基本情報

和名
ハナショウブ(栽培品種は,野生種 ノハナショウブの変種)
分類
被子植物類 単子葉類 キジカクシ目 アヤメ科 アヤメ属 (Iris)
英名
(in Jpn.) Hanashōbu; a Species of Japanese Iris
学名
Iris ensata var. ensata
状況

写真とメモ

最新の写真

花菖蒲園,2021年7月25日午後,晴れ

緑の葉が茂ったハナショウブの株が並んでいる菖蒲田.花の終わった花茎には緑色の大きな実がついていました.実は丸くふくらんでいて,ハナショウブの花の形に対応して6つの房に分かれています.ハナショウブの実の中に入っている種ってちゃんと芽の出る種なのかどうか調べてみると,ハナショウブは株分け以外にも,種をまいて増やすこともできるそうです.参考8のサイトで実の中の種の様子が見られました.各区画に茶色くて薄っぺらい種がたくさん並んでいます.秋に種まき.

花菖蒲園,2021年7月25日午後,晴れ



2018年

今年も菖蒲祭りが賑わっていましたが,下の写真は花菖蒲園ではなく,グリーンプラザ裏にあるハナショウブの品種保存園にて.

品種保存園,2018年6月3日午前,晴れ

品種保存園の一番目立つ角に植えられている株に,深い紫の見事な花が咲いており,名札を見ると「小合紫」(こあいむらさき).小合溜にちなんで付けられた品種だそうで,(当然ながら)江戸系です.三英で,花びらの色合いは,以前撮影した「大淀」(おおよど)ほどは濃くないですが,水元公園に一番多そうな色合いよりは深い紫です.花弁の色は一様でなく,微妙に紫の濃さに変化があります.

品種保存園,2018年6月3日午前,晴れ

ネット上の小合紫の写真を見るともう少し赤みがかっている写真が多いようです.



2015年

葛飾菖蒲まつりのステージのある日に,ステージ周辺の菖蒲田で花の写真を撮ってみました.去年撮影したときは,品種名を調べるのに非常に時間がかかりましたので,今年は名札の付いている区画の株だけを撮影してきました(手抜き).少し時期が過ぎていたみたいです.

花菖蒲園,2015年6月20日午後,晴れ

上の写真は「淡仙女」(あわせんにょ)という江戸古花の品種です.六英で薄紫色に白い絞り模様の入った上品な色合い.参考URLに掲載されていた写真はもっと白っぽかったのに比べると紫が強いです.

花菖蒲園,2015年6月20日午後,晴れ

「花笠」(はながさ)という江戸系の品種.六英で,花が横に広がるように開く,平咲きというのでしょうか,はっきりした紫色と中心部の黄色,そこから広がる白い筋のコントラストがきれいな種類です.

花菖蒲園,2015年6月20日午後,晴れ

こちらも「花笠」の花ですが,丈の違う花がたくさん並ぶと変化が出てきれいですね.

花菖蒲園,2015年6月20日午後,晴れ

上の写真は江戸系の「桐壷」(きりつぼ)です.青紫の絞りの入った,三英の花です.見てきた中で,一番好きな花かもしれません.

花菖蒲園,2015年6月20日午後,晴れ

こちらも「桐壷」.絞りがはっきりしていて粗く見えるのですが,それが花びらに変化を付けているように感じました.

花菖蒲園,2015年6月20日午後,晴れ

江戸古花の「古希の色」(こきのいろ).紫の色がほんとに深くて,写真では再現できていないぐらいです.子の花は花びらが乱れているように見えるのですが,花弁のたくさんある多弁の花ということです.

花菖蒲園,2015年6月20日午後,晴れ

江戸古花の「大淀」(おおよど),三英です.花びらがかなり痛んでいますが,色は十分分かるので撮影.一つ上の写真「古希の色」よりもさらに黒っぽい紫色です.ハナショウブの中で一番深い色の花のうちの一つなのではないでしょうか.

花菖蒲園,2015年6月20日午後,晴れ

これも花びらが丸まってしまってますが,江戸古花の「夕日潟」(ゆうひがた),赤紫色の六英の花.水元公園ではたくさん植えられていてここの花菖蒲園のベースカラーになっているように思える品種です.




2014年

「菖蒲まつり」開催中の花菖蒲園で花の写真を撮ってきました.水元公園の花菖蒲の写真は,題材にしている方が特に多く,もっときれいな写真が見られるサイトがたくさんありますね.

さて,水元公園の花菖蒲園では,ハナショウブの品種名の書かれた名札が付けられているのは一部の区画だけで,今回は名札のない区画で写真を撮ったため品種名が特定できませんでした.そこでハナショウブの品種の資料を参考にして,品種名を推定してみました.

そもそも,水元公園には100種類程度の品種が植えられているということになっています.そのうちのほとんどが「江戸系」と呼ばれる江戸,東京,特に葛飾で育成されてきた品種で,なかでも江戸古花といわれる種類(戦前につくられた江戸系の品種のこと)が多いようです.花菖蒲園に付けられている名札を確認すると(この確認は残念ながら花のない時期の確認でした)40品種ほどの名前が確認できましたので(下表),これらの品種名を中心に探してみました.それ以外の参考資料は参考2~7です.

水元公園の花菖蒲園にあった名札の一覧
朝焼け富士(あさやけふじ),淡仙女(あわせんにょ),伊都国(いとのくに),烏鵲の渚(うじゃくのなぎさ),浦安の舞(うらやすのまい),江戸不知火(えどしらぬい),大淀(おおよど),沖津白波(おきつしらなみ),奥万里(おくばんり),小田八乙女(おだのやおとめ),鴨川(かもかわ),加茂千歳(かもちとせ),迦陵頻伽(かりょうびんが),寛政(かんせい),玉宝連(ぎょくほうれん),桐壷(きりつぼ),黒雲(くろくも),小合紫(こあいむらさき),古希の色(こきのいろ),桜川(さくらがわ),五月晴(さつきばれ),早苗空(さなえそら),山蜀の魂(さんしょくのたま),滋賀の浦波(しがのうらなみ),七変化(しちへんげ),青竜刀(せいりゅうとう),大神楽(だいかぐら),太平楽(たいへいらく),長生殿(ちょうせいでん),天女の冠(てんにょのかんむり),友白髪(ともしらが),七小町(ななこまち),錦の褥(にしきのしとね),昇竜(のぼりりゅう),花笠(はながさ),真奈鶴(まなづる),真奈鶴(まなづる),三筋の糸(みすじのいと),峰の雪(みねのゆき),都の巽(みやこのたつみ),桃霞(ももがすみ),夕日潟(ゆうひがた),四方海(よものうみ)
花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

上の写真は「加茂千歳」(かもちとせ)という江戸古花の品種のようです.花被(花びら)が6枚とも大きいタイプ「六英」です.花被は青紫に近い紫で,中心付近が黄色でその周辺に広い白い部分があります.花の中心にある3本の花柱は先端が紫色.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

上の写真は「加茂千歳」の株.紫色と白色のコントラストがきれいな花で,景色がぐっと締まります.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

上の写真は,花全体が非常に深い紫色のタイプ.写真に撮っても,RGB画像として表現できる色の限界を超えた濃い紫なので,実物の深い花の色がどうしても出ません.品種でいうと「大淀」(おおよど)という江戸古花の品種のようです.花被は3枚が大きく(外花被),3枚が小さい(内花被)の「三英」という形.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

上の写真,こちらも江戸古花の「夕日潟」(ゆうひがた).花被が濃い紫で中心部が白い六英の花なので,いちばん上の写真の「加茂千歳」にもちょっと似ていますが,こちらの紫色は赤紫系で,白い部分が狭くてそこから白い脈が伸びています.自分にとっては花菖蒲という言葉のイメージから最初に浮かんでくる花,絵葉書やパンフレットで紹介されていそうな色といえば,この花かもしれません.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

上の花は江戸古花の「迦陵頻伽」(かりょうびんが)のようです.ネット上であまり写真が多くなく,あまり多く栽培されていない品種のようです.三英で赤紫の地色に白い絞り模様が入っています.中央の内花被と花柱はもっと濃い紫色.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

上は「真奈鶴」(まなづる)という江戸古花のようです.六英の花で,純白の花びらの花.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

「真奈鶴」の株です.この花は,丸い花びらが大きくて周辺はフリルのようになっており,花自体も大きいです.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

上の写真は,同じ純白の花でもこちらは三英で,花びらの厚みがかなりあり,重厚な白い花です.江戸古花の「峰の雪」(みねのゆき)のようです.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

上の花は,淡い薄紫色の花びらの三英の花で,江戸系の「山蜀の魂」(さんしょくのたま)でしょうか.白が基調で薄紫が散っているような花と,薄紫の地に白が散っているような花がありました.コントラストが淡くて上品な花です.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

上の花は品種名までたどり着けません.薄紫色の地色の三英の花で,紫色の脈が入っていて,可能性が高いのは「三筋の糸」(みすじのいと)という江戸古花です.水元公園で撮られた「三筋の糸」の写真と上の写真はそっくりです.ただ,典型的な「三筋の糸」の写真は内花被と花柱の色がもっと濃い紫色で上の写真と雰囲気がちょっと違います.となると,水元公園の「三筋の糸」は,この品種の典型的な外見とちょっと違う株なのかも…とか.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

最後が江戸古花の「蛇の目傘」(じゃのめがさ)です.かなり大きな六英の花で,各花びらの根元の黄色とその縁取りの紫色が目立ち,豪華な印象です.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

「蛇の目傘」の株.明るい色で,幾何学的な模様が浮かび上がる,自分の好きな花のひとつです.

花菖蒲園,2014年6月8日午後,くもり

花菖蒲園の一画.深い紫から白まで,色のグラデーションがきれいです.




2012年

花菖蒲園,2012年6月17日午後,くもり

ハナショウブは葛飾区の花です.菖蒲まつりは終わりでも,まだまだ綺麗な花がたくさん咲いていたので,写真を撮りましたが,せっかく品種の名札がついてたのに品種名をメモってくるのを忘れた! 痛恨です.

ちなみに,野生種のノハナショウブは,東京都レッドリストでは,23区内で [CR] 絶滅危惧IA類に指定されているそうです(参考1).

花菖蒲園,2012年6月17日午後,くもり

今年の菖蒲まつりもこの週末で最後,という日.天気もまあまあよくて,人出があります.



参考

  1. レッドデータブック. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  2. 永田敏弘. 色分け花図鑑 花菖蒲 -名前の由来と品種がわかる 庭を美しく彩る品種選びに役立つ本-. 学習研究社, 東京, 2007.
  3. 玉川大学農学部 花菖蒲図鑑. “玉川大学農学部 田淵俊人のページ”. http://www.tamagawa.ac.jp/agriculture/teachers/tabuchi/dictionary/list_a.html.
  4. 花菖蒲530. “花の写真集(ポン太と花)”. http://www.geocities.jp/newsilvertoshi/hanasyoubu1r.html.
  5. 花菖蒲データベース 系統別. “加茂花菖蒲園 花菖蒲品種画像カタログ”. http://www.kamoltd.co.jp/katalog/framepage2.htm.
  6. (かつしかブックレット8)花菖蒲 -江戸の面影・堀切菖蒲園-. 葛飾区郷土と天文の博物館 発行, 東京, 1998.
  7. (かつしかブックレット13)花菖蒲II -HORIKIRI JAPAN-. 葛飾区郷土と天文の博物館 発行, 東京, 2002.
  8. 花菖蒲の種. “Go with the Flow”. (参照 2021-09-29) https://blog.goo.ne.jp/erumoria/e/ebd87df35fb2c106c57f8aff1f1477e8.
  9. . “”. (参照 ) .