クマザサ Kuma-Zasa Bamboo Grass
基本情報
- 和名
- クマザサ
- 分類
- 被子植物類 単子葉類 ツユクサ類 イネ目 イネ科 タケ亜科 ササ (Sasa) 属
- 英名
- Kuma-Zasa Bamboo Grass
- 学名
- Sasa veitchii
- 状況
写真とメモ
クマザサは、葉の周囲に白っぽい縁取りのあるので有名なササ。葉は太くて大きく、遠目でもよく目立つきれいな葉です。クマザサの「クマ」は漢字では「熊」ではなく「隈」で、葉の縁取り(=隈取り)を意味している名前だそうです。
この冬、園内にある竹と笹の写真をこのサイトに加えたいと思い、写真を撮ってみましたが、このグループ(イネ科タケ亜科)は基本的にみんなよく似ていて、分類がちょっと難しく、何回か写真を撮って資料で勉強しながら、掲載できそうなところまで来ました。参考にしたのは、ネット上の検索表(参考2のサイト)と、図書館で見つけた平凡社の図鑑(参考3)です。クマザサ以外も、種類がある程度わかったものから順にまとめてみます。
タケ・ササ類は常緑で、冬になっても葉が落ちません。クマザサの葉の縁取りの部分は、葉が生えたときはないのですが、最初の冬を迎えて葉の周囲だけが枯れることで形成されるそうです。上の写真の中央付近の3枚の葉に隈取りがないのは昨年生えた1年目の葉で、その周囲の隈取りのある葉は、既にひと冬を越えた2年目以降の葉なのだと思います。
クマザサ以外で、同じような葉の縁取りが形成される種類には、ミヤコザサがありますが、ミヤコザサは、葉がクマザサのような幅広の葉ではなく細めで、葉の先端もクマザサのように急に細くならないこと、葉裏に細毛が生えることが区別点。
クマザサはきれいな種類なので各地に植えられていますが、もとは京都にだけ自生していた種類とのこと。一方、クマザサの変種として、チュウゴクザサという種類は北海道から本州、四国まで、国外では極東ロシアにも分布する種類のようです(参考3)。チュウゴクザサはクマザサよりも縁取りがはっきり出ないとのことですので、水元公園のは人為的に植えられたクマザサですね。チュウゴクザサがクマザサの変種という関係が納得いかないです(笑)。両方の分布の状況から考えると、ロシアや日本に広く分布するチュウゴクザサという種類に対して、京都にだけ分布する縁取りのきれいなクマザサがその変種、というほうが自然に思えます。どちらがどちらの変種というのは、命名がどちらが先だったかによって決まるようなものだと思うので、どちらでもよいのかもしれませんが。
この場所は水生植物園と植生保護区の境界の道路沿いですが、園内には、他にも何箇所かにクマザサの群落があります。ここでの草丈は1m以下ですが、クマザサ自体はもう少し丈が高くなることもあるようです。個々のクマザサが低いのは、道端なので刈られることがあるのかもしれません。
葉の付け根。葉鞘には毛がなく、肩毛と呼ばれる葉鞘の先端から生える太い毛もないように見えます。
1年目の葉の表側。ツヤがあって目立つ毛はなし。
葉裏にも毛はなし。
下の方の稈鞘(茎の部分のサヤ)です。黒い点は菌類などかと思いますが、はっきりとした毛が密生しています。
参考
- クマザサ (2018年9月26日 04:10 UTC)-『ウィキペディア日本語版』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%82%B6%E3%82%B5
- ササ属チマキザサ節の検索表(イネ科-7 Sasa ササ属-3(チマキザサ節 Sect. Sasa)) - 『広島県の植物ノート』 http://forests.world.coocan.jp/flora/po-7.html#key
- 村田 源:イネ科 - 佐竹義輔他 編著、日本の野生植物 木本Ⅱ.平凡社、東京、1989.
- クマザサ - 『松江の花図鑑』 https://matsue-hana.com/hana/kumazasa.html
- クマザサ - 『e-yakusou.com 薬用植物一覧表』 http://www.e-yakusou.com/sou/sou203.htm
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