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小合溜沿いの疎林,2024年10月13日朝,晴れ

林の日だまりをゆっくりと飛ぶ,1頭のベニイトトンボのオスを発見.これまで園内でベニイトトンボを見たのは7~8月で,秋も深まった10月になってベニイトトンボを見つけたのは今回がはじめてです.こんな時期まで成虫が出ているのですね.また,見つけた場所は水辺からちょっと離れた疎林の中で,これまでベニイトトンボを見つけたことのなかった場所です.園内でベニイトトンボの生息する場所は意外と広いのかもしれません.

小合溜沿いの疎林,2024年10月13日朝,晴れ

同じ個体.ベニイトトンボのオスは成熟すると複眼も胸部も真っ赤になりますが,この個体ではどちらもかなり赤く色づいてはいますが,まだ真っ赤ではないです.



基本情報

和名
ベニイトトンボ
分類
節足動物門 昆虫綱 トンボ目 イトトンボ科 キイトトンボ属 (Ceriagrion)
英名
Japanese Sprite
学名
Ceriagrion nipponicum Asahina, 1967
状況
環境省レッドリスト2020[NT] 準絶滅危惧 (参考1)
東京都レッドリスト(本土部)2020年見直し版 東京都区部における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類,東京都本土部全体における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類 (参考2)
埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版) 加須・中川低地における区分:[EN] 絶滅危惧 IB 類,全県における区分:[EN] 絶滅危惧 IB 類 (参考3)
千葉県レッドリスト-動物編(2019年改訂版)[A] 最重要保護生物 (参考4)
IUCN レッドリスト 2024-2[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend unknown (個体数動向 不明) (参考5)

写真とメモ

園内の水辺,2024年8月11日朝,晴れ

今年オスを見たときから1ヶ月,メスを発見.これまでベニイトトンボを見たのは7月だけでしたが,8月に入って見たのは初.メスのほうがオスより発生時期が遅い傾向はありそうですが,発生時期はもっと長いのかも.



園内の水辺,2024年7月7日朝,晴れ

すっかり丈が高くなったヨシの中を縫って隠れるように飛んでいたオス.腹部は赤いですが,頭部や胸部はまだ真っ赤ではなく,赤褐色になってきたところでした.ベニイトトンボは数年ぶりの生存確認でうれしいです.自分がみつけられない年がある理由ですが,年によって発生数にばらつきがあって今年は多くて目についた可能性もありますが,単に,成虫の出る時期の間で,自分が来れる週末にイトトンボが飛ぶ天候の日に遭遇していなかっただけなのかもしれません.



園内の池周辺,2020年7月12日午後,晴れ

雨ばかりで気温が上がらない天候不順の今年,いろんな虫の様子が気になっていますが,ベニイトトンボは元気に飛び回っているのを確認.



園内の池周辺,2018年7月1日朝,晴れ

ベニイトトンボの生息確認に行ってきました.ベニイトトンボは晴れた日は林内にいて,くもりの日しか開けたところに出てきませんね.この日は林内を飛び回るオスメス数頭ずつを見ることができました.上の写真は赤い体のオス.ちょうど木漏れ日があたった瞬間,体が透き通るような赤に.下の写真は同じ個体ですが,ストロボ使用.かなり印象が変わるものです.

ベニイトトンボは環境省のレッドリストに登録されている絶滅危惧種で,自治体レベルでも関東から九州まで多くの都府県でも指定されています.日本以外では朝鮮から中国南部,台湾などに分布.Japanese Sprite という英語名は台湾での名前のようです.同じ属のキイトトンボも絶滅危惧種です.

園内の池周辺,2018年7月1日朝,晴れ

この日見たオス数頭は1頭を除いて,体色がまだ未成熟で,目まで赤くなっていません.1頭だけ見つけた全身赤くなったオスが下の写真.

園内の池周辺,2018年7月1日朝,晴れ

近縁種にリュウキュウベニイトトンボという種類がいて,原産地は日本では九州南部と南西諸島ですが,外来種として都内を含む南関東に人為的に分布しているとのこと.リュウキュウベニイトトンボはオスが成熟しても目までは赤くならないこと,メスの腹部後半の背側が黒いことで区別できるようです(参考7).

園内の池周辺,2018年7月1日朝,晴れ

こちらはメス.腹部の後半に内臓?フン?卵?が詰まっているのが透けて見えます.一方,腹部の前半が空洞になっていて軽そうです.長い腹部なので,先端付近は体の重心からかなり遠いところにあります.腹部の中身によって体のバランスが変化するはず.おそらく体のバランスがよくなるように配置されているのでしょう.

園内の池周辺,2018年7月1日朝,晴れ

こちらのメスはお食事中.ハエを食べているところ.ストロボ使用.



園内の池周辺,2013年7月14日朝,晴れ

オスです.去年と同じ場所で,今年も会うことができました.



園内の池の周囲,2012年7月15日夕方,晴れ

オス.池の周辺の草地にいました.夕方で暗かったためストロボ使用.下の2枚の写真も同じ場所です.

園内の池周辺,2012年7月15日夕方,晴れ

メス.

園内の池周辺,2012年7月15日夕方,晴れ,撮影Y

メス.



参考

  1. レッドデータブック・レッドリスト. “生物情報 収集・提供システム いきものログ” (環境省生物多様性センター). https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/booklist.
  2. レッドリスト・レッドデータブック・植生図. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  3. 埼玉県レッドデータブックについて. “埼玉県生物多様性センター”. https://saitama-biodiversity-center-cessgis.hub.arcgis.com/pages/saitamardb.
  4. 千葉県レッドデータブック・レッドリストについて. “千葉県環境生活部自然保護課 生物多様性センター” https://www.bdcchiba.jp/reddatebook_redlist.
  5. Zhang, H. & Dow, R.A. 2022. Ceriagrion nipponicum. The IUCN Red List of Threatened Species 2022: e.T177967598A192343467. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2022-2.RLTS.T177967598A192343467.en. Accessed on 06 October 2023.
  6. ベニイトトンボ. “トンボ観察図鑑”. http://tombozukan.net/ito-beniito.htm, (参照 2023-10-06).
  7. リュウキュウベニイトトンボ. “神戸のトンボ”. https://www.odonata.jp/03imago/Coenagrionidae/Ceriagrion/auranticum_ryukyuanum/index.html, (参照 2023-10-07).
  8. . “”. , (参照 ).