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小合溜沿いの草地,2024年10月6日朝,くもり

草地で見慣れない色のネコ発見.リラックスモードで休んでいる様子.この色をなんと呼べばよいのか調べてみましたが,サビ白でよいでしょうか.サビトラに白が入った柄?



基本情報

和名
イエネコ
分類
哺乳綱 ネコ目 ネコ科 ネコ属 (Felis)
英名
Domestic Cat,House Cat (イエネコ),Feral Cat(ノネコ)
学名
Felis catus Linnaeus, 1758
Syn. Felis silvestris catus Linnaeus, 1758
状況
外来生物法生態系被害防止外来種 (国外由来の外来種 > 総合対策外来種 > 緊急対策外来種) (参考1)※ ただし,ノネコ(イエネコの野生化したもの)として
IUCN/ISSG 世界の侵略的外来種侵略的外来種(世界中),原産(-) (参考2)

写真とメモ

水産試験場跡地,2018年12月2日午後,くもり

水産試験場跡地の保全池のあたりにいた大きな白いネコ.台風で折れたクヌギ?の幹のすき間で丸まっていました.体がまるまるとしていたので,お腹が大きいネコなのかも.保全池でネコにエサをやる人はいないと思いますので,エサ取り?エサもらい?にはどこか別のところに行っているのでしょう.この場所は隠れ家的に使っているのかなと.



圃場,2018年2月11日午後,くもり

園内で最近見た2頭とは別のネコ発見.3頭目は黒猫です.先日見つけた2頭の近くで生活しているようです.写真はくつろいでいるところを結構遠くから撮影していますが,ちょうど目を開けたところ.黄色い目で睨まれています.でも,人慣れしているようすでした.もう1頭,圃場のノイバラのヤブの中で別の色のネコを見つけたのですが,こちらは写真は撮れず.



圃場,2018年1月28日午後,くもり

「水元公園の生き物」などというタイトルでやらせていただいている以上,公園でよく見かけるネコのことも範囲に含まれるよねとは思っていました.この日は,ちょうどネコの方から寄ってきてくれて撮影しましたので掲載します.

雪の残った圃場の森で数頭のシメの群れが行ったり来たり飛び回っていましたので,それを見ながら立っていますと2頭の猫が近づいてきました.1頭は白黒柄で,もう1頭は茶白.どちらも,左耳に切れ目が入っているように見えましたので,去勢(避妊手術)済の個体なのだと思います.人恋しげ?エサ恋しげ?に寄って来る様子は,冬だからなのか雪のあとだからなのか.少なくとも,いじめられて人を怖がっている様子ではないです.体をなでると,毛はゴワゴワ,体はガリガリでしたが,見た目病気っぽいところはなく,冬の野良ネコとしてはこのコンディションがふつうなのかもしれません.白黒の方の模様が「ちょび髭+タキシード」で特徴的.

イエネコとノネコについて

現在世界中で飼われているネコは,動物の種類としてはイエネコと呼ばれていますが(参考3),イエネコはヨーロッパヤマネコという野生種から作られた種類とされています.正確には,ヨーロッパヤマネコはユーラシア大陸の西部から中央部,アフリカ大陸に広く分布する種類ですが,生息地域によっていくつかの亜種にわけられていて,亜種の1つのリビアヤマネコという,北アフリカから,アラビア半島,カスピ海まで分布する種類がイエネコの直接の先祖とのこと(参考4).イエネコの遺伝子は,リビアヤマネコとほとんど違わないので,イエネコは遺伝子的にはヨーロッパヤマネコの亜種といっても差し支えないです.ただ,現在の学名の扱いでは,ヨーロッパヤマネコ(英語名 European Wildcat)は Felis silvestris,リビアヤマネコ(英語名 African Wild Cat)はその亜種 Felis silvestris lybicaですが, イエネコだけは Felis catus という別種として扱うことに決められているようです.

ちなみに,もともとの野生種のヨーロッパヤマネコやリビアヤマネコの体の模様はキジトラのみ.一方,イエネコが野生化したノネコはイエネコ同様にいろんな模様があるわけです.日本にいるノネコもいろんな模様がいるのだと思います.

このイエネコは野生化して世界中で侵略的外来種として扱われています(参考2).日本でも生態系被害防止外来種に指定されていますが,ただ法律の指定では,対象種が「ノネコ」になっています(参考1).ノネコ(野猫)とは,ふつうの野良ネコは含まれず,「人間社会と関係を持たないイエネコの個体群」とのこと(参考5,6).つまり,ヒトからエサをもらったり市街地で生活したりして人間社会と密接に関係している,「地域ネコ」やいわゆる「野良ネコ」は,ノネコには含まれず,生態系被害防止外来種の指定対象外なんですね.園内のネコたちも避妊手術をされ,エサをもらっている以上,人間社会と深く関係しているので,ノネコではないです.ヒトがエサを与える限り,他の動物を捕ることを前提としないし,避妊手術をされていれば,個体数もコントロールされており,生態系に脅威を与える存在にはならないという意味で妥当な考え方に思えます.もっとも,ノネコとふつうの野良ネコの区別は,生態系被害防止のために定められた区別ではなく,もっと以前から存在する狩猟法の規定で,ノネコは狩猟の認められた種類なのだそうです.狩猟は害獣駆除の面もあること,人間社会に関係しているネコの場合,ヒトの所有財産である飼いネコとの線引きが難しい場合もあることなどを考えるとこの区別もよく理解できます.

ノネコが脅威を与える在来種は,本土では食性が近そうなイタチやキツネなどでしょうか.参考1の資料を見ると,離島の方が影響が大きいようです.離島でノネコが特に問題になるパターンの1つは,離島の在来種のネコ類が絶滅危惧種に指定されている西表島(イリオモテヤマネコ)や対馬(ツシマヤマネコ)などで,これらの場所ではノネコの感染症が在来種に感染してしまう被害が報告されていること.もうひとつは,ノネコ侵入以前には肉食動物がいなかった離島で,ネコが絶滅危惧種を食べてしまう問題,奄美大島(アマミノクロウサギ),沖縄本島(ヤンバルクイナ),御蔵島(オオミズナギドリ)などがその例です.

圃場,2018年1月28日午後,くもり

水元公園のネコについて

ネット上の情報によると,水元公園には150頭以上の野良ネコがいるそうです(参考9).園内を回ってもそんな数のネコを見ることはなく,それだけの数のネコがいるとはちょっと信じがたいのですが(せいぜい10~20頭ぐらいかなと思っていました),それはふだんネコを探そうとしていないから見つけていないだけなのか,ネコの活動範囲が園外にも広がっていて,いつもいるとは限らないのか,あるいは,現在は数がもっと少なくなったのか.水元公園を地域ネコと共生できる場所として捉え,野良ネコの去勢などを行う愛護団体が複数あるようです.そのうちのひとつ,葛飾動物愛護の会のメッセージ(参考8)によると,「ルールに基づいた餌やり」をしているとのこと.園内では動植物の採取とともに,動物への餌やりも原則禁止されているのですが,特例を作ってもらう際に運用ルールを決めたということなのだと想像します.そのルールというのをぜひ知りたいと思ったのですが,残念ながらネット上には見つかりませんでした.ルールを知っている人だけがネコにエサを与えてよい,というメッセージと解釈できます.また,園内でネコにエサを与えている人を見たことはあるのですが,その餌やりがルール内かどうかは不明なので,この話題はここまで.

つらつら妄想してみますと,

(パターンA) 公園に野良ネコが流れ着く → だれかがエサを与える → 公園がネコの生活できる環境となり,ネコ繁殖のおそれ → 繁殖しないように去勢 → ネコ(地域ネコ) 150頭?(今ここ) → 地域ネコ,公園で一生を終える → (最初に戻る)
(パターンB) 公園に野良ネコが流れ着く → だれもエサを与えない → 公園内の他の動物を捕るなどして一部の個体が野生化(ノネコ),大多数のネコは死滅 → 野生化したノネコは園内でエサが確保できる限界まで増える → ノネコはごく少数でそれ以上増えないが,ネコのエサとなる小動物,鳥,昆虫が減少

Aについて:ネコの管理(手間・費用)が大変,避妊手術をすると自分でエサをとってノネコになる活力がなくなるとの話を聞いたことがある,ネコは公園の生態系に影響を与える存在になりにくい(園内の場所を共有しているだけ),

Bについて:新たな生態系被害防止外来種「ノネコ」が生じ,生態系が影響を受ける恐れ,ネコが野生化して自活できるほどのエサが水元公園で確保できるのか疑問,できなければ全滅する(ウサギと同じ)

そもそも野良ネコがいなければ一番よいのですけどね.現在の水元公園がノネコが生息できる生態系を持っているのかどうかについては興味があります.

参考

  1. 生態系被害防止外来種リスト.“日本の外来種対策”(環境省 自然環境局). https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/iaslist.html.
  2. Global Invasive Species Database (2024) Species profile: Felis catus. Downloaded from http://www.iucngisd.org/gisd/speciesname/Felis+catus on 18-08-2024.
  3. “ネコ”. ウィキペディア日本語版. 2024-08-17. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%B3, (参照 2024-08-18).
  4. “ヨーロッパヤマネコ”. ウィキペディア日本語版. 2024-08-12. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B3, (参照 2024-08-18).
  5. “野猫”. ウィキペディア日本語版. 2024-08-18. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E7%8C%AB, (参照 2024-08-18).
  6. “野良猫”. ウィキペディア日本語版. 2024-08-18. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E8%89%AF%E7%8C%AB, (参照 2024-08-18).
  7. “地域猫”. ウィキペディア日本語版. 2024-08-18. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E7%8C%AB, (参照 2024-08-18).
  8. ボランティア活動. “水元公園 | 公園へ行こう”. https://www.tokyo-park.or.jp/profile/volunteer/041.html, (参照 2024-08-18).
  9. 2014年03月17日 野良猫と共存目指す 葛飾の主婦企画 不妊去勢で増加抑制. “動物 しっぽニュース”. http://shippo-news.seesaa.net/article/391691085.html, (参照 2024-08-18).
  10. . “”. , (参照 ).