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園内の池,2024年6月9日朝,くもり

水辺の草間に黄色っぽい未熟なトンボがフラフラと飛び回りはじめています.撮影して斑紋を確認したところ,アキアカネでした.自分がアキアカネを見た時期としては早い記録です.腹部の形と腹端の構造から,上の写真はメス.下の写真はオスだと思います.色ではまだ全く区別できません.

園内の池,2024年6月9日朝,くもり

もう1ヶ月後には大群になって,公園から去っていきます.



基本情報

和名
アキアカネ
分類
節足動物門 昆虫綱 トンボ目 トンボ科 アカネ属 (Sympetrum)
英名
Spotted Darter, Autumn Darter
学名
Sympetrum depressiusculum (Selys, 1841)(タイリクアキアカネと同種とするとき)
Syn. Sympetrum frequens (Selys, 1883)(タイリクアキアカネと別種とするとき)
状況
IUCN レッドリスト 2024-1[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend unknown (個体数動向 不明) (参考1)

写真とメモ

アキアカネは,水元公園では初夏に羽化したあと,大群を作って高原に移動してしまうので夏には一旦いなくなるのですが,秋になると平地に戻ってくるのでまた次第に増えてきて,晩秋,最も遅い時期まで観察されるトンボのひとつです.


初夏のアキアカネ

園内の水辺,2023年6月17日朝,晴れ

未成熟の赤とんぼが飛んできて近くの草に止まったところを見つけたので,種類を確認してみました.胸部側面の黒帯の形から,アキアカネとわかりました.アカネ類といえば,普通は体を水平にして止まるトンボですが,ウスバキトンボみたいに,縦にぶら下がるように止まっています.体はつやつやしているし,飛び方がフワフワしていたので,おそらく羽化後まだ時間が立っていない状態と思います.


アキアカネの大群

園内の林縁,2016年6月25日午後,くもり

水元公園でこんな季節にアキアカネの大群に出会いました.子供のザリガニ釣りにつきあって水辺でのんびり写真撮っていました.アキアカネがあちこちの枝先にたくさん止まっているなとは思っていましたが,次第に飛んでいるアキアカネの数が増えていき,ふと空を見上げると無数のアキアカネに覆い尽くされていました.上の写真は空のごく一部ですが,上空180度すべてこんな感じでアキアカネがびっしりです.

園内の林縁,2016年6月25日午後,くもり

別角度からの写真.枝先に止まったり低空を飛んでいるものから,かなり上空を飛ぶものまでいろいろです.棒を持っているとその棒にすぐ止まりに来ます.その後,30分ぐらいの間にアキアカネが次第に減ってきて,空の一角を占めるだけになりましたので,この群れは次第に移動しているようでした.

アキアカネは今の季節に低地で成虫になると,夏には高地に移動して群れになり,秋にまた低地に戻って来る生活をすることが知られています.自分も,真夏の山頂付近でアキアカネだらけになっているのを見たことはあります.自分の認識では,アキアカネはあちこちの低地から,狭い高地に集まってくるので夏は群れになりますが,低地にいるときは分散して群れにならないと思っていました.6月下旬という季節は,低地で羽化したアキアカネがこれから高地へと移動する時期だと思いますが,まだ高地に行く前の段階で,水元公園のような低地ですでに大群になっているのだというのを知り,驚きました.

園内の林縁,2016年6月25日午後,くもり

止まっているアキアカネの未熟なオス.今日見たトンボはアキアカネ以外に,オオイトトンボクロイトトンボなどのイトトンボ類,コシアキトンボシオカラトンボウスバキトンボショウジョウトンボなどの常連です.


秋のアキアカネ

グリーンプラザ裏,2022年11月11日午前,晴れ

ソバ畑にて.11月にもなって交尾中のアキアカネ.もう寒くなって動きも鈍くなっているのですが,生きている限り生殖行動をする力強さ.



水辺の野草園,2022年10月9日午前,くもり

アキアカネ成熟オス.腹部はきれいな赤で,胸部は褐色です.

水辺の野草園,2022年10月9日午前,くもり

上と同じ個体を背面から.アキアカネは成熟しても胸部が赤くならないと思っていましたが,翅の付け根は真っ赤ですね.



小合溜沿いの草地,2021年11月7日午前,晴れ

秋も深まり,かなり寒くなってきて他の赤とんぼはもういませんが,アキアカネの成虫だけは残っています.日向の草地を歩くとあちこちに止まっているアキアカネを見ました.気温が低いのでヒトが近づいたときの反応は少し鈍いようですが,まだまだ元気に見えます.

アキアカネは,日本ではタイリクアキアカネと別種として扱われることが多いようですが,国際的な取り扱いでは同種とする場合もあるようです(参考5).タイリクアキアカネはアキアカネとよく似ていますが,形態での区別は可能なようで,日本ではまれに記録があるとのこと.東アジアからヨーロッパまで,ユーラシア大陸に広く分布しています.



水辺の野草園,2015年10月12日朝,晴れ

日向ぼっこをするアキアカネのつながりトンボを発見.アキアカネはオスでも腹部以外はあまり赤くならないですね.オスとメスの腹部の太さを比べるとメスはかなり太いのがわかります.

アキアカネの分類について調べてみたら,タイリクアキアカネと同じ種として扱う場合もあるようです.ITIS のページではアキアカネの学名 Sympetrum frequens が,タイリクアキアカネの学名 Sympetrum depressiusculum の異名として扱われていました.Wikipediaの記事を見ると,ミトコンドリア DNA はタイリクアキアカネとアキアカネで違いがないという学術的根拠からのようです.



中央広場,2013年9月29日朝,晴れ

アキアカネのメスです.アキアカネは初夏に成虫になると山地に移動し,夏を山地で集団で過ごします.秋になると平地に降りてきます.今年も秋が深まりつつあります.


周辺の住宅地の公園,2012年10月7日午後,晴れ

公園のベンチに止まったアキアカネのメス.メスは腹部が背中側だけ赤くなるぐらいですが,オスは腹部全体が深い赤になります.オスが胸部や頭部まで赤っぽくなるのはナツアカネ.メスは似ていますが,胸部の側面の黒い模様がナツアカネと違っているので区別できます.8月まではトンボがたくさん飛んでいるのはみなウスバキトンボでしたが,秋にはアキアカネがどんどん増えてきます.ウスバキトンボはめったに止まりませんが,アキアカネはよく止まるので,子どものトンボとりにはこちらのほうが向いてます.



参考

  1. Clausnitzer, V. 2020. Sympetrum depressiusculum. The IUCN Red List of Threatened Species 2020: e.T165512A1095700. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2020-3.RLTS.T165512A1095700.en. Accessed on 09 July 2024.
  2. Vol. 428(2008/10/12) [今日のいきもの]アキアカネとナツアカネの判別方法. “いきもの通信”. http://ikimonotuusin.com/doc/428.htm, (参照 2023-06-30).
  3. アカトンボの見分け方. “トンボ写真館”. http://mukashitonbo.web.fc2.com/Miwakekata/akatombo.htm, (参照 2023-06-30).
  4. Sympetrum depressiusculum Selys, 1841: In "Catalogue of Life". Retrieved from https://www.catalogueoflife.org/data/taxon/53P6T on 2023-06-30.
  5. . “”. , (参照 ).