基本情報

和名
シロエノカタホコリ
分類
原生動物界 変形菌門 変形菌綱 モジホコリ目 カタホコリ科 カタホコリ属 (Didymium)
英名
(in Jpn.) Shiroeno-katahokori; A Species of Ture Slime Molds
学名
Didymium squamulosum
状況

写真とメモ

園内の林床,2022年5月15日午前,くもり

前日まで降った雨で森の中の湿気がかなり高い日でした.ツノホコリを見つけたのと同じ日です.道端の倒木を見て回ったら,何箇所かで白くてかわいい粘菌(変形菌)の子実体をみつけました.この子実体は全体が白っぽくてファンシーな雰囲気.丸い子嚢は白~明るい灰色で,その下の柄の部分も同じく白っぽい褐色系です.写真の下や右のほうには柄の短い,あるいは柄のない子実体も見えていて,こちらの子嚢は少しひろがった球形です.種類を調べたら,シロエノカタホコリという種類が候補となりました.丸い部分(子嚢)の表面は星型をした石灰結晶でおおわれるとのことですが,この拡大だとそこまでは見えず,表面がザラザラしているのかな?ぐらいの解像度です.

シロエノカタホコリは世界中に分布する種類で(参考2,3),日本での観察頻度は中程度から高めとありました(参考1).子実体は春から秋に落ち葉や生木で観察され,柄は長くても子実体の高さの3分の2まで,柄がない子実体もあるようです(参考3).カタホコリ類には柄の黒い種類が多く,柄の白い種類では,もっと柄が長くて柄の部分の繊維が網目状になっているのがアミエカタホコリ,柄が太くて広がっているのがテリエノカタホコリなどが外見が似た種類となるようです.柄の黒い種類でも,カタホコリ,コカタホコリなど,柄のない子実体ができることもある種類もあります.柄がないと柄の色では区別できませんね.また,カタホコリ類と同じ同じモジホコリ目に属するモジホコリ類も,素人目にはよく似た子実体をつくります.もうちょっと鮮明な写真が撮れるともうちょっと自信を持って種類を推定できるところ.

園内の林床,2022年5月15日午前,くもり

同じところに柄のある子実体と柄のない子実体が混在しているので,おそらく全部同一種かなと思います.手前の柄のない子実体はサイズが少し大きめ,あるいは2,3コの子実体が融合しているように見えます.

1コの子実体が1mm未満のミクロの世界ですが,粘菌を食べに来たのか,白いクモ?ダニ?が2頭,右巻きのカタツムリが1頭見えます.

園内の林床,2022年5月15日午前,くもり

地面の上の直径7,8cmぐらいの枯れ枝についていました.下の写真はちょっと離れた場所でみつけた草の茎についてた子実体です.

園内の林床,2022年5月15日午前,くもり

こちらも,上のシロエノカタホコリの柄の短い/ない子実体によく似ているので,決め手がありませんが同じ種類と考えています.何箇所かでごく短い柄が白く見えています.上の場所と同じく,2,3コの子実体が融合しているものが多いです.

園内の林床,2022年5月15日午前,くもり

胞子が黒いようで,胞子が見えている子嚢は黒っぽい色に見えています.

園内の林床,2022年5月15日午前,くもり

園内の林床,2022年5月15日午前,くもり

こちらも近くで見つけたシロエノカタホコリ(候補).こちらはちょっと黄色っぽい白色で,子実体全体が同じ色です.柄の長さは中間的.おそらくまだ未熟な子実体ではないかと思います.これもかわいい色です.

園内の林床,2022年5月15日午前,くもり

落ち葉の縁,草の茎にきれいに分布しています.一番良く目立ちました.

園内の林床,2022年5月15日午前,くもり

落ち葉の上面に等間隔で並ぶ未熟な子実体.左に見えるアメーバ状の盛り上がりはまだ変形体の部分ですね.シロエノカタホコリの変形体の色は,参考1には無色~白色,黄色,参考3には通常はピンク色とありました.



参考

  1. 川上,新井,髙野:変形菌.発見と観察を楽しむ自然図鑑.山と渓谷社.2022. https://amzn.to/3zYNgCe.
  2. Didymium squamulosum (Alb. & Schwein.) Fr. & Palmquist, 1818 in GBIF Secretariat (2021). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/ja/species/3213743 on 2022-06-19.
  3. Didymium squamulosum: In "Discover Life". Retrieved from https://www.discoverlife.org/mp/20q?act=x_ant&path=Amoebozoa/Eumycetozoa/Didymiaceae/Didymium/squamulosum&name=Didymium+squamulosum
  4. シロエノカタホコリ. “趣味の日々が発見”. (参照 2022-06-19) https://blog.goo.ne.jp/matsupokkun_360/e/ea01fb405b6a0e30fe61dfb782367713.
  5. . “”. (参照 ) .