カミウロコタケ Kami-urokotake Corticioid Fungus
基本情報
- 和名
- カミウロコタケ
- 分類
- 菌界 担子菌門 (キノコ類) ハラタケ綱 タマチョレイタケ目 マクカワタケ科 Porostereum 属
- 英名
- (in Jpn.) Kami-urokotake; A Species of Corticioid Fungi
- 学名
- Porostereum crassum
- 状況
写真とメモ
最新の写真
去年、林の中でたくさんみつけてその存在感に圧倒された不思議なキノコ、カミウロコタケ。林の中が立入禁止になったので、もう見られないかと思っていましたが、今年も見つけることができました。写真の場所は林内の道端にあった材です。去年見つけた時期は11月末で、材の表面がすべて菌で覆われていたり、表面の紫色が乾いて茶色くなっていたりしましたが、今回はまだフレッシュな、これから広がっていくようにみえる状態です。よく見ると紫色の部分のまわりには去年?生えていて枯れたのかと思われる茶色い部分もあります。
きれいな紫色の外周部。毛羽立った周囲は白っぽく、中央部に行くにつれて紫が深くなるキレイなグラデーションになっています。
更に中心は黒っぽくなります。
いつものように林の中をうろつき回っていましたら、その一帯の朽木がみな紫色になっているところがありました。初めて見る光景に驚愕。よく見ると紫色の一帯の端の方には半円形になったキノコらしき形が見えます。これはキノコの表面を覆って寄生するヒポミケス菌類のような寄生菌なのかなとその場では思って写真を撮りまくってきました。帰宅後に調べてみると、この紫色はタマチョレイタケ目の硬質菌で、不定形の子実体をもつ「キノコ」とのこと。1本の丸太を覆う全体でキノコってことですね。材の表面にぴったりひろがる背着生の部分と、一部で半円形のカサが形成される半背生との部分からなります。こんな不思議な形態をもった生物を、園内ではじめて見つけられたことに感激でした。
このような不定形のキノコで、紫色をしている種類には、カミウロコタケとスミレウロコタケという種類がいて、カミウロコタケのほうが、厚みがあり、表面がビロードのように毛羽立っているとのことです。カミウロコタケの「カミ」は「紙」の意味で、質感が紙でてきているようだからとのこと。
紫色の色調は、場所によって少しずつ違っていて、古くなると褐色っぽく、新しいところが紫色。菌体の周囲の紫色が鮮やかになっています。上の写真はそういう箇所の拡大で、葉や小枝の表面に巻き付くように菌体が広がりつつあるところだと思います。辺縁には厚みがあって表面がケバケバしていました。この紫色の質感は何かに似ていると考えてみたら、さらし餡かもしれません。
菌の表面の拡大。周辺部以外ではあまり表面は毛羽立っていませんが、褐色がかった深い紫色で凹凸がたくさんあります。
半円形にカサを作っているところの断面を見てみました。かさの内部は褐色で、表面に1mm~ぐらいの紫色の層があります(矢印)。
この日、ちょうどこのキノコの発生の時期だったのか、歩きまわるとあちこちで朽木が紫色に覆われていました。材の表面の広がり方や付き方がいろいろで面白かったです。上の写真は、材の表面をほぼ完全に覆っていた菌体。
上の写真は、半背着生っぽくかさがついている部分だけが紫色で、それ以外のところが褐色。褐色の部分は同じ菌に覆われていたのが乾燥して枯れてしまったのでしょうか。内部ではこの菌がびっしり繁殖しているのでしょう。この木はサクラぽいですね。
こちらの材は、湿気のありそうな下部だけ紫色で上半分は褐色。
斜めにかさが突き出している半背着生の部分。勢いよく周囲に広がりつつあるような印象。
こちらは、紫色の部分が小さめの菌体。周囲から中央部まで、きれいな紫色のグラデーションでした。
参考
- Corticioid fungi (27 September 2018, 07:43 UTC) In Wikipedia: The Free Encyclopedia. Retrieved from https://en.wikipedia.org/wiki/Crust_fungi
- Porostereum crassum (カミウロコタケ) - 『』 http://toolate.s7.coreserver.jp/kinoko/fungi/porostereum_crassum/index.htm
- カミウロコタケ(紙鱗茸) - 『自然観察雑記帳』 http://naturalism-2003.com/kansatsu/fungi/kamiurokotake/kamiurokotake.html
- スミレウロコタケ - 『三河の植物観察』 http://mikawanoyasou.org/kinoko/sumireurokotake.htm
- - 『』
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