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小合溜,2023年5月21日朝,くもり

小合溜沿いの道路にテングチョウがいました.この時期に見られるのは最近羽化した新成虫だと思いますが,翅の色が濃く,かすれなどがないきれいな個体です.飛び方もゆっくりですぐにまた戻ってくるのでしばらく観察できました.テングチョウは年1化で,今の時期に成虫になると,夏になると夏眠をして秋にまた活動,そのまま越冬して翌春にエノキに産卵.春に幼虫が育つ,という生活史です(参考4).

小合溜,2023年5月21日朝,くもり

白いのは鳥のフンです.何の鳥のフンか不明.テングチョウの口吻が伸びていて,フンから吸汁しているところのようです.

小合溜,2023年5月21日朝,くもり

自分が園内でテングチョウに会う機会はあまり多くありません.植樹のエノキはかなり多く,エノキを食べる他のチョウ(コムラサキゴマダラチョウアカボシゴマダラなど)もよく見るので,テングチョウも定着はしていると思うのですが,環境があまり合わないのでしょうか.参考4によると,関西では数年に1度,テングチョウが大発生していることがまとめられていました.大発生の年は「産卵数が多い」のキーワードのようです.春の産卵時期の天候や環境などの影響でしょうか.水元公園でも,いつかテングチョウが大発生することがあると面白いです.



基本情報

和名
テングチョウ
分類
節足動物門 昆虫綱 チョウ目 アゲハチョウ上科 タテハチョウ科 テングチョウ亜科 テングチョウ属 (Libythea)
英名
Nettle-tree Butterfly
学名
Libythea celtis
状況
IUCN レッドリスト 2022-2[LC] Least Concern ver 3.1(絶滅のおそれなし), Pop. trend stable (個体数動向 安定, Scope of assessment Mediterranean (対象地:地中海地方)(参考1)
IUCN レッドリスト 2022-2[LC] Least Concern ver 3.1(絶滅のおそれなし), Pop. trend increasing(個体数増加傾向), Scope of assessment Europe (対象地:ヨーロッパ) (参考2)

写真とメモ

園内の林縁,2020年3月22日午前,晴れ

林の道端で,越冬明けのテングチョウ発見.テングチョウは夏に何度か見たことがありましたが,写真は初です.気温が高いときは飛ぶのが速くて一旦飛んだら遠くに行ってしまいますが,今の時期はひらひら飛んでもまた戻っては翅を広げて日向ぼっこ.翅の輪郭がボロボロに見えますが,翅が破れているわけではなくこういう種類です.

園内の林縁,2020年3月22日午前,晴れ

テングチョウの名前の由来になっている頭部の形ですが,鼻先のヒゲ(下唇鬚 かしんしゅ,Palpi パルピ)が前に向かってのびていて,天狗の鼻のよう.下唇鬚が伸びているのはガ類などにも見られます(例:アケビコノハフタキボシアツバ).

テングチョウは,今はタテハチョウ科ですが,昔はテングチョウ科という単独の科に属していました.現在のタテハチョウ科はテングチョウ科,ジャノメチョウ科などを亜科として含む大きな科になりました.テングチョウは,ポルトガルから日本までユーラシア大陸に広く分布する種類で(参考3),日本では本州以南に分布.英語の Nettle tree とはエノキのことで,幼虫はコムラサキなどと同じくエノキの葉を食べます.テングチョウ類は世界で10数種いますが,みなエノキを食べるようです.日本にいるテングチョウ類はこの1種のみ.

園内の林縁,2020年3月22日午前,晴れ

翅の輪郭が直線でないことと,茶色い地色にオレンジ色の幾何学的な模様と白点というのが,春先の枯れた地面には見事な保護色です.



参考

  1. van Swaay, C., Wynhoff, I., Wiemers, M., Katbeh-Bader, A., Power, A., Benyamini, D., Tzirkalli, E., Balletto, E., Monteiro, E., Karaçetin, E., Franeta, F., Pe'er, G., Welch, H., Thompson, K., Pamperis, L., Dapporto, L., Šašić, M., López Munguira, M., Micevski, N., Dupont, P., Garcia-Pereira, P., Moulai, R., Caruana, R., Verovnik, R., Bonelli, S. & Beshkov, S. 2014. Libythea celtis (Mediterranean assessment). The IUCN Red List of Threatened Species 2014: e.T174408A53712721. via https://www.iucnredlist.org/species/174408/53712721 Accessed on 06 June 2023.
  2. van Swaay, C., Wynhoff, I., Verovnik, R., Wiemers, M., López Munguira, M., Maes, D., Sasic, M., Verstrael, T., Warren, M. & Settele, J. 2010. Libythea celtis (Europe assessment). The IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T174408A7066646. via https://www.iucnredlist.org/species/174408/7066646 Accessed on 06 June 2023.
  3. Nettle-tree butterfly. in "Butterflies of Europe" downloaded from http://www.learnaboutbutterflies.com/Europe%20-%20Libythea%20celtis.htm, (参照 2023-06-07).
  4. 近藤 伸一:テングチョウの大発生 (みんなで調べよう 2014). きべりはむし(NPO法人こどもとむしの会) 37(1): 17-20. https://www.konchukan.net/pdf/kiberihamushi/Vol37_1/kiberihamushi_37_1_17-20.pdf.
  5. . “”. , (参照 ).