コウジタケ Ruby Bolete
基本情報
- 和名
- コウジタケ
- 分類
- 菌界 担子菌門 (キノコ類) ハラタケ綱 イグチ目 イグチ科 Hortiboletus 属
- 英名
- Ruby Bolete
- 学名
- Hortiboletus rubellus (syn. Boletus rubellus fraternus, Boletus fraternus)
- 状況
写真とメモ
最新の写真
林の道端で落ち葉の深いあたりでコウジタケの幼菌.カサは赤くてひび割れていますが,まだ丸くて直径が3cmないぐらい.落ち葉をよけると柄がくねくねっと曲がって深くまで伸びていました.
繊維状の柄の表面が赤く色づいています.カサの下面は触ったところから青く変色中.
管孔と断面の拡大.まだ幼菌だからか観光の表面はふさがっているように見えます.
林内の道端でみつけた丸いキノコ.カサの下面に管孔の並ぶイグチ類です.表面の乾いた感じの幼菌.カサは明るい褐色です.アワタケのように見えましたが,参考6の検索表では,カサの色以外の特徴はコウジタケでした.
カサの色をよくみるとちょっと赤っぽい色で,コウジタケの赤い色が褪せたのかもしれません.
カサの下面(子実層托)の管孔の大きさは1mmに満たない大きさです.アワタケの管孔は1mmを超えるサイズ.柄の周囲では急激にくぼんで,柄との接続は上生か離生に見えるのもコウジタケの特徴とのこと.アワタケは直生かやや垂生.
カサの断面.
コウジタケの分類について
コウジタケを含むイグチ類には,ヤマドリダケ(日本)や,ポルチーニ茸(ヨーロッパ)などの美味しいキノコが含まれていますが,コウジタケは毒はなさそうですが,あまり美味しいという評判はないようです.イグチ類の食用キノコが高値で取引されるのはまだ養殖に成功していないからとのこと.
イグチ類の分類は,かつては Boletus 属(ヤマドリタケ属またはイグチ属)としてまとめられていましたが,旧ヤマドリタケ属の分類が見直され,たくさんの種類が別の属に移されたり,新しい属が作られたりして,コウジタケもそのときに別の属 Hortiboletus 属になりました.コウジタケの学名は,日本の資料では Boletus fraternus という独立種,または Boletus rubellus fraternus として, Boletus rubellusというヨーロッパなどに分布する種類の亜種として扱われていますが,最近の国際的な分類資料を見ると,Boletus fraternus,Boletus rubellus fraternus はどちらも Hortiboletus rubellus のシノニム(同種の異名)として扱われていました(参考2).Hortiboletus rubellus には和名はついていないのですが,英語名が Ruby Bolete なので,無理につけるとルビー茸という感じでしょうか.ヨーロッパ産のルビー茸のほうが,日本のコウジタケよりもカサの色の赤みが強い様な気がします(参考7).
先日,園内で幼菌をみつけたコウジタケ,この日は成菌を見つけました.カサの上面は幼菌と同じくらい赤みが強く,ひび割れています.柄の赤い繊維状の感じは幼菌と同じです.虫などに齧られた断面は黄色い管孔が見えています.
カサの裏面は幼菌とは違って,幼菌では見えなかった黄褐色の粗い管口が並んでいました.傷ついて時間の経過したところは黒っぽくなっているようです.
断面.カサの断面は白っぽく,断面が青く変色しはじめています.柄の断面はもう茶色くなってます.
林を歩いていて落ち葉から顔を出しているキノコを見つけました.上の写真は落ち葉を除けたところ.下の写真は落ち葉を除ける前.調べてみたところ,コウジタケというキノコの幼菌のようです.コウジタケの由来は麹のような甘い匂いがするからですが,このグループは多かれ少なかれ似たような匂いを持つそうです.
幼菌のカサはドーム型で,赤茶色でビロードのような質感.キノコが育つと赤みが薄れ,ひび割れができてきます.キノコの周辺を見渡しても2,3本の幼菌を見つけただけで,大きいキノコはありませんでした.これからが育つ時期なのでしょうか.近縁種には,柄がもっと細くてカサも小さいヒメコウジタケというのもあるようです.
引っこ抜いて,柄を縦に割ってみたところ.抜くときにカサが取れました.柄は白っぽい色ですが,赤みがあります.柄はかなり硬い繊維状で内部には空洞なし.
カサの様子.下から見ると,うす黄色い菌糸で覆われていますが,これは幼菌だからで,育つと大きめの管孔が見えてくるようです(参考3).断面を見ると,管孔は柄と接するように盛り上がっています.触ったり,ちぎったりしたところが次第に青黒く変色してきました.カサの付け根などがちょっと青くなっていますが,もっと時間が経つとかなり色が変わる種類のようです(参考4).
参考
- Hortiboletus rubellus (Krombh.) Simonini, Vizzini & Gelardi in GBIF Secretariat (2021). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/8060178 on 2022-11-11.
- Kirk P.M. (2018). Species Fungorum (version Oct 2017). In: Roskov Y., Orrell T., Nicolson D., Bailly N., Kirk P.M., Bourgoin T., DeWalt R.E., Decock W., De Wever A., Nieukerken E. van, Zarucchi J., Penev L., eds. (2018). Species 2000 & ITIS Catalogue of Life, 31st July 2018. Digital resource at www.catalogueoflife.org/col. Species 2000: Naturalis, Leiden, the Netherlands. ISSN 2405-8858.
- コウジタケ. “三十九さんの部屋”. (参照 2022-11-11) https://ameblo.jp/sanjukyu/entry-12509044497.html.
- コウジタケ(麹茸). “自然観察雑記帳”. (参照 2022-11-11) https://naturalism-2003.com/kansatsu/fungi/koujitake/koujitake.html.
- コウジタケ. “三河の植物観察”. (参照 2022-11-11) https://mikawanoyasou.org/kinoko/koujitake.htm.
- 日本産イグチ属の最新データ. “八重山諸島のきのこ”. (参照 2019-12-21) http://www7a.biglobe.ne.jp/~har-takah/page104.html.
- Hortiboletus rubellus (27 July 2018, 06:01 UTC) In Wikipedia: The Free Encyclopedia. Retrieved from https://en.wikipedia.org/wiki/Hortiboletus_rubellus
- . “”. (参照 ) .
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