ハイイロボクトウ Reed Leopard
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この夜は絶滅危惧種ハイイロボクトウ2頭に遭遇.どちらも触角が櫛歯状で腹部が長くないオス.どちらも翅の色が褐色系で暗い色の個体でした.翅の黒点も目立ちます.上の個体は街灯の支柱の下の方に止まっていたのですぐ近くから観察できました.体や脚の色はちょっと違っていて,下の個体は白っぽい灰色で明るく見えます.
ハイイロボクトウは以前から環境省のレッドリストに掲載されていましたが,東京,埼玉,千葉などのレッドリストには掲載されていませんでした.2020年版から,東京都のレッドリストにも掲載されるようになりました(参考3).湿地の減少が原因で個体数が減少し,参考3のマップを見ると,2000年以降で記録がある場所は,本文にも触れられている荒川河川敷とこの場所だけのように見えます.
基本情報
- 和名
- ハイイロボクトウ
- 分類
- 節足動物門 昆虫綱 チョウ目 (ガ類) ボクトウガ上科 ボクトウガ科 ゴマフボクトウ亜科 Phragmataecia 属
- 英名
- Reed Leopard, Giant Borer
- 学名
- Phragmataecia castaneae Hübner, 1790
- 状況
- 環境省レッドリスト2020:[NT] 準絶滅危惧 (参考1)
- 東京都レッドリスト(本土部)2020年見直し版 東京都区部における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類,東京都本土部全体における区分:[NT] 準絶滅危惧 (参考2)
写真とメモ
春のガを探して夜の街灯回り.街灯の支柱に止まっていたのは灰色の翅の地味なガ.以前も公園で見つけたことのあるハイイロボクトウ.腹部のあまり長くないのはのオスのようです.去年見つけた個体はもっと白っぽかったのですが,今回は翅が体の色よりも濃いめ,茶色がかった灰色で,前翅にある黒点列も目立ちます.ネット上の写真を見ると,オスはこちらの色調のほうが多いようです.
ハイイロボクトウが地面で羽ばたいているのをみつけました.小さな翅と長い腹部をもっていて,翅と体の長さのバランスが独特です.スズメガなどともちょっと違います.以前に見たのよりも腹部が1.5倍ぐらい長いように見えますが,今回のがメスだと思います.前翅の色調はオスとよく似ています.写真のガはずっと羽ばたきを続けていて一箇所に止まっていてくれませんが,飛んでいってしまう前に,かろうじて多少ピントの合った写真が残せました.強い羽ばたきが印象的でした.
ちょうど翅をとじたところ.
灰色で地味なガですが,翅が小さくて腹部が長くはみでる独特な体型のガです.ボクトウガ科に属するハイイロボクトウは,環境省レドリストに登録された絶滅危惧種でした.写真は触角が櫛歯状になったオスですが,メスはもっと腹部が長くて独特です.ユーラシア大陸のほか,アフリカ北部にも分布する種類でus.
ボクトウガ類は,幼虫が枝を穿孔することで,樹液が出る原因となる虫として知られていますが,ハイイロボクトウが侵入するのはクヌギやコナラではなく,ヨシの茎です.したがって,ヨシの生える水辺の減少に伴って絶滅危惧種になったということですね.東京,埼玉,千葉などでは指定されていませんが,近所では栃木や群馬で指定されています.水元公園には広いヨシ原のある訳ですが,どのぐらい生息しているのでしょうか.
追記:2020年版より東京都レッドリストに掲載されました(参考2,3).
参考
- レッドデータブック・レッドリスト. “生物情報 収集・提供システム いきものログ” (環境省生物多様性センター). https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/booklist.
- レッドリスト・レッドデータブック・植生図. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
- ハイイロボクトウ. “東京都レッドデータブック”. https://tokyo-rdb.metro.tokyo.lg.jp/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%A6/, (参照 2024-05-25).
- ハイイロボクトウ. “みんなでつくる日本産蛾類図鑑V2”. http://www.jpmoth.org/Cossidae/Zeuzerinae/Phragmataecia_castaneae.html, (参照 2024-05-25).
- . “”. , (参照 ).
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