基本情報

和名
ニホンスッポン
分類
爬虫綱 カメ目 スッポン科 キョクトウスッポン属 (Pelodiscus)
英名
Chinese Softshell Turtle
学名
Pelodiscus sinensis
状況
IUCN レッドリスト 2023-1[VU] Vulnerable (危急) A1d+2d ver 2.3 Pop. trend decreasing (個体数減少傾向) (参考1)
環境省レッドリスト2020:[DD] 情報不足 (参考2)
東京都レッドリスト(本土部)2020年見直し版 東京都区部における区分:[CR+EN] 絶滅危惧 IA+IB 類,東京都本土部全体における区分:[CR+EN] 絶滅危惧 IA+IB 類 (参考3,7)
埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)加須・中川低地における区分:[DD] 情報不足,全県における区分:[DD] 情報不足 (参考4)
千葉県レッドリスト-動物編(2019年改訂版):[DD] 情報不足 (参考5)
外来生物法生態系被害防止外来種(最終 修正版,2015年) (国外由来の外来種 > 総合対策外来種 > その他の総合対策外来種,Ⅰ 定着初期/限定分布) (参考6)(ただし,チュウゴクスッポン Pelodiscus sinensis sinensis が対象)

写真とメモ

最新の写真

小合溜,2022年4月10日午前,晴れ

小合溜で釣り.3月にコイが3頭かかった場所なのですが,この日は魚のアタリはなし.3月は冬に活性が落ちていた魚が繁殖期を控えて盛んにエサを採る時期で,警戒がゆるくなっているのに対し,4月になると繁殖期になってしまうからか,空腹を一旦満たした後だからか,急にコイがかからなくなります.自分にとっては毎年の傾向です.まあ自分が下手なのですが.

かわりにかかったのがスッポンでした.甲長25cmで結構重いです.カメ類がかかったのは今年初です.

小合溜,2022年4月10日午前,晴れ

ひっくり返して,以前から気になっているオスメスの判定を試してみました.尾の形と長さがオスメスで違うとのこと(参考11).尾の先端付近には排泄口と生殖口を兼ねた穴があります.

小合溜,2022年4月10日午前,晴れ

尾の長さは,メスは甲羅の端と同じぐらいの長さ,オスは甲羅から尾の先端がはみ出るぐらい.尾の形はメスは正三角形に近く,オスはメスよりも幅の狭い二等辺三角形ということなので(参考11),この写真の個体はオスの可能性が高いと思われます.

小合溜,2022年4月10日午前,晴れ

首をこちらに向けて攻撃をしかけてくるような様子はなく,ひたすら逃げていこうとしていました.押さえていた手を離すとあっという間に水中に消えていきました.



小合溜,2020年7月19日朝,くもり

朝暗いうちから小合溜で釣り.魚は不調でしたが,はじめてスッポンが釣れました.護岸の近くで水深が1mぐらいのところです.アカミミガメクサガメは釣れたことがありますが,スッポンは初めてでした.ハリをはずして記念撮影中に,首をのばしてカメラに噛みつこうとしているところの写真です.恐竜のような頭部.鼻の穴は鼻先についていて大きいです.口の中には舌が見えます.左右両目で前方を見ることができるのですね.

小合溜,2020年7月19日朝,くもり

頭部の拡大.鼻が長い.

小合溜,2020年7月19日朝,くもり

このスッポンはまだあまり大きくなく,甲長は18cm,重さは660gでした.スッポンのオスメスはこのぐらいの大きさから区別ができるようになり,区別点は甲羅の形と尾のサイズと形とのこと.オスは甲羅の後部が広がっていて,メスは円形.これはオスのようです.

小合溜,2020年7月19日朝,くもり

そして,スッポンの腹面は初撮影です.腹甲は体の前の方にあります.尾の形は,オスの尾は陰茎が内部にしまわれているので太く長く,メスは細いとのことです.基準がないのでわかりませんが,太いと言われれば太いかも.



園内の池,2019年7月13日お昼,くもり

水中から首を伸ばす首長竜…的なスッポン.甲長30cm以上,この池のヌシのようなスッポンです. 参考10の写真が水元公園内で撮られたものということで,どういう場所ならあのような写真が撮れるのか?と疑問でしたが,ちょっと似た感じの写真が撮れました.これは泳いで水面に顔を出したスッポンではなく,浅い水底に足が届いていて,ちょっと首を伸ばせば呼吸ができるような場所で,呼吸をしながらじっと周囲を伺っている,という写真だったのですね.この池は全体が浅いので,この場所に来ればいつでもこういう写真が撮れるかも,ということで…

園内の池,2019年7月15日午後,くもり

翌々日に来てみたら,おそらく同じスッポンの写真が撮れました.



小合溜沿いの草地,2018年6月24日午後,くもり

小合溜沿いを歩いていると,足元にかなりの大きさの不審なかたまりを発見.なんじゃこりゃ,何かのゴミかな,動物の死体にも見えないし… と思ったら.

小合溜沿いの草地,2018年6月24日午後,くもり

その物体に小さな黄色い目をみつけました.目が見開かれています.これは生きてる! もしやスッポンでは! ,としばしそのままで撮影.甲羅のサイズは縦28cm,横23.5cmでした.普段は小合溜の水中にいるであろうスッポンが,ヒトが通る道端の草むらで隠れるようにじっとしているのはなぜ? 隠れるといっても,甲羅がむき出しで,まったく隠れきれてないのですが.

実は,この日はこの後,この近くでもう1頭別のスッポンが歩いているのを見つけています.居合わせた別の来園者の方は,スッポンが産卵のために陸上に上がって来たのでしょうと言ってました.ネット上の情報では,産卵中のスッポンの動画など見つけられました.陸上で穴を掘って産むのですね.参考9によると,スッポンの交尾は4~6月,メスが産卵するのは6月上旬から8月下旬とありました.産卵のために陸に上がって待機しているメスという説,正しい可能性が高そうです.ただ,このスッポンがいた場所には穴はなかったですし,草の根がびっしりのこの場所では穴は掘れそうにありませんので,産卵中というわけではなく,場所探しの途中というところでしょうか.

小合溜沿いの草地,2018年6月24日午後,くもり

いつまでも近くに立って見ている自分に危険を感じたのか,その後動き出したスッポン.スッポンの移動速度は他のカメよりもはるかにかなり速いですね.なかなかピントが合いませんでした.

甲羅の全体が見えましたが,スッポンの甲羅はやわらかそうで,甲羅の縁もぐにゃぐにゃ曲がります.産卵のための上陸だとしたらこの個体はメスですが,オスメスの区別は,尾と総排泄孔の付近を見るとわかるようですので,ひっくり返さないとわかりません.

小合溜沿いの草地,2018年6月24日午後,くもり

しばらく移動してまた止まったスッポン.首と手足を半分引っ込めてじっとしてます.その後,近くの人間がまだ去ってくれないとあきらめてか,また動き出しました.しつこくてごめん.

小合溜沿いの草地,2018年6月24日午後,くもり

小合溜の水際の草むらに入っていく後ろ姿.


なぞの生物!

小合溜,2018年5月5日お昼,晴れ

「小合溜で謎の生物を目撃!」ということで,現場では1人でたいそう盛り上がりました.釣りをしていたら,浮きの横1mぐらいのところの水の一部がすうっと白っぽくなり,一度はその色が消えていったのです.5分後ぐらいにまた近くの水面が白くなり,何か丸いものが浮き上がってくるのがわかりました.急いで写真を撮ったら,ピントが手前のヨシに合ってしまいこんな写真に.水面付近に黄色い丸いものがあり,水上に頭部が出ています.頭部の色も黄色くて,先端がとがっているように見えます.水面下にある丸い部分が20cm前後だったと思います.後で写真を見ながら,鼻先が尖っているカメ類で,体全体が黄色いという条件から,アルビノのスッポンだったのではと思っています.

スッポンについて調べてみました.日本にいるスッポンは,種類としては「スッポン」または「ニホンスッポン」と呼ばれていて,中国,日本などに分布しています.そのうち,中国産のものと日本産のものは,別の亜種として扱われる場合が多く,中国産のものをシナスッポン(チュウゴクスッポン),日本産のものをニホンスッポンとして区別します.「ニホンスッポン」という名前は,シナスッポンも含む「種」の名前でもあり,日本産「亜種」の名前でもあるのでちょっと混乱しがちですね.シナスッポンは食用に日本に持ち込まれているので,それが逸出して日本にも広がっている可能性があり,種の保護の面では日本産と中国産を区別して考えています.たとえば,東京都のレッドリストでは日本産を対象として絶滅危惧種に指定し,中国産との交雑に注意が必要とありますし,環境省の生態系被害防止外来種に指定されているのは中国産のみです.日本産スッポンと中国産スッポンは甲羅の色や形などで区別することができると書いてあるネット上の情報も見つけましたが,その情報の信頼度がよくわかりません.

さて,写真のスッポンは色が白い(黄色い)わけですが,参考8のサイト(アルビノのカメのサイト)を見ると,スッポンのアルビノがまさにこのような外見です.アルビノ個体は黒いメラニン色素がつくられない突然変異で,目のメラニン色素もないためほとんど目が見えないとのこと.野生ではうまくエサを捕れないので,あまり大きく育てないとのこと.となると,小合溜にいたアルビノスッポンは,誰かがペットとして大きく育てた個体を小合溜に捨てたと考えるのが妥当なのではないでしょうか.もしそうなら,この個体はペット用に流通するシナスッポン亜種で,絶滅危惧種のニホンスッポン亜種ではないのかもしれません.そして,もしほんとに目が見えないなら,この大きな体を維持するために必要な獲物を捕まえられずに,次第に衰弱して死んでいくのではないかと思われます.

小合溜には在来種?のニホンスッポンもいるようなので(参考10),このアルビノスッポンが死ぬまでの間に在来種との雑種を残す可能性はありますね.

小合溜,2018年5月5日お昼,晴れ

水底に消えていくアルビノスッポン.捕まえてみたくて,網を持ってしばらく待ち構えたのですが,もう浮かんでくることはありませんでした.



参考

  1. Asian Turtle Trade Working Group. 2000. Pelodiscus sinensis (errata version published in 2016). The IUCN Red List of Threatened Species 2000: e.T39620A97401140. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2000.RLTS.T39620A10251914.en. Accessed on 11 May 2022.
  2. レッドデータブック・レッドリスト. “生物情報 収集・提供システム いきものログ” (環境省生物多様性センター). https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/booklist.
  3. レッドリスト・レッドデータブック・植生図. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  4. 埼玉県レッドデータブックについて. “埼玉県生物多様性センター”. https://saitama-biodiversity-center-cessgis.hub.arcgis.com/pages/saitamardb.
  5. 絶滅危惧種の保護に向けて. “千葉県 環境生活部 自然保護課 生物多様性センター”. https://www.bdcchiba.jp/reddatebook_redlist.
  6. 生態系被害防止外来種リスト.“日本の外来種対策”(環境省 自然環境局). https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/iaslist.html.
  7. ニホンスッポン. “東京都レッドデータブック”. https://tokyo-rdb.metro.tokyo.lg.jp/%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%83%E3%83%9D%E3%83%B3/, (参照 2024-01-05).
  8. シナスッポンとニホンスッポン. “Albino Pastel Red Ears”. http://albino-pastel-redeared-slider.com/4112, (参照 2022-05-12).
  9. ニホンスッポン. “国立環境研究所 侵入生物データベース”. https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/30060.html, (参照 2024-01-05).
  10. お鍋に最適。 “水元かわせみの里水辺のふれあいルーム”. https://mkawasemi.exblog.jp/16546224/, (参照 2024-01-05).
  11. スッポンの雌雄判別成功で2匹目はオス 生殖器も食べてみよう. “ゆけ!!さくらんぼー”. (参照 2022-05-12) https://sakuranbouworld.com/suponb/, (参照 2024-01-05).
  12. . “”. , (参照 ).