基本情報

和名

ヒメリュウキンカ（キクザキリュウキンカ）

分類

被子植物類 真正双子葉類 キンポウゲ目 キンポウゲ科 Ficaria 属

英名

Lesser Celandine, Flowered Celandine, Pilewort

学名

Ficaria verna, syn. Ranunculus ficaria

状況

IUCN/ISSG 世界の侵略的外来種：侵略的外来種（米国），原産（ヨーロッパ） （参考1）

IUCN レッドリスト 2021-3：[LC] Least Concern ver 3.1（絶滅のおそれなし）, Pop. trend stable （個体数動向 安定） （参考2,3）

写真とメモ

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プラスチックのおもちゃのような，強烈なツヤのある特徴的な花．ヒメリュウキンカが満開でした．園内で見られるキンポウゲ類には，キツネノボタンもたくさん生えていますが，キンポウゲ類には，こういうツヤのある花びらを持つ種類が多いようです．

このツヤに注目して調べている研究者もいるようで，キンポウゲ類の花びらの光の反射率を，光の波長ごとに調べた研究がありました（参考6）．この論文によると，花びらの反射は紫外線（UV）を含むどの波長でも光を反射しているそうです．反射が最も強いのが紫外線の 340 nm で，これはミツバチなど花に来る昆虫が鋭敏な波長で，これらの虫が花を見つけやすい効果があるとのこと．どの波長の光も反射することにより，周囲の風景と花びらを比べたときのコントラストが小さくなり花が目立たなくなる効果があるとのことですが，それよりも紫外線を強く反射する効果のほうが虫集めにより効果が高いのではないかと書かれていました．

ヒメリュウキンカとキクザキリュウキンカという名前の使われ方ですが，同じ種類の別名として使われる場合もありますが，ヒメリュウキンカ Lesser Celandine を Ficaria verna，キクザキリュウキンカを Ficaria ficarioides という別種に当てることもあるそうです．その場合の区別は参考7に．

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黄色い鮮やかな花は，キツネノボタンの花を大きく派手にした感じで，どちらも花びらにおもちゃのような強いツヤがあって印象的です．

ヒメリュウキンカ（またはキクザキリュウキンカ）は，ヨーロッパ原産の種類で園芸品種が多い種類です．日本でも栽培されている種類ですが，米国では侵略的外来種として扱われているようです（参考1）．春先から林床や低地をびっしりと葉が一面に覆い，根や地下茎の密度も高いので，在来種の草花が影響を受けるとのこと．

日本の在来種で各地の絶滅危惧種に指定されているリュウキンカという種類に似ていることから名付けられましたが，これらは見た目は似ていますが，分類上は別のグループに属する種類だそうです．リュウキンカはキンポウゲ科リュウキンカ属（Caltha）に属し，ヒメリュウキンカは同じキンポウゲ科ですが，キツネノボタンなどと同じくキンポウゲ属（Ranunculus）にずっと入れられていましたが，2010年にこのグループの遺伝子を調べて分類を整理した論文で，ヒメリュウキンカは他のキンポウゲ属の種類とは離れた種類であることがわかり，新たに作られた Ficaria 属に移されました（参考5）．

参考

1. Global Invasive Species Database (2017) Species profile: Ranunculus ficaria. Downloaded from http://www.iucngisd.org/gisd/speciesname/Ranunculus+ficaria on 24-07-2017.
2. Rhazi, L., Rhazi, M. & Flanagan, D. 2010. Ficaria verna. The IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T164471A5883002. Accessed on 06 May 2022 from https://www.iucnredlist.org/species/164471/5883002.
3. Chappuis, E. 2014. Ficaria verna. The IUCN Red List of Threatened Species 2014: e.T164471A55735247. Accessed on 06 May 2022 from https://www.iucnredlist.org/species/164471/55735247.
4. キクザキリュウキンカ Ficaria verna． “生きもの好きの語る自然誌”． http://natural-history.main.jp/Tree_of_life/Eukaryote/Plantae/Land_plants/Himeryukinka/Kikuzakiryukinka.html.
5. Ficaria (on 10 July 2017, at 21:11 UTC) In Wikipedia: The Free Encyclopedia. Retrieved from https://en.wikipedia.org/wiki/Ficaria
6. Galsterer S, et al.: Reflectance measurements of glossy petals of Ranunculus lingua (Ranunculaceae) and of non-glossy petals of Heliopsis helianthoides (Asteraceae). Plant Biology 1(6), 670-678, 1999. https://doi.org/10.1111/j.1438-8677.1999.tb00279.x
7. キクザキリュウキンカ． “松江の花図鑑”． (参照 2022-05-07) https://matsue-hana.com/hana/kikuzakiryuukinka.html.
8. ． “”． (参照 ) .