基本情報

和名
アズマネザサ
分類
被子植物類 単子葉類 ツユクサ類 イネ目 イネ科 タケ亜科 メダケ属 (Pleioblastus)
英名
Whitestripe Bamboo, Japanese Bamboo
学名
Pleioblastus argenteostriatus, syn. Pleioblastus chino
状況

写真とメモ

メタセコイアの森、2019年12月15日午前、くもり

園内の林縁、林床には、ササの薮が多いです。園内のササの種類を調べようと、何箇所かでササを観察してみました。主に生えている種類は、どうやら2種類だけらしいのはわかってきました。一番多いのがこの種類アズマネザサです、園内のどの林でも一角を占めているほど多いですね。細長い葉をして、細い枝が密集するササ藪を作っています。アズマネザサは東日本の山野で最も普通な種類で、西日本に分布するネザサとは同じ種の変種の関係になっています。ハコネダケ、スダレヨシなども同じ種の変種、品種のようです。 2種類目のササとして、特定の場所でだけアズマネザサに置き換わるように生えているのがクマザサです。クマザサは自然分布ではなく植栽された種類のようです(この場所が公園になってからなのかそれ以前からなのかはわかりませんが)。そして、場所によっては、アズマネザサに混じって、違う特徴を持ったササもあるようなのですが、こちらはまだ種の同定までたどり着いていませんので、引き続き検討してみます。これら以外では、グリーンプラザの裏にあるタケ・ササ類の展示場所に名札付きで数種類のササ・ダケ類が植えられています。

メタセコイアの森、2019年12月15日午前、くもり

園内でもっとも整ったアズマネザサの群落がみられるのは、「メタセコイアの森」の林内です。メタセコイアの森の林床は、広葉樹の林内よりも日当たりがよいわりに、他の種類の植物があまり生えていません。ササの高さは1.5~2mぐらいだと思います。

メタセコイアの森、2019年12月15日午前、くもり

上の写真は、アズマネザサの群落の途中まで、草刈りが行われたところ。ササ群落の断面から内部が見えている状態です。群落内部には枝分かれがびっしりで、葉は上部に生い茂っています。

メタセコイアの森、2020年1月19日午後、晴れ

稈と稈鞘。稈の節から節までの長さを測ると一番長いものでも15cm前後でした。草丈が図鑑に載っている2~3mよりも低いのと同じく、稈の太さ、長さも小ぶりで、生育状況があまりよくないということなんだと思います。アズマネザサの稈鞘は、節間の長さの3分の1から3分の2ぐらいとありますが、写真では5分の3ぐらいでしょうか。

稈鞘は、早くはがれて脱落する種類とずっと残る種類があって、これがササ類(稈鞘は稈をずっと取り巻く)とタケ類(脱落する)との違いとして説明されています。メダケ属には、名前にササとつく種類と、メダケなどタケとつく種類が混在していますが、すべて稈鞘が残る種類なので、名前には「タケ」がついていてもササ類のグループということになっているようです。

メタセコイアの森、2020年1月19日午後、晴れ

枝分かれの様子。節ごとに、数本以上の枝がまとまって分かれるのがこのグループの特徴です。



園内の林、2019年12月8日午後、晴れ

別の広葉樹の林で見つけた群落です。日当たりがよくないからか、こちらの群落は背丈が低く1mに満たない程度、生え方もまばらに見えます。

園内の林、2019年12月8日午後、晴れ

いろいろな特徴はメタセコイアの森の群落と共通でした。一番きれいに見えた葉です。1つの稈から10枚近くの葉が出ています。

園内の林、2020年1月19日午後、晴れ

葉の長さを測ってみると20cmに足りないぐらいです。

園内の林、2019年12月8日午後、晴れ

ここでは、葉に模様のあるのが目立ったのですが、調べてみるとこれはハダニが寄生しているときの模様のようです。


小合溜沿いの林縁、2020年1月13日午前、晴れ

別の群落です。林縁のよく日の当たる場所でしたが、道端で頻繁に刈られるためだと思いますが、背丈が1m以下と低いです。

小合溜沿いの林縁、2020年1月19日午後、晴れ

明るかったので葉を拡大してみました。上は葉表、下が葉裏ですが、アズマネザサはどちらも目立った毛が生えていません。

小合溜沿いの林縁、2020年1月19日午後、晴れ

小合溜沿いの林縁、2020年1月13日午前、晴れ

葉の根元の葉鞘の様子。葉鞘の縁だけ毛が生えています。それと、葉鞘の端から肩毛が出ているのが見えます。肩毛は白くてまっすぐ上に向かって生えるそうですが、肩毛はだんだんと取れてしまうようで、もっとフレッシュな枝で見直してみたのが下の写真です。

ちなみに、葉鞘の端の部分の形が、葉鞘と垂直にまっすぐ切れているのがアズマネザサで、葉のついているのと反対側が盛り上がってななめになっているのがメダケとのこと。メダケはアズマネザサよりも背丈が高く(~6m)、稈も太くなる種類なので、よく育っていれば区別はしやすそうですが、もし同じサイズだと難しそうです。他には葉の長さと太さの割合が、目だけのほうが細いので葉の先端が垂れること、葉の先端が長く尖って見えることなども区別点とのこと。

小合溜沿いの林縁、2020年1月19日午後、晴れ

まっすぐ平行に、上に向かって伸びる白い毛がわかります。



参考

  1. 村田 源:イネ科 - 佐竹義輔他 編著、日本の野生植物 木本Ⅱ.平凡社、東京、1989.  
  2. アズマネザサ - 『タケ亜科検索表(植物観察ノート)』 http://syokubutsunote.web.fc2.com/HP14/azumanezasa.html
  3. ネザサ - 『三河の植物観察』 http://mikawanoyasou.org/data/nezasa.htm
  4. アズマネザサ - 『四季の山野草』 https://www.ootk.net/cgi/shikihtml/shiki_917.htm
  5. メダケとネザサ - 『チューメイくんの田舎ぐらし』 http://chuumeikun.hatenadiary.jp/entry/2016/01/16/140637
  6. - 『』