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園内の街灯,2024年2月18日夜,晴れ

あちこちの街灯にいた淡褐色のクサカゲロウ.越冬するヤマトクサカゲロウの体色がこの色になるようです.参考1の検索表で種類の判別をしてみました.検索表5に関連する特徴が出てきます.

上の写真と下の写真は同じ個体です.顔には赤褐色の斑紋と黒い斑紋が並んで走っています.黒い斑紋は眼の下から口まで繋がっているように見えますので,頬にも頭楯にもあります.頬ヒゲは外側だけが黒い色です.そして,触角の長さは前翅よりも短いです.この特徴を持っているのは,ヤマトクサカゲロウの変異型とのこと.変異型でない通常のヤマトクサカゲロウは顔に赤い斑紋がなく,黒い斑紋のみです.

園内の街灯,2024年2月18日夜,晴れ

体色は一様な淡褐色ではなく,緑っぽいところに背面に褐色の帯があるように見えます.

園内の街灯,2024年2月18日夜,晴れ

こちらは,最初のとは別の個体ですが,上の写真と下の写真が同じ個体の左と右側です.こちらも顔に赤褐色の斑紋と黒い斑紋がどちらも並んでいて,触角が前翅よりも短いのでヤマトクサカゲロウ(変異型)です.顔の赤褐色の斑紋の濃さが左右で違います.赤褐色の斑紋の出現に個体差や左右差があるということでしょうね.

園内の街灯,2024年2月18日夜,晴れ

顔の右側の赤褐色の斑紋が非常に濃いです.



基本情報

和名
ヤマトクサカゲロウ
分類
節足動物門 昆虫綱 アミメカゲロウ目 クサカゲロウ科 ヒメクサカゲロウ属 (Chrysoperla)
英名
(in Jpn.) Yamato-kusakagero; A Species of Green Lacewings
学名
Chrysoperla nipponensis
状況

写真とメモ

園内の街灯の下,2021年7月17日夜,晴れ

小合溜沿いの草地側の街灯に来ていたクサカゲロウを撮影してみました.体は鮮やかな緑色で背中にはクリーム色のラインがあります.以前カオマダラクサカゲロウで体験した,クサカゲロウ類の区別は,頭部の模様が重要になることを知りました.下が顔のわかる角度の写真です.

園内の街灯の下,2021年7月17日夜,晴れ

この個体の顔の模様の特徴を,参考1の検索表の観点からピックアップすると,触角周辺には斑紋はなし,口の横のひげは外側が黒いが内側は黒くない,頬(複眼の前)と頭楯(口の横)に黒い斑紋があり,これらがつながって口と眼をつなぐラインがあるように見えるのが特徴です.

ヤマトクサカゲロウはクサカゲロウ類の中でも,よく見られる普通種ということになるのでしょうか.特徴としては越冬する成虫は体色が褐色にあるものもいるとのこと(参考2).この種類の学名でネット検索したら参考3の論文が引っかかってきました.ヤマトクサカゲロウの多数の個体についてミトコンドリアDNAを調べたところ,3グループにわかれたとのこと.ヤマトクサカゲロウもいつか種類が分割されることになるのかもしれません.形態では区別のできない種が増えるのは素人泣かせですね.



参考

  1. クサカゲロウ科. “日本産クサカゲロウ図鑑(千葉大学 大学院 園芸学研究科 応用昆虫学研究グループ)”. https://www.h.chiba-u.jp/lab/insect/neuro/neuroptera/chrysopidae/chrysopidae.html, (参照 2024-02-23).
  2. ヤマトクサカゲロウ. “虫navi”. https://mushinavi.com/navi-insect/data-amimekagero_kusa_yamato.htm, (参照 2024-02-23).
  3. Haruyama N et al.: Mitochondrial Phylogeny of Cryptic Species of the Lacewing Chrysoperla nipponensis (Neuroptera: Chrysopidae) in Japan. Annals of the Entomological Society of America, 101(6):971-977 (2008). https://doi.org/10.1603/0013-8746-101.6.971.
  4. . “”. , (参照 ).