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アズマニシキ(東錦) Calico Oranda

金魚展示場,2024年3月31日午前,晴れ

また金魚展示場を見てきました.コンクリートのたたき池というのは横からは見えないので,上から見るときれいな金魚のためのものだと感じます.上から見て色・形と動きが印象的だったのは,アズマニシキという品種でした.四つ尾を振りながら泳ぐ体には,赤白黒の斑紋がありますが,黒いスポットが多くて引き締まった印象です.この品種は,オランダシシガシラ(頭部に肉コブが発達したリュウキン)と三色のキャリコデメキンとを交配して作られた品種とのことです(参考5).英語名 Calico Oranda はそれにちなんでいます.横浜の金魚商が作り,東京の金魚商が名付けられたそうで,関東で作られたことにちなんだ名前のようです.

金魚展示場,2024年3月31日午前,晴れ

こちらはちょっと小型の個体で,赤色が目立ちます.

金魚展示場,2024年3月31日午前,晴れ

ひらひらと広がる尾に黒い部分が多いので,遠くからも動きが感じられてきれいです.

金魚展示場,2024年3月31日午前,晴れ

コメット Comet

金魚展示場,2024年3月31日午前,晴れ

大きな白い尾をひらひらなびかせながら素早く泳ぐ品種,コメット.体型はワキンなので,上から見る水槽では体のアピールはいまいちですが,尾が羽衣のようで,大きくて優雅です.アメリカで作られた品種で,日本から輸入されたフナやリュウキンが元になった種類のようです.赤と白が基本色(参考6).

金魚展示場,2024年3月31日午前,晴れ

体型が似ているシュブンキン(朱文金)は,三色のキャリコ出目金とワキンが交雑してできたので黒も入った三色なところが違うそうです(参考6).



基本情報

和名
キンギョ
分類
条鰭綱 コイ目 コイ科 フナ属 (Carassius)
英名
Goldfish
学名
Carassius auratus (Linnaeus, 1758)
状況
IUCN/ISSG 世界の侵略的外来種侵略的外来種(アジア,ヨーロッパ,アフリカ,オセアニア,南北アメリカ),原産(日本,中国,ラオス,ミャンマー) (参考1)
IUCN レッドリスト 2023-1[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend unknown (個体数動向 安定) (参考2)

写真とメモ

水産試験場跡地にある葛飾区金魚展示場には,たくさんのコンクリートのたたき池と水の循環システムがあって,常時20種類ぐらいの系統の金魚が見られます.


チョウテンガン(頂天眼) Celestial Gold Fish

金魚展示場,2024年3月20日午前,晴れ

春先のたたき池で,ちょうどエサの時間だったようで,元気にエサを食べていたキンギョから,印象的だったのを撮影してきました.まだ水温が低い時期なので,ヒレやウロコなどの状態はベストとはいえない時期なのかもしれませんが,一見して病気に見える魚もおらず状態よく管理されていてすごいなと思いました.

こちらはチョウテンガンという品種.中国で作られた種類で,水泡眼ほどではありませんが,目の下が膨らんでいて,目が常に上を見ているキンギョです.参考3によると,この品種の目はほとんど見えていないとのこと.

金魚展示場,2024年3月20日午前,晴れ

背ビレがないのが特徴.ここのは体は赤で,尾ビレは三つ尾というのでしょうか.左右に広がっていますが中央でつながっています.

金魚展示場,2024年3月20日午前,晴れ


セイブンギョ(青文魚) Blue Oranda

金魚展示場,2024年3月20日午前,晴れ

体は青みがかった濃灰色で,ウロコが銀色に光るキンギョです.頭部にランチュウのような肉瘤があり,背ビレがあり,尾ビレは四つ尾に見えます.中国でつくられた品種,青文魚は,どうやってつくられた品種なのか不明とのこと.尾を振りながらゆっくり泳ぐと非常にきれいです.

金魚展示場,2024年3月20日午前,晴れ

こちらは少し小さめの個体.体色があまり濃くなく,ウロコが光るのがよくわかります.頭部の肉瘤も小さめです.

金魚展示場,2024年3月20日午前,晴れ


キンギョの分類について

金魚は日本や中国でたくさんの品種がつくられていますが,もともとは中国大陸の原種のフナからつくられたようです.データベースでは金魚の学名として Carassius auratus という名前が出てくるのですが,フナ属で最初に学名がつけられたのはキンギョなのだそうです.キンギョのもとになった原種のフナは,遺伝子を調べるとギベリオブナ Carassius gibelio という種だと考えられています.キンギョの原種はキンギョと同じ種類のはずで,同じ学名で呼ばれるべきなのですが,まだそういうことにはなっていないようです.また,中国各地や日本にいるフナの遺伝子を調べると,従来は別種だと考えられていたのが,実は別種とするほど遺伝子が違わないことがわかってきて,フナの種をまとめるべきという議論が進んでいるようです.キンギョに当てられている Carassius auratus という学名は,日本では従来キンブナの学名として使われています.フナ類の種をまとめていくと,ゲンゴロウブナ(ヘラブナ)などのかなり離れた種類以外は,1種類(か2種類ぐらい?)になり,フナとキンギョはすべて1種 Carassius auratus ということになるのかもしれません.



参考

  1. Global Invasive Species Database (2024) Species profile: Carassius auratus. Downloaded from http://www.iucngisd.org/gisd/speciesname/Carassius+auratus on 24-03-2024.
  2. Huckstorf, V. & Freyhof, J. 2013. Carassius auratus. The IUCN Red List of Threatened Species 2013: e.T166083A1110472. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2013-1.RLTS.T166083A1110472.en. Accessed on 24 March 2024.
  3. 頂天眼. “金魚カタログ”. http://www.sakura-nishiki.com/kingyocatalog/choutengan.html, (参照 2024-03-24).
  4. 青文魚. “金魚カタログ”. http://www.sakura-nishiki.com/kingyocatalog/seibungyo.html, (参照 2024-03-24).
  5. 東錦(アズマニシキ). “金魚カタログ”. http://www.sakura-nishiki.com/kingyocatalog/azumanishiki.html, (参照 2024-04-13).
  6. コメットとは. “東京アクアガーデン”. https://t-aquagarden.com/column/comet, (参照 2024-04-13).
  7. . “”. , (参照 ).