クワコ Wild Silk Moth
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草地の外れのクワの低木にたくさんのクワコの幼虫を発見.みな大きい終齢幼虫ばかりに見えました.以前見つけたクワコの幼虫は,白や灰色で透き通るような体色に,黒や褐色の眼状の斑紋がくっきりしている印象でしたが,この日見つけた幼虫は体表が透明感のない淡褐色系で,ざらざらしています.場所によってはひび割れているようにも見えます.菌類にやられた硬化病?とも思いましたが,ネット上で見つかるクワコの写真にもこのような外見のものが一定の割合で見つかります.これが正常の幼虫で,脱皮からの時間経過でこのようになるのでしょうか.この外見はカモフラージュになりそうです.
別個体の写真.前半身を伸ばして凝固する姿勢.
基本情報
- 和名
- クワコ
- 分類
- 節足動物門 昆虫綱 チョウ目 (ガ類) カイコガ上科 カイコガ科 カイコガ属 (Bombyx)
- 英名
- Wild Silk Moth
- 学名
- Bombyx mandarina Moore, 1872
- 状況
写真とメモ
街灯の近くのヤマグワの葉上でクワコを見つけました.昼は隠れて目立ちませんが,夜は目立つところに出てきて活動中のようです.このときはまだ終齢に達しない若齢幼虫の時期のようで,見つけた幼虫は終齢幼虫の半分ほどの大きさのものが多かったようです.
鳥のフンと擬態しているし,アゲハ類の若齢幼虫と雰囲気が似ています.前半身が丸く膨らんだようになっているのは威嚇姿勢とのこと.前から見ると眼状紋が目立つ姿勢です(参考3).
クワの葉で,クワコの幼虫を発見.長さ4cmですので中齢幼虫でしょう.鳥のフンのような保護色ですが,この模様は近くで見るときれいですね.葉を食べているようで葉が欠けていますが,左右対称にきれいに食べています.葉を食べる虫がついているのを目立たなくする工夫でしょうか.
園内の道沿いのクワの木にクワコの大きな幼虫を発見.終齢かそれに近い老齢幼虫.カイコガの幼虫(カイコ)と雰囲気のよく似た幼虫です.カイコは体全体が白で胸のあたりなどに黒っぽい斑紋がある程度なのに対し,クワコの幼虫は背面全体が黒から褐色の模様で埋め尽くされていて,腹面は白っぽい色ですがこちらも模様があります.真っ白に比べるとカラスのフンやゴミに似た外見になり,捕食者からの保護色になっていそうです.アゲハ類の若齢幼虫と同じ効果ですね.
横から見たところ.
街灯の支柱の上の方に止まっていた茶色いモフモフ系のガ.ストロボの光が届きにくい距離でしたが,なんとか写真を撮りました.絹糸を採るカイコガの近縁種のクワコで,カイコガと同じくクワを食べます.日本から朝鮮,台湾,中国に分布しています(参考2).
クワコは初めて見たのですが,腹部が極太で翅が小さめ.カイコガと同じ面影があります.カイコガは飛べませんが,クワコはもちろん飛べるのですね.どんな感じの飛び方をするのでしょうか.クワコとカイコガは同じカイコガ属で,遺伝子を調べると非常に近い関係にあるそうです.別種になった分岐年代は5000年前と想定されていて,家畜化による人為的なものと想定されています(参考1).ヒトが飼育しはじめたクワコが,野生のクワコと生殖的に隔離されて別の変異が重なって別種になったということですね.ちなみに,中国のクワコと日本のクワコは同種にはなっていますが,染色体数が違っていて,カイコガの祖先は中国のクワコのようです.
参考
- “クワコ”. ウィキペディア日本語版. 2021-09-02. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%B3, (参照 2021-11-03).
- Bombyx mandarina Moore, 1872 in GBIF Secretariat (2021). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/6544581 on 2022-07-24.
- クワコ. “玉川の仲間たち(学校法人玉川学園)”. https://www.tamagawa.jp/education/serial/friends/bn_201710.html, (参照 2024-10-13).
- クワコ. “虫navi”. https://mushinavi.com/navi-insect/data-ga_kuwako.htm, (参照 2024-10-13).
- . “”. , (参照 ).
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