基本情報

和名
タマシギ
分類
鳥綱 チドリ目 タマシギ科 タマシギ属 (Rostratula)
英名
Greater Painted-snipe
学名
Rostratula benghalensis
状況
環境省レッドリスト2020[VU] 絶滅危惧 II 類 (参考1)(ただし,Rostratula benghalensis benghalensisとして)
東京都レッドリスト(本土部)2020年版 東京都区部における区分:[CR] 絶滅危惧 IA 類,東京都本土部全体における区分:[CR] 絶滅危惧 IA 類 (参考2)
埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)
 <繁殖鳥> 加須・中川低地における区分:[CR] 絶滅危惧 IA 類,全県における区分:[CR] 絶滅危惧 IA 類
 <越冬鳥> 加須・中川低地における区分:[CR] 絶滅危惧 IA 類,全県における区分:[CR] 絶滅危惧 IA 類 (参考3)
千葉県レッドリスト−動物編(2019年改訂版)[A] 最重要保護生物 (参考4)
IUCN レッドリスト 2022-2[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend decreasing (個体数減少傾向) (参考5)

写真とメモ

最新の写真

小合溜沿いの草地,2023年2月23日午後,晴れ

晴れて暖かくなった午後に,タマシギ観察のリベンジ.写真は午後3時半ぐらい,それまで隠れていた草陰からゆっくりと歩き出てきたところです.ジグザグに進みながら浅い水場にくちばしを差し入れて,エサを探している様子.20分ぐらいかけて広い範囲を歩き回りながらエサ取り.最後は小走りにヤブの中に入っていきました(3枚目の写真).こういうエサ取り活動を1日に何回か繰り返す感じなのでしょう.この場所でちゃんとエサが食べられているのかわかりません.その間,ヨシ原のあぜ道にはタマシギを見に来た何十人かの人々がずらりと並び,立て続けのシャッター音が周囲に響き渡っていました.

小合溜沿いの草地,2023年2月23日午後,晴れ

顔を上げたところ.目の周りや肩の帯白色のライン,体の地色の深い色合いと細かい模様,きれいな鳥ですね.この鳥は冬羽のメスのようです.タマシギはオスよりもメスが派手で,繁殖期にはメスは顔や首が赤褐色になりますが,非繁殖期の冬は赤い色はないようです.オスの翼は褐色系のまだら模様で,明るい色の羽がたくさんまじりますが,メスの翼は全体が深い緑色を帯びた色で,細かい模様しかありません(参考7).それと,肩の白い帯の外側に細い白線があるのもメスの特徴とのこと.

タマシギは東北南部よりも南で留鳥として観察される鳥で,日本が北限です.分布の中心は東洋区(東南アジアからインド)とエチオピア区(アフリカ大陸のサハラ砂漠以南)(参考6).田んぼや湿地でエサを採る鳥で,生息環境の減少から,東京や近県では絶滅危惧種に指定されています.聞いた話では水元公園ができて以来,ほぼ観察記録がないようで,タマシギを「水元公園の生き物」と言ってよいのかわかりませんが,今後もタマシギが越冬できる環境であることを祈って掲載.

小合溜沿いの草地,2023年2月23日午後,晴れ

スピードを上げて草陰に戻っていくところ.黄色い脚は太く,持ち上げた足は大きいです.

小合溜沿いの草地,2023年2月23日夕方,晴れ

その後,夕方になって再び草陰から出てきました.今度はエサ取りはせず,ヤブから出てきたところで日向ぼっこをするように静止して20分ぐらい休憩していました.上の写真は前を見ているところ,下の写真はクチバシを羽に埋めて寝ているところ.先日の写真で,ヤブの中ではこういう姿勢をしていたのですね.

小合溜沿いの草地,2023年2月23日夕方,晴れ

夕方の黄色い光を浴びて休憩中.つぶった眼もかわいいです.


小合溜沿いの草地,2023年2月19日朝,くもり

ネット上の水元公園界隈の情報では,この冬,公園にタマシギが来ているとのこと.長い期間,ヨシ原で観察されるようなので,いつか見に行きたいと思っていましたが,江戸川土手のチョウゲンボウが無事観察できたので行ってみました.ヨシ原でのタマシギの行動パターンはかなり一定らしく,大部分の時間は草陰で寝ているようです.このときは,道から近いところにひそんでいるところを見つけることができ,しばらく見ていましたが,寝たり起きたりはするものの,動き出す気配はなし.上の写真はクチバシを羽に突っ込んで寝ているところ.下の写真は前を向いているところです.イソシギよりは一回り大きく,タシギとかクイナとかに近いサイズでしょうか.明るいヨシ原では黒っぽい体がちょっと目立ちます.全身を見るのはまたの機会におあずけ.

小合溜沿いの草地,2023年2月19日朝,くもり

眼を開くと黒目が大きい.眼の周囲には白っぽい模様が目頭・目尻に長く伸びていて,古代エジプトのアイラインのお化粧みたいでおしゃれです.それをデザイン化したものは,ホルスの目 Eye of Horus という古代エジプトの護符のデザイン(アマゾン)になっています.



参考

  1. レッドデータブック・レッドリスト. “生物情報 収集・提供システム いきものログ” (環境省生物多様性センター). https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/booklist.
  2. レッドリスト・レッドデータブック・植生図. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  3. 希少野生生物(レッドデータブック・・・). “埼玉県”. https://saitama-biodiversity-center-cessgis.hub.arcgis.com/pages/saitamardb.
  4. 千葉県レッドデータブック・レッドリストについて. “千葉県環境生活部自然保護課 生物多様性センター”. https://www.bdcchiba.jp/reddatebook_redlist.
  5. BirdLife International. 2016. Rostratula benghalensis. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T22735810A95118332. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T22735810A95118332.en. Accessed on 04 March 2023.
  6. Rostratula benghalensis (Linnaeus, 1758) in GBIF Secretariat (2022). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/2482029 on 2023-03-04.
  7. 冬羽のタマシギのペアー. “よっちのバードフォト”. https://blog.goo.ne.jp/yocchi-bird/e/039d52c943322f209e8aa899136bec59, (参照 2023-03-04).
  8. . “”. , (参照 ).