基本情報

和名
クスノキ
分類
被子植物類 モクレン類 クスノキ目 クスノキ科 ニッケイ属 (Cinnamomum)
英名
Camphor Tree
学名
Cinnamomum camphora
状況
IUCN/ISSG 世界の侵略的外来種侵略的外来種(ネパール,ベトナム,北中米,オセアニア),原産(日本,中国,朝鮮,インド) (参考1)
IUCN レッドリスト 2022-2[LC] Least Concern ver 3.1(絶滅のおそれなし), Pop. trend unknown(個体数動向 不明) (参考2)

写真とメモ

最新の写真

水生植物園,2022年12月25日午前,晴れ

クスノキの実.黒くてツヤツヤした実がたくさんついています.鳥が好きな実とのことで早い時期に食べられてしまうようです.クスノキは芳香があったり,樟脳油の原料だったりしますが,それらは葉や茎からとられ,実からはとられないようです.

水生植物園,2022年12月25日午前,晴れ

実の拡大.

水生植物園,2022年12月25日午前,晴れ

クスノキは常緑なので,冬でも葉がありますが,春に伸びる大きな冬芽ができています.

水生植物園,2022年12月25日午前,晴れ



水生植物園,2022年5月8日朝,晴れ

クスノキの手の届く高さの枝に花が咲き始めていました.クスノキ科の花は地味ですね.花びらは緑がかった白でごく小さく,長い花序の先の方に少しつづ付いています.両性花で中央に細い雌しべの先にふくらんだ柱頭,周囲に雄しべが取り巻きます.全体が黄緑色のイメージ.同じクスノキ科のタブノキの花に似ています.地味な花ですが,この日はたくさんの虫が集まっていました.

クスノキは日本の他,朝鮮,中国,インドなどの原産ですが,その周辺地域の他,北中米,オセアニアなどでは侵略的外来種になっています(参考1).防風林用などに導入されたようですが,成長が速くて現地の植物を圧倒して広がってしまうとのこと.英語名の Camphor Tree(カンファー・トゥリー)の Camphor とはカンフル=樟脳(しょうのう)のこと.樟脳はクスノキ材を蒸留して精製しますが,かゆみ止めや鎮痛消炎などの薬,清涼剤,防虫剤などに使われます.大量に摂取すると毒性あり.

水生植物園,2022年5月8日朝,晴れ

花はたくさんついていますが,若葉の黄緑色と同色系統で地味.

水生植物園,2022年5月8日朝,晴れ

クスノキの幹.細かくひび割れた樹皮.クスノキは横に大きな枝を伸ばし,上に伸びるとともに周りに広がる樹形をしています.

園内では小合溜沿いの木立をつくるように植えられている木にはクスノキの他,エノキアキニレソメイヨシノオオシマザクラなどあります.どれも大木になっていますが,とくにクスノキ,エノキなどは広く枝を張った堂々とした樹形です.水元公園が開園したのが1965年,もうすぐ60年を迎えますが,おそらくこれらの大木は開園時の整備で植えられた木なのでしょう.

水生植物園,2022年5月8日朝,晴れ

クスノキについて調べてみて,今回はじめて知ったのは「ダニ室」についてです.クスノキの葉の葉脈は2本の側脈がよく発達しますが,この葉脈の分岐部には,写真の矢印の位置のように小さな突起があります.写真は葉表からみたところですが,葉裏側ではここが穴になっていて,特定の種類のダニが住むそうです(参考3).1つの穴にはケボソナガヒシダニという他のダニを食べる種類,もう1つの穴にはコウズケカブリダニなどのフシダニ類がいて,フシダニ類はクスノキの葉から栄養をとり,増えると穴からあふれるので肉食性のダニのエサになるので,両方のダニ室のダニの数が安定しているとのこと.すごいのは,これらのダニを実験的に除去するとクスノキの葉に虫こぶをつくる別のダニが増えてしまうということです.より悪いダニが繁殖しないように,肉食のダニが見張っていて,その肉食のダニの普段のエサとして別の種類のダニが住んでいる,という誰が考えた?というようなよくできたシステムです.

水生植物園,2022年5月8日朝,晴れ



参考

  1. Global Invasive Species Database (2022) Species profile: Cinnamomum camphora. Downloaded from http://www.iucngisd.org/gisd/speciesname/Cinnamomum+camphora on 03-07-2022.
  2. de Kok, R. 2021. Cinnamomum camphora. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T15441072A15441116. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2021-3.RLTS.T15441072A15441116.en. Accessed on 03 July 2022.
  3. “クスノキ”. ウィキペディア日本語版. 2022-07-01. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%8E%E3%82%AD, (参照 2022-07-03).
  4. クスノキ. “松江の花図鑑”. (参照 2022-07-03) https://matsue-hana.com/hana/kusunoki.html.
  5. . “”. (参照 ) .