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園内の疎林,2024年7月21日お昼,晴れ

先日はアオイトトンボのオスだらけだった林で,アオイトトンボのメスも出てきたようです.胸部の側面は緑色の部分が第2側縫線に接し,その下は白く粉を吹いています.腹部の末端は下についている産卵管の先端が上にある腹部の先端よりも短いです.

園内の疎林,2024年7月21日お昼,晴れ

別個体のメス.こちらは胸部の白いところに粉を吹いていないです.腹部の産卵管は腹部先端よりも短いです.

園内の疎林,2024年7月21日お昼,晴れ

別個体のメス.こちらは胸部の白いところに粉を吹いていないです.腹部の産卵管は腹部先端よりも短いです.



基本情報

和名
アオイトトンボ
分類
節足動物門 昆虫綱 トンボ目 アオイトトンボ科 アオイトトンボ属 (Lestes)
英名
Common Spreadwing
学名
Lestes sponsa (Hansemann, 1823)
状況
東京都レッドリスト(本土部)2020年見直し版 東京都区部における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類,東京都本土部全体における区分:[VU] 絶滅危惧 II 類 (参考1)
千葉県レッドリスト−動物編(2019年改訂版)[C] 要保護生物 (参考2)
IUCN レッドリスト 2024-1[LC] Least Concern (絶滅のおそれなし) ver 3.1, Pop. trend stable (個体数動向 安定) (参考3)

写真とメモ

園内の疎林,2024年7月7日朝,晴れ

木漏れ日の当たる林内を歩くと数頭の大きなイトトンボが下草の中をゆっくり飛び回っていました.近くには水場があり,そこに面したゆるい斜面です.飛んでいる姿はメタリックに緑に光るのでオオアオイトトンボかアオイトトンボか.止まったところを確認するとアオイトトンボのオスでした.この場所で数頭見たのはすべてアオイトトンボのオスばかりです.写真で矢印を付けたのが種類の区別点.左下の拡大図の矢印は胸部の側面,緑色の光沢のある部分の先端が側縫線とちょうど接するところにあります.オオアオイトトンボは緑の部分が側縫線に広く付きます.腹部の先端は白い粉が吹いている節がに矢印を付けました.第8節は腹面だけ白く,第9節と10節の全体が白いです.オオアオイトトンボは第10節だけが白くなります.

園内の疎林,2024年7月7日朝,晴れ

こちらは別個体.白い部分は1個体目と同じです.下の写真は同じ個体を背面から撮ったところ.

園内の疎林,2024年7月7日朝,晴れ

園内の疎林,2024年7月7日朝,晴れ

こちらが3個体目.白い部分が目立つ個体.


ヤゴ

園内の池,2019年5月12日午前,晴れ

池の中をに眺めていたら,水をかぶったスイレンの葉の上に動くものを見つけました.細長いヤゴ.もう羽化の時期なのか偶然浅いところに来てしまっただけなのかわかりませんが,終齢っぽい大きさでした.写真をもとにヤゴの区別をしてみようと調べてみましたら,参考6などから,アオイトトンボ科のヤゴとわかりました.腹部の先端から3枚伸びている尾鰓の形が特徴で,先端が尖っていて,途中に鷹の羽のように黒く色がついた帯が3箇所あるのがわかります.この特徴を持つヤゴは,アオイトトンボかオオアオイトトンボのどちらかで,この2種のヤゴの区別は外見からだけでは無理のようです.成虫は両方の種類を公園で見たことがあります.参考6によると,アオイトトンボは(神戸では)5月,オオアオイトトンボは6月になってから終齢が見られるとのことで,時期的にアオイトトンボのほうが可能性が高いかもしれませんので,アオイトトンボのページに追加しておきます.



園内の林,2018年8月11日朝,晴れ

暗い林の中を歩きながら,ムラサキシジミムラサキツバメの写真を撮っていたとき,大きめのイトトンボを見つけました.下草に止まったのを確認すると,緑色の金属光沢のあるアオイトトンボの仲間です.園内ではオオアオイトトンボを晩秋に見つけたことはありましたが,アオイトトンボは初でした.この林は水辺からかなり離れていて,他にはイトトンボ類を見つけたことがない場所です.アオイトトンボやオオアオイトトンボは年1化で,夏に成虫になって秋まで成虫が見られるようですが,この暗い林の中は夏を過ごす避暑地なのでしょうか.

下の写真は次の日に別の場所で見つけた個体ですが,どちらもメスのようです.アオイトトンボとオオアオイトトンボなどとの区別点は,参考4,5にあります.メスの場合,腹端の下側にある,産卵管付近の長さや,胸部側面の金属光沢のある緑色と白っぽい色の部分との境界線の形で見分けられます.腹部の先端では産卵管の端が腹端よりも短いこと,胸部側面では緑色部分の後端が,一つ後ろ隣の側縫線と1点で接するのがアオイトトンボの特徴です.

園内の林,2018年8月12日朝,くもり

一つ上の写真の翌日見つけた,同じくアオイトトンボのメス.アオイトトンボとオオアオイトトンボのうち,東京などでレッドリストに掲載されているのはアオイトトンボのみです.オオアオイトトンボがロシアから日本に分布するのに対して,アオイトトンボは西ヨーロッパから日本まで広く分布する種類.



参考

  1. レッドリスト・レッドデータブック・植生図. “東京都環境局”. https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/.
  2. 千葉県レッドデータブック・レッドリストについて. “千葉県環境生活部自然保護課 生物多様性センター” https://www.bdcchiba.jp/reddatebook_redlist.
  3. Kalkman, V.J. 2014. Lestes sponsa. The IUCN Red List of Threatened Species 2014: e.T165475A19165578. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2014-1.RLTS.T165475A19165578.en. Accessed on 02 January 2024.
  4. アオイトトンボ科. “神戸のトンボ/トンボ成虫標本箱リスト”. http://www.odonata.jp/03imago/Lestidae/index.html, (参照 2024-01-02).
  5. 類似☆オオアオイトトンボ×アオイトトンボ 識別検討図. “蝶鳥ウォッチング”. https://yoda1.exblog.jp/14080728/, (参照 2024-01-02).
  6. イトトンボのなかま. “水辺の小動物たち(神戸の水生植物)”. http://www2.kobe-c.ed.jp/shizen/wtplant/animals/tombo/yago/zygopter.html, (参照 2024-01-02).
  7. . “”. , (参照 ).