コガネグモ Koganegumo Orb-weaver
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草地でコガネグモ幼体の巣を発見.きれいな隠れ帯が左上と右下の2方向にあります.ちょうど巣の記念撮影をしていると,その巣に獲物が飛び込んできて引っかかりました.引っかかったのは1頭のクロウリハムシでした.下の写真はコガネグモがクロウリハムシの場所にササッと寄っていき,糸をぐるぐる巻き付けてから巣の真ん中に戻るまでの数分間の時間経過です.
クモが獲物に寄っていき,糸を巻き始めるまでが早くて動きを捉えられませんでした.クモの腹部の下面にオレンジ色の部分,出糸突起があり,そこから大量の糸が繰り出されてきます.
後ろの2対の脚(第3,第4歩脚)を器用に使って,獲物をぐるぐる回しながら糸を巻き付けていきます.
ひととおり巻き付け終わると,獲物を口の近くに持っていき,ぐるぐる回しています.
獲物を巣の中央に持っていきました.
あっという間でした.お見事.
基本情報
- 和名
- コガネグモ
- 分類
- 節足動物門 クモ綱 クモ目 コガネグモ科 コガネグモ属 (Argiope)
- 英名
- (in Jpn.) Koganegumo; a Species of Orb-weavers
- 学名
- Argiope amoena L. Koch, 1878
- 状況
- 東京都レッドリスト(本土部)2020年見直し版 東京都区部における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類,東京都本土部全体における区分:[NT] 準絶滅危惧 (参考1)
- 埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版) 加須・中川低地における区分:(未指定),全県における区分:[NT1] 準絶滅危惧 (参考2)
- 千葉県レッドリスト−動物編(2019年改訂版): [C] 要保護生物 (参考3)
写真とメモ
道ばたに小さなクモの巣があり,中心付近に斜め四方向に広がる「隠れ帯」がありました.中心には小さなコガネグモの幼体が.隠れ帯はきれいに原型をとどめているところをはじめて見たかも.
クモを拡大すると,体の模様やバランスは成体とよく似ています.
腹面より同じ個体.
雨上がりの草地にコガネグモの巣がたくさん張られていて,おなかの丸く膨らんだ,大きなメスの成虫がいました.この巣では,巣にかかる獲物としてはきっと大物と言ってよいと思いますが,クロコガネをゲットしています.巣の乱れ方から,激しい捕物の様子が偲ばれます.
こちらは巣が壊れてしまったか,草の上にいた大きなメス.腹部の模様は黄色と黒の縞模様と思っていましたが,順光の条件で近くからよく見ると,黄色の部分は白と黄色の2色の帯,黒い部分は色調の違う2色の焦げ茶色の帯からできているのがわかりました.それにしてもおなかが丸々と膨らんでいます.
朝,草地を歩くと,コガネグモがだんだん大きく育ってきて目立つようになってきました.写真のクモは,巣の「隠れ帯」が見えていました.隠れ帯をつくるクモの種類では,その形は種によって決まっていて,コガネグモの隠れ帯は,斜め上下4方向のX字です.
クモの巣の隠れ帯は,その役割がまだ完全にわかってないようです.素人考えでは,そこにクモの巣があることがわかってしまうので,獲物がかかりにくくなってしまうのでは?と思うのですが….しかし,考えられている仮説では,暗いときに光を反射するので,それに向かってくる虫が巣に飛び込んでくるのを狙うというものなどもあるそうです(参考7).
先月コガネグモを見つけたのと同じ場所に,コガネグモが巣を作っていました.もしかしたら,同じ個体かもしれません.写真で見る限り,体の模様は全く同じですが,コガネグモをあまりたくさん見ていませんので,個体識別が可能なほど模様に違いがあるもののかどうかわからず….このクモは腹部が丸々と膨らんでいて,もし前回と同じ個体なら,お腹の中の卵が大きくなってきて,産卵が近づいているのかもしれません.巣がちょっと乱れていて,クモがお腹側になにか抱えているように見えましたので,反対側に回ってみました.
コガネグモが抱えていたのは,糸でぐるぐる巻きにしたトンボのようです.トンボの大きさから考えて,シオカラトンボよりはやや小さめ,コフキトンボかコシアキトンボぐらいの大きさかなと思います.大型のクモであるコガネグモが,食物連鎖では肉食であるトンボのもっと上に位置しているのを実感します.
体長2cmぐらいのコガネグモのメス.このサイズはたぶんもう成虫と思います.体の横幅も広く,腹部背面の黒と黄色の幅広の縞模様のせいで,より大きく堂々として見えます.更に,剛毛が見える長くて太い足は黒と薄茶色の太い縞模様があり,それを2本ずつ揃えて斜めに伸ばしてX字型に.実にクモらしい格好よさです.近縁種のナガコガネグモとはかなり印象が違います.
コガネグモは子供向けの簡単な図鑑にも必ず掲載されている超有名なクモだと思いますが,しかしこの種類がレッドリストに指定されている都道府県は10以上もあり,その中に東京,埼玉,千葉がどれも含まれます.とくに,埼玉県の東側の中川低地・加須低地でのカテゴリーは「絶滅」とのこと.大型の種類なので,広い場所とエサの豊富な環境が必要ということなのでしょうか.去年,参考5の記事で園内に生息するのを知り,また参考6では水元公園と陸続きの江戸川河川敷での観察例が紹介されていたので,園内をコガネグモを見つけたいと気をつけていましたが,やっと見つけることができました.みつけたのは林縁の草地です.
腹側からの撮影.巣の右側に斜めに走る隠れ帯あり.
クモは夜や朝夕の薄暗いときに撮ることが多そうなので,この写真は参考のためにストロボ使用です.腹部背面の黒と黄色の線に見えていた模様が,黒ではなくて茶色だったことが判明.
参考
- レッドリスト・レッドデータブック・植生図. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
- 希少野生生物(レッドデータブック・・・). “埼玉県”. https://saitama-biodiversity-center-cessgis.hub.arcgis.com/pages/saitamardb.
- 千葉県レッドデータブック・レッドリストについて. “千葉県環境生活部自然保護課 生物多様性センター”. https://www.bdcchiba.jp/reddatebook_redlist.
- “コガネグモ”. ウィキペディア日本語版. 2022-08-23. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%AC%E3%83%8D%E3%82%B0%E3%83%A2, (参照 2023-04-25).
- 再びのクモ. “水元かわせみの里水辺のふれあいルーム”. https://mkawasemi.exblog.jp/24941572/, (参照 2024-05-05).
- コガネグモ. “東京23区内の虫 2”. http://tokyoinsects2.blog.fc2.com/blog-entry-537.html, (参照 2023-04-25).
- “隠れ帯”. ウィキペディア日本語版. 2021-09-27. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%A0%E3%82%8C%E5%B8%AF, (参照 2023-04-25).
- . “”. , (参照 ).
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