entry-112.html, (参照 2023-05-24).
  10. 週末に見かけた昆虫たち. “武蔵野自然観察記”. http://tyoutyou888.blog.fc2.com/blog-entry-35.html, (参照 2023-05-24).
  11. 三番瀬から水元公園へ散策. “kinnoji_oyajiのブログ”. http://kinnojioyaji.cocolog-nifty.com/blog/cat55501167/index.html, (参照 2023-05-24).
  12. トンボの産卵のお話. “新 神戸の自然1 神戸のトンボ(神戸市教育委員会)”. http://www2.kobe-c.ed.jp/shizen/tombo/oviposit/index.html, (参照 2023-05-24).
  13. アオヤンマ. “ヤゴペディア”. http://yagopedia.com/refbook.php?tombohira=%E3%82%A2%E3%82%AA%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%83%9E, (参照 2023-05-24).
  14. . “”. , (参照 ).