基本情報

和名
ツノホコリ
分類
原生動物界 変形菌門 原生粘菌綱 ツノホコリ目 ツノホコリ科 ツノホコリ属 (Ceratiomyxa)
英名
Coral Slime
学名
Ceratiomyxa fruticulosa
状況

写真とメモ

最新の写真

園内の林,2022年9月4日午前,晴れ

雨の後で林の道端の丸太が湿っていましたが,そこにツノホコリがまばらに生えていました.雪の結晶のようでキレイです.これまで見たツノホコリはたくさん集まって生えていましたが,今回は散らばっているのがちょっと違和感.子実体の分布は,変形体がそこまで移動してきたことを示すのでなぜそういう分布になったのか想像してみるのですが,前日の雨で材の全体が湿っていて変形体が遠くまで移動しやすかったとか,子実体をつくるのに適した場所がなかなか選べなかくて結果的に散らばったとかでしょうか.

園内の林,2022年9月4日午前,晴れ

子実体の全体.

園内の林,2022年9月4日午前,晴れ

拡大したところ.子実体の根元付近で枝分かれのあるスタンダードな形のツノホコリです.

園内の林,2022年9月4日午前,晴れ



園内の林,2022年8月14日午後,くもり

台風の翌日の午後,林内は湿気があって菌類の動きが活発化しており,粘菌も出ていないかと探してみたところ,地面にある材木の下面で写真のようなのを見つけました.ツノホコリがたくさん生え始めたところのようで,まだ子実体が長く伸びておらず,特有のイソギンチャクの触手のような外見になっていません.子実体の土台?にあたる半透明の部分がみえます.それ以外の部分は透明なゼリー状になっています.周囲が変形体で覆われているのでしょうか.

園内の林,2022年8月14日午後,くもり

ツノホコリはいくつかの変種に分けられることがあり,子実体に枝分かれがないものをエダナシツノホコリと呼ぶようですが,このツノホコリの子実体は生え始めたばかりなので,その変種にあたるのかどうかはちょっとわかりません.

園内の林,2022年8月14日午後,くもり

この材の下面のかなり広い範囲にツノホコリが広がっています.



園内の林,2022年5月15日午前,くもり

森の道端の倒木の下面を覗き込んだら,アナタケなどとともに,光るように真っ白でモジャモジャしたものが生えていました.小さいですが,造形がきれいで見とれてしまいます.

雨が降り出しそうな日曜日の朝でしたが,そろそろ粘菌(変形菌)の子実体が見られる季節がはじまるはずと期待して公園に来ました.金曜日から土曜日の昼まで雨が振り,その後少し気温が上がって湿度の高い夜の翌日でした.変形菌はふだんは地面の落ち葉の下などの湿度の高いところで,変形体と呼ばれるアメーバ状の生き物としてうごめきながら生息していますが,いい温度,いい気温になると一晩で子実体をつくって胞子を飛ばします.変形菌の子実体は春から秋まで見られますが,特に梅雨の頃に多いようです.この日はまだ気温が低いからか,思ったほどの「粘菌大爆発」というほどではありませんでしたが,3種類の粘菌の写真を撮ることができました.これがその1種類目.

園内の林,2022年5月15日午前,くもり

拡大したところ.種類はツノホコリです.白い子実体には根元近くに枝分かれがあり,海のサンゴのように見えます.白い色が縁で濃くなっているのは,内部が空洞になっているのだと思います.たぶんまだ未熟な子実体です.

園内の林,2022年5月15日午前,くもり

この日は何箇所かの倒木でツノホコリを見つけました.見つけたのはどれも典型的なツノホコリでしたが,ツノホコリには何種類かの変種があり,枝分かれがなかったり,丸い塊状になったりするものもいるようです(参考2).ツノホコリは世界中に広く分布しています(参考1).ツノホコリ属には世界で4種類いて,日本にはこの1種類のみです.

ツノホコリ類は,他の変形菌とは別のグループなので分類上は変形菌ではなく,変形菌と近縁の原生粘菌というグループに入れられているようです.ツノホコリの胞子はこの子実体の表面につくそうで,これが他の変形菌とは異なるそうです.原生粘菌類は,ツノホコリ類以外は目に見えるような大きな子実体はつくらないグループとのことです.

園内の林,2022年5月15日午前,くもり

ツノホコリの遠景.きれいですがかなり小さく,左の定規ではメモリが見えませんが,丸い穴が1cm間隔です.



参考

  1. Ceratiomyxa fruticulosa (O.F.Müll.) Macbr. in GBIF Secretariat (2021). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/7823145 on 2022-05-22.
  2. タマツノホコリ. “三河の植物観察”. (参照 2022-05-22) https://mikawanoyasou.org/kinoko/tamatunohokori.htm.
  3. . “”. (参照 ) .