基本情報

和名
カイウサギ,イエウサギ(家畜・ペットとして),アナウサギ(種として,または野生の原種として)
分類
哺乳綱 ウサギ目 ウサギ科 アナウサギ属 (Oryctolagus)
英名
Domestic Rabbit(家畜・ペットとして),European Rabbit(種として,または野生の原種として)
学名
Oryctolagus cuniculus(種として)
状況
IUCN レッドリスト 2023-1[EN] Endangered (危機) A2abce ver3.1, Pop. trend decreasing (個体数減少傾向)(ただし,原産地のイベリア半島での野生種を対象として) (参考1)
IUCN/ISSG 世界の侵略的外来種侵略的外来種(北中南米,オーストラリア,ニュージーランド,各国の島嶼部,原産地のスペイン),原産(-)(ただし,野生化した家畜,ペットとして) (参考2)
外来生物法生態系被害防止外来種(最終 修正版,2015年) (国外由来の外来種 > 総合対策外来種 > 重点対策外来種,Ⅰ 定着初期/限定分布 ①③) (参考3)

写真とメモ

中央広場付近,2014年2月23日お昼,くもり

このブログに掲載した水元公園の哺乳類としては3種類目です.中央広場の外周道路のあたりでかわいいウサギが草をむしゃむしゃ食べてました.ウサギには詳しくないのですが,見た目はいかにもペットのようなウサギで,残念ながら日本在来種のノウサギではなさそうでした.明るい茶色っぽい毛色は,ペット業界では「オレンジ」と呼ばれていて,ネザーランドドワーフという品種としてはごく一般的なのだそうです(このウサギがネザーランドドワーフかどうかは不明です).もしかしたら誰かが飼いきれなくなって公園で放した「野良うさぎ」なのだと思います(飼い鳥の場合は脱走した鳥を「カゴぬけ」の鳥といいますが,ウサギは「かごぬけ」というのでしょうか?).水元公園も都会の公園なので,飼いきれなくなったペットを放す人が多いですね.

ペットのウサギは,種類としてはアナウサギというヨーロッパのイベリア半島(スペイン,ポルトガルなど)原産の種類を品種改良したもので,日本在来のニホンノウサギとは属レベルで異なる別の種類だそうです.日本にとっては本来は生息していない外来種にあたります.アナウサギとその品種は世界では侵略的外来種として問題になっている地域もかなりあります.その中には原産地のスペインも含まれています.

こういう野良うさぎを見ると,ウサギ好きの人は,たぶん,うまく捕まえて誰か責任をもって飼える人のもとで天寿を全うさせてあげたいと思うところなのでしょう.「水元公園の生き物観察マニア」の自分としては,ペットだったウサギの運命としてはかわいそうだとは思いますが,水元公園の自然の一部になったウサギがどのような運命をたどるのかに興味深々という面もあります.ただ,ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)のように公園内で大繁殖するのはかんべんして欲しいです.「いったんペットを飼いはじめたら最後まで責任をとってほしい」ものです.

中央広場付近,2014年2月23日お昼,くもり

水元公園ではウサギが見られることはよくあるようです.ネット上で見られる情報でも数件以上ありました(参考4-6).とくに参考4は,自分の写真の翌日で撮影場所も体色も同じことから,おそらく同じ個体です.半年前にも同じ毛色の個体が見られてます(参考5)が,こちらは同じ個体かどうかは怪しそうです.

疑問なのは,このウサギが放されたペットだとして,どのぐらいの期間,公園で生き延びるものなのかということです.ウサギは草食ですから餓死はしないとしても,野良ネコオオタカなどの猛禽類,園内に無数にいるカラスなど,園内の捕食者に襲われて一生を終えることが多いのかもしれません.元ペットだと動きが鈍かったり,逃げなかったりしてすぐにやられてしまいそうです.このウサギも,5mぐらい離れたところから写真を撮ったのですが,人前で逃げる様子もなく堂々としていました.もっとも,この場所は上の写真のように,林床がヤブになった林からほんの数歩のところなので,すぐに逃げこめるような場所です.実際,そのあとイヌを散歩させている人が通りかかったら,ひょこっひょこっとヤブに逃げ込んでいきました(一番下の写真).

日本在来種のノウサギは穴を掘らないウサギのグループに含まれ,英語で言うと hare とか jackrabbit と呼ばれている種類なのに対し,アナウサギは複雑に入り組んだ巣穴を掘って生活する種類とのこと.英語の rabitt はアナウサギのことだそうです.ペットのウサギは種類としてはアナウサギなので,穴を掘る能力があるそうです.公園に放された後で,ヤブの中にでもいい巣穴を掘っていれば,寿命が延びそうですね.半年前のウサギ(参考5)がいてもおかしくないのかも.

中央広場付近,2014年2月23日お昼,くもり

中央広場付近,2014年2月23日お昼,くもり

ヤブの中に戻っていくところ.



参考

  1. Villafuerte, R. & Delibes-Mateos, M. 2019. Oryctolagus cuniculus (errata version published in 2020). The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T41291A170619657. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2019-3.RLTS.T41291A170619657.en. Accessed on 05 January 2024.
  2. Global Invasive Species Database (2024) Species profile: Oryctolagus cuniculus. Downloaded from http://www.iucngisd.org/gisd/speciesname/Oryctolagus+cuniculus on 05-01-2024.
  3. 生態系被害防止外来種リスト.“日本の外来種対策”(環境省 自然環境局). https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/iaslist.html.
  4. 捨てウサギ 確認 愛らしいウサギさん. “コーギーとカラスの物語(正義のヒーローモカ ガー幸守る)”. https://ameblo.jp/kiyoshi0809/entry-11774601422.html, (参照 2024-01-05).
  5. かわいそうなウサギ. “水元かわせみの里水辺のふれあいルーム”. https://mkawasemi.exblog.jp/19186317/, (参照 2024-01-05).
  6. 嫌な予感的中 哀しい出来事 水元公園の捨てウサギ. “コーギーとカラスの物語(正義のヒーローモカ ガー幸守る)”. https://ameblo.jp/kiyoshi0809/entry-11613100454.html, (参照 2024-01-05).
  7. . “”. , (参照 ).