基本情報

和名
ゴマダラチョウ
分類
節足動物門 昆虫綱 チョウ目 (チョウ類) アゲハチョウ上科 タテハチョウ科 コムラサキ亜科 ゴマダラチョウ属 (Hestina)
英名
(in Jpn.) Gomadara-cho; A Species of Siren Butterflies
学名
Hestina japonica (Felder, 1862)
状況
千葉県レッドリスト(動物,2019):[C] 要保護生物 * 特に留意の必要な種: 生息地の減少,環境の悪化 (参考1)

写真とメモ

最新の写真

小合溜沿いの疎林,2020年12月13日午後,晴れ

カワセミの里のブログでゴマダラチョウの越冬幼虫をみつける記事をみつけたので(参考5),自分でも探してみました.ゴマダラチョウなどは幼虫越冬で,食樹のエノキの近くの地面などで落ち葉にくっついて冬を越します.落ち葉にそっくりな色と表面がケバケバした質感で,ナメクジ型をしています.見つけたときも葉を触って撮影しているときも,保護色が完璧で,ちょっと目を離すと見失ってしまいます.背側には3対の突起があって,アカボシゴマダラなど近い種類とは突起の数が違います(参考6).

小合溜沿いの疎林,2020年12月13日午後,晴れ

越冬するのは中齢幼虫で,長さは2cmよりは小さいぐらい.小さくてかわいいです.

小合溜沿いの疎林,2020年12月13日午後,晴れ

見つけたのはエノキの近く,落ち葉で何層にも覆われた地面です.エノキの木の北側1m以内ぐらいで日向になる時間が短そうな側でした.



水産試験場跡地,2019年5月12日午前,晴れ

水産試験場跡地のエノキの木にふわふわっと飛んできたゴマダラチョウ.葉陰の枝に止まって,枝を歩きながら産卵していました.今の時期に見られるゴマダラチョウは春型ですが,夏型のゴマダラチョウと比べると翅がずっと白っぽいです.以前見つけたアカボシゴマダラの春型個体もかなり白っぽかったですが,低温型が白っぽくて高温型が黒っぽいのはいろいろなチョウで共通かもしれません.

水産試験場跡地,2019年5月12日午前,晴れ

飛んできて最初に止まったのは幹でしたが,そこから次第に枝の先へと移動しながら,枝の下面に腹部をつけては産卵,また移動しては産卵を繰り返している様子.今度,幼虫を探しに来てみようかと思います.



園内の樹液場,2018年8月5日朝,晴れ

園内の目立つ場所にあった樹液場で,コムラサキアカボシゴマダラシロテンハナムグリなどと一緒に来ているところを見つけました.樹液場での行動を見ると,チョウの種類によって性格が違うようで,周囲の他の虫を攻撃するかどうかという観点では,ゴマダラチョウはコムラサキとともに積極的に攻撃して追い出す側に見えました.特にスズメバチや他のチョウと張り合います.動きの激しさでいうと,コムラサキよりは穏やかかもしれません.

このゴマダラチョウはどちらもオスに見えます.オスメスの区別点は微妙で,翅全体のサイズや丸み,白い斑点の大きさ,頭部の大きさ,前足の節などが区別点のはずですが,スナップ写真ではオスメスが並んでいないと厳しそうです.ゴマダラチョウの学名は,参考1などでは Hestina persimilis japonica となっていて,つまり タイリクゴマダラ(Hestina persimilis)の亜種の扱いです.タイリクゴマダラは中国西部からネパール,インド北部に生息する種類.一方,参考3,4などによると,タイリクゴマダラとは別種 (Hestina japonica) という扱いになっています.現在の国際的な分類データベースのほうを採用します.



小合溜の水路,2014年8月3日朝,晴れ

朝から日差しが強く気温も上がってきた日ですが,小合溜に続く水路にゴマダラチョウが降りていくのが見えました.そっと近づいてのぞき込むと,護岸のコンクリート際で吸水中でした.この場所は水面はないのですが湿った泥で水を補給している様です.



園内の林,2013年7月22日午前,晴れ

この日は,新成虫が羽化して間もないのか,公園のあちこちでフワフワと飛ぶチョウの姿をたくさん見たのですが,それは多くがアカボシゴマダラでした.それに混じって,数は少なめですが,ゴマダラチョウも飛んでいました.高木の樹冠を飛んでいるのは近づけませんが,写真の個体はちょうど林の中の陽だまりの草地に止まっていたところ.

園内の林,2013年7月22日午前,晴れ

今の時期に見られる翅が黒っぽいゴマダラチョウは夏型です.ゴマダラチョウのオスメスの区別は,自分にはオス・メスが並んでいないと難しいですが,頭部が小さくて翅が大きく白い斑点が大きく見えるので,メスかもしれません.口吻が黄色いのが目立ちます.

園内の林,2013年7月22日午前,晴れ

アカボシゴマダラは外来種で,生態系被害防止外来種に指定されています.ゴマダラチョウとアカボシゴマダラは同属の近縁種で,どちらも,幼虫が食べるのは園内のあちこちに生えているエノキ.アカボシゴマダラによって,ゴマダラチョウが少なくなりつつあると言われています.



参考

  1. 千葉県レッドデータブック・レッドリストについて. “千葉県環境生活部自然保護課 生物多様性センター”. https://www.bdcchiba.jp/reddatebook_redlist.
  2. ゴマダラチョウ. “今日も山へ行こう ~日本の蝶写真館”. http://spindasis.sakura.ne.jp/tateha/gomadara/gomadara.html, (参照 2024-03-02).
  3. Hestina japonica (Felder, 1862): Catalogue of Life Checklist 2024-02-22 from https://www.checklistbank.org/dataset/288943/taxon/3L6CB on 2024-03-02.
  4. コムラサキ亜科のページ.“ぷてろんワールド ~蝶の百科事典・図鑑~”. https://www.pteron-world.com/topics/classfication/nymphalidae/apaturinae/apaturinae2.html, (参照 2024-03-02).
  5. 落ち葉の下にゴマダラチョウの幼虫 . “水元かわせみの里水辺のふれあいルーム”. https://mkawasemi.exblog.jp/28327424/, (参照 2024-03-02).
  6. コムラサキ亜科チョウの越冬幼虫の見分け方. “Dr. Tairaのブログ”. https://rplroseus.hatenablog.com/entry/16568420, (参照 2024-03-02).
  7. . “”. , (参照 ).