クロヤマアリ Japanese Wood Ant
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道ばたの草地に大きなアリの巣の入り口を発見,ちょうどダンゴムシを運び込もうとしているところでした.ざっと10数頭ほどのアリがダンゴムシを取り囲んでゆっくりと移動していきます.大きな巣で,入り口の穴があちこちにあり,アリによってどちらに向かって運ぼうとするのか動きに統一がとれておらず苦戦している様子.
このアリの種類はクロヤマアリ.オスメスの羽アリが飛び出す「結婚飛行」が行われるのは5~6月とのことですので,これからその時期なのかと思います.
「アリの巣の入り口地帯」の全体.かなり大きな巣なのでしょうか.巣から運び出した小さな土の塊が盛り上がったエリアが数10cm以上の範囲に広がっていました.このエリアに巣の入り口の穴が多数開いています.
はじめは左上に見える穴に向かって移動していたのですが,途中で右下に向かって方向転換しました.下の写真で運ばれた凹みは,土で隠れていますが実はここにも入口があるようです.1頭のアリの出す力が一定だとすると,エサをどちらに持っていくのかは,引っ張る方向ごとのアリの数によって決まるわけですから,多数決といえます.これって民主主義ですよね.
土を除けながらダンゴムシは穴の中に.
基本情報
写真とメモ
小道の真ん中にコガネムシ類と思われる幼虫発見.たくさんの大きなアリが集まっていました.なぜこんなところに幼虫がいるのかがよくわかりません.踏み固められた道の真ん中なので,ここにアリの巣の入口があったわけでも,幼虫がこの場所の地下にいたというのもなさそうです.幼虫は終齢を思わせる大きさ.
集まっているアリの拡大が上の写真.クロヤマアリはもっとも普通種のひとつですが,園内で見るアリの種類の中ではかなり大型種ということになるでしょうか.日本,台湾,朝鮮から中国に分布.もっと大型で形の似ているクロオオアリとの区別は参考3に.クロヤマアリとクロオオアリとはパッと見て大きさが違うので現場でどちらか迷うことはないのですが,写真で拡大すると,腹部の毛の量(毛が生えているように見えるのがクロオオアリ)と胸部の後部の形(背面に凹みがあって胸部が2つに分かれているように見えるのがクロヤマアリ)の違いがわかります.
クロヤマアリはヤマアリ亜科に含まれます.アリは世界で12000種類以上いて,そのうちヤマアリ亜科に含まれるのが3000種とのこと.日本産のヤマアリ亜科にはクロヤマアリの他,クロオオアリ,ムネアカオオアリ,トビイロケアリなどが含まれています.大型の種類が中心なのでしょうか.もう一つの大きなグループはアミメアリやトビイロシワアリなどが含まれるフタフシアリ亜科で,こちらは世界で6000種類以上.
しきりに幼虫に噛み付こうとしているのが見えるのですが,まだ効果を上げられていないい様子.
参考
- Formica japonica Motschoulsky, 1866 in GBIF Secretariat (2022). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/1315111 on 2023-06-04.
- クロヤマアリ (Formica japonica)の解説. “日本産アリ類画像データベース”. http://ant.miyakyo-u.ac.jp/J/Taxo/F80706.html, (参照 2023-06-04).
- クロヤマアリ. “日本産アリ類観察録”. https://arinippon.blog.fc2.com/e/formica-japonica, (参照 2023-06-04).
- . “”. , (参照 ).
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