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卵のうを守るメス

小合溜沿いの疎林,2023年11月11日午前,くもり

エノキの幹に止まっている大きなクモを発見.すぐ近くに白いかたまりがあります.ジョロウグモのメスと卵のうのようです.クモの体はほっそりしていて産卵が終わった後なのでしょう.調べてみると,ジョロウグモのメスは一生にうちに1コの卵のうをつくり,産卵後の数日間,卵を守ってから死んでいくそうです.

ということになっているのですが,実際には,産んだ卵のうの近くにメスが残らないこともあり,こういうシーンは必ず見られるわけではないようです.参考4の論文によると,ジョロウグモの卵を守る行動は必ずするわけではないこと,また,サシガメなど,ジョロウグモの卵を食べる捕食者が来たときには,サシガメを攻撃する親もいますが,見ているだけの親もいるとのこと.クモ類には親が卵を守る行動をする種類は多いですが,この行動はいくつもの分類群で別々に進化したものであることがわかっているようです.

小合溜沿いの疎林,2023年11月11日午前,くもり

別角度からの拡大.メスの肢は黄色と黒のはずですが,全体が黒ずんでいます.近寄っても全く動きませんでした.ちなみに翌週来てみたら,もうメスはいませんでした.



基本情報

和名
ジョロウグモ
分類
節足動物門 クモ綱 クモ目 ジョロウグモ科 ジョロウグモ属 (Trichonephila)
英名
Jorō Spider, A Species of Golden Orb-web Spider
学名
Trichonephila clavata
状況

写真とメモ

幼体

園内の疎林,2023年7月23日朝,晴れ

腹部の背面が黒・白・黄色のチェッカー模様をもつ,スマートなクモでした.秋に成熟するジョロウグモの幼体(参考3).頭胸部が褐色なのは成体と同じですが,成体の腹部は模様が細かくてずっと地味.足の色は成体は黒に黄色の帯ですが,幼体の足はオオシロカネグモと同じような透き通ったグリーン(と黄色の帯)です.

園内の疎林,2023年7月23日朝,晴れ

成体のメスでは,腹部の腹面から側面にかけて鮮やかな赤い大きな模様が目立ちますが,幼体では赤い部分がほとんどありません.



小合溜沿いの草地,2022年12月25日午前,晴れ

もう年末なのにジョロウグモ発見.自分の遅い時期の記録=12月25日になりました.

小合溜沿いの草地,2022年12月25日午前,晴れ

風で巣が壊れたのでしょうか.日が高い午前中ですが,日向でせっせと巣を作っていました.巣をつくるのは暗い時間帯かと思っていました.ただしクモの動きはのろのろです.

小合溜沿いの草地,2022年12月25日午前,晴れ



グリーンプラザ裏,2021年11月3日午後,晴れ

秋も深まった草むらで巣を張っていたジョロウグモ.日があたって腹部腹面の赤い斑紋がきれいだったので写真を撮ってみました.写真でもなかなか鮮やかな赤ですが,実物はもっともっと光り輝く赤でした.ジョロウグモってこんなにきれいなクモだったのを再確認しました.オオシロカネグモの緑色がキレイだったのを思い出しました.

グリーンプラザ裏,2021年11月3日午後,晴れ

横から見たところ.

ジョロウグモは日本の他,朝鮮,台湾などに分布しますが,参考1によると近年では北米に侵入しているとのこと.



園内の林,2018年9月9日午後,晴れ

林の中で,ジョロウグモのメス,スマートな亜成体.腹部の模様が,ちょっと仮面のように見えなくもない.同じ巣にオスも同居中でした.



中央広場,2017年12月3日午後,晴れ

道端の木でみつけたジョロウグモのメス.体の模様は成体.この時期,産卵が終わっているからか,腹部はあまり膨らんでいません.もう12月でかなり風が強く寒い日で,風で揺れながら動かずにいますが,腹から糸が伸びてぶら下がっているように見えますので,まだ生きているものと思います.ジョロウグモは成体では冬を越せず,卵で越冬する種類とのことです.



圃場,2014年10月12日朝,くもり

ジョロウグモのメスの成体.横から見ると腹側にある大きな赤い紋が見えます.クモの糸は腹部の先端ではなく,体の下面に向いた突起部(写真では体の左上側)から出ます.

ジョロウグモは,秋の園内では非常に多いです.夏にはナガコガネグモのほうが多いかもしれません.

圃場,2014年10月12日朝,くもり

オスとメス.もちろん,体の小さいほうがオス.

圃場,2014年10月12日朝,くもり

ジョロウグモのオスです.



水元公園内,2009年9月12日午後,くもり

独特の模様からジョロウグモだとわかります.大きいのがメスで上に見えるのはオスです.大きい方の個体の模様は成体ではなくて亜成体の模様だとのこと(参考1).ということは,成体になる前からオスとメスが同じ巣にいるんですね.



参考

  1. Trichonephila clavata (L.Koch, 1878) in GBIF Secretariat (2022). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/10670284 on 2023-02-11.
  2. ジョロウグモ. “野菜畑の益虫・害のない虫、その他(自然工房ゆりの木)”. http://yurinoki.main.jp/musi2_2/jorogumo.html, (参照 2023-02-11).
  3. ジョロウグモ科~ジョロウグモ(女郎蜘蛛). “奥行き1mの果樹園 ”. https://gardening.biotope.work/jorougumo, (参照 2023-08-01).
  4. Suzuki S, Asano R: Note on egg sac attendance behavior of Trichonephila clavata (Araneae: Nephilidae): The possibility of maternal care.昆蟲(ニューシリーズ) 25(2), 60-62. 2022. https://doi.org/10.20848/kontyu.25.2_60.
  5. . “”. , (参照 ).