写真とメモ

グリーンプラザ裏,2023年11月4日昼,晴れ

ソバ畑に来ている虫を探していたら,ヨトウガの幼虫をたくさんみつけたのですが,見つけた幼虫の大半がすでに干からびたようになって死んでいました.死に方がみな体中がカビだらけになっているように見えたので写真を撮りまくってきました.秋が深まって寒さで死んだ可能性もあるのですが,今のところ,この体を覆っている糸状菌が死因なのではないかと疑っています.似たような外見の死に方をしている幼虫が参考2にありました.

昆虫などに寄生する糸状菌にはいろいろなグループの菌があるようです(参考1).胞子のできる子実体が死んだ虫の表面を覆うとき,それが何色に見えるかによって,白きょう病,緑きょう病,黒きょう病などと呼ばれるようですが,今回の場合は,死んだ幼虫の見た目は灰褐色のざらざらした層に覆われています.外見だけでは菌の特定は難しそうです.幼虫がこうなるのを硬化病と呼ぶようなのでタイトルを硬化病菌としてみました.有性世代がいわゆる冬虫夏草をつくる菌も含まれているようですが,今回はそういう派手な格好よい子実体を見つけることはできませんでした.

この幼虫は頭部や肢以外の大部分が菌に覆われています.所々に白い毛のような突起が見えるのは元々幼虫に生えていた毛に菌がついたものでしょうか.白い突起全体が子実体という訳ではなさそう.

グリーンプラザ裏,2023年11月4日昼,晴れ

体は乾燥して縮んでいるので,腹部の先の方と離れてしまっています.

グリーンプラザ裏,2023年11月4日昼,晴れ

こちらも灰褐色の菌に覆われて,体の表面はゴツゴツした感じです.白きょう病,緑きょう病,黒きょう病などの名前は,形成された子実体の色で,それぞれ違う種類の菌がつくります.今回の虫を覆っているのは白でも緑でもないので,黒きょう病菌?

頭部や肢に白い楕円形のものがいくつもついていますが,これはこの日見つけたヨトウガの幼虫では,生きて動いている幼虫にも見られました.菌に関係ある構造なのか,それとも別件として,寄生性のハエに卵を産み付けられているのでしょうか.

グリーンプラザ裏,2023年11月4日昼,晴れ

グリーンプラザ裏,2023年11月4日昼,晴れ

こちらの上と下の幼虫はまだ生きていますが,腹部の下面には,茶色いものがべったりついて広がっていました.下痢状のフンをしている状態だと思います.おそらくすでに菌が体内に広がっていて,このまま脱水して死んでいくのでは.

グリーンプラザ裏,2023年11月4日昼,晴れ



グリーンプラザ裏,2023年11月11日朝,くもり

硬化病の幼虫に,冬虫夏草でも形成されていたりしないかと翌週来てみました.たくさんの死んだ幼虫を見てきましたが,気づいたのは先週よりも体を覆う菌の色が白っぽく,よりざらざらになったように感じたところぐらいです.体からニョキニョキと菌体が伸びているようなところは見つけませんでした.

グリーンプラザ裏,2023年11月11日朝,くもり

グリーンプラザ裏,2023年11月11日朝,くもり

グリーンプラザ裏,2023年11月11日朝,くもり

グリーンプラザ裏,2023年11月11日朝,くもり



参考

  1. 昆虫に病気を引き起こす菌類. “昆⾍病理研究会”. http://lab.agr.hokudai.ac.jp/byoriken/IP/Fungi.pdf, (参照 2023-11-23).
  2. 硬化病のヨトウムシ多い人参畑. “しげファームの作業日誌”. https://blog.goo.ne.jp/mikan7_2007/e/4f7015e1914a441c5210bba8905d39b7, (参照 2023-11-23).
  3. . “”. , (参照 ).