基本情報

和名
シュロ,ワジュロ
分類
被子植物類 単子葉類 ツユクサ類 ヤシ目 ヤシ科 シュロ属 (Trachycarpus)
英名
Hemp Palm, Chinese Fan Palm, Windmill Palm
学名
Trachycarpus fortunei
状況
外来生物法生態系被害防止外来種(最終 修正版,2015年) (国内由来の外来種・国内に自然分布域を持つ国外由来の外来種 > 総合対策外来種 > その他の総合対策外来種) (ただし「九州北部以北の森林内などのシュロ類」としての指定)(参考1)
IUCN/ISSG 世界の侵略的外来種侵略的外来種(日本,ヨーロッパ,北南米),原産(中国,ミャンマー) (参考2)

写真とメモ

園内の疎林,2022年5月3日朝,晴れ

林縁にシュロの木に花が咲いていたので撮影してみました.シュロはヤシ目ヤシ科に属する高木で,ヤシ類はハナショウブヨシなどと同じ単子葉類です.勝手にソテツなどに近い裸子植物と思い込んでいたのですが,大間違いと知りました.単子葉類に含まれる植物は大半が草ですが,珍しく木になるグループがイネ目のタケ類やヤシ目のヤシの木ですね.シュロは雌雄異株で,黄緑色の花が盛んに枝分かれした先に付くのは雌花,つまりこのシュロは雌株です.

園内の疎林,2022年5月3日朝,晴れ

このシュロの木は高さ3,4mほどでしょうか.林縁に生える低木から樹冠の葉が見えています.シュロの原産地は中国からミャンマーで,日本のは平安時代に持ち込まれたものと参考3にありましたが,九州南部には自生もしているようです(参考4).参考3にはノラジュロという言葉が掲載されているように,鳥が実を食べて種を広げることで勝手に増えているようで,環境省の生態系被害防止外来種に指定されています.生態系被害防止外来種の指定は,国外由来の外来種だけかと思っていましたら,国内由来の外来種というカテゴリーも用意されていて,シュロは「九州北部以北の森林内などのシュロ類」としてそれに該当しています.日本以外でも,ヨーロッパや北米南米などでも侵略的外来種になっています(参考2).

シュロは別名ワジュロと呼ばれ,中国原産の別の種類 Trachycarpus wagnerianus(トウジュロ)と区別することがあるようですが,最近これらを同種のシノニムとして扱うことがあるようです(参考5).区別する場合は,ワジュロのほうが葉が長く繊維が柔らかいため葉が古くなると葉の途中で折れて先が垂れるのに対し,トウジュロは葉が短く,線維が強いため葉が垂れないというのが区別点とのこと.トウジュロは鉢植え用にも使われ,樹高もワジュロよりも低いようです.

園内の疎林,2022年5月3日朝,晴れ

近づいて見上げたところ.樹冠近くに大きな花序が4,5本出ています.

園内の疎林,2022年5月3日朝,晴れ

花の拡大.黄色くて丸いツブが花で,それがたくさん分かれた緑の枝先についています.

園内の疎林,2022年5月3日朝,晴れ

更に拡大.この場所は枝が伸びていなくて花がびっしりついています.実は冬に黒く熟します.

園内の疎林,2022年5月3日朝,晴れ

シュロの幹.古い葉柄が残っているのが見えます.幹をびっしりと覆う毛は,葉鞘網と呼ぶようです.



参考

  1. 生態系被害防止外来種リスト.“日本の外来種対策”(環境省 自然環境局). https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/iaslist.html.
  2. Global Invasive Species Database (2022) Species profile: Trachycarpus fortunei. Downloaded from http://www.iucngisd.org/gisd/speciesname/Trachycarpus+fortunei on 24-06-2022.
  3. “シュロ”. ウィキペディア日本語版. 2021-09-13. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AD, (参照 2022-06-24).
  4. シュロ. “松江の花図鑑”. (参照 2022-06-24) https://matsue-hana.com/hana/syuro.html.
  5. Trachycarpus fortunei (Hook.) H.Wendl.: In "Catalogue of Life". Retrieved from https://www.catalogueoflife.org/data/taxon/7CKZ6 on 2022-06-24.
  6. . “”. (参照 ) .