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小合溜沿いの草地,2024年10月13日朝,晴れ

気温が下がって来たのがやっと実感できた10月ですが,草地を歩くと足元からバッタがジャンプする重々しい音がたくさん.小型の個体はコバネイナゴ,大型の個体はツチイナゴの成虫でした.ツチイナゴの羽化する時期には年によって,個体によって,かなり開きがあるようです.



基本情報

和名
ツチイナゴ
分類
節足動物門 昆虫綱 バッタ目 バッタ上科 バッタ科 ツチイナゴ亜科 ツチイナゴ族 ツチイナゴ属 (Patanga)
英名
Japanese Locust
学名
Patanga japonica (Bolívar, 1898)
状況

写真とメモ

春の成虫

小合溜沿いの草地,2021年4月25日昼,晴れ

春の草地に茶色いバッタ発見.そういえば,この草地は昨年秋にツチイナゴの幼虫を見た,ススキヨシの多い草地です.ツチイナゴの成虫は初めて見ましたが,コバネイナゴに似た大きさですが,よく飛び回るバッタでした.顔の横に太い黒い帯があるのは幼虫と共通ですが,それ以外では色も模様も幼虫と違います.

上の写真のように,緑の草に止まると非常に目立ちますが,下の写真のように枯れ草や地面にいると完璧な保護色ですぐに見失います.

小合溜沿いの草地,2021年4月25日昼,晴れ

枯れ草色と同化.コバネイナゴも顔に黒い帯があると思っていましたが,あちらは顔から体につながる(体の向きに対して)縦の帯.ツチイナゴの顔の帯は目から口の横にのびる(体の向きに対して)横向きの帯.


夏~秋

幼虫

小合溜沿いの草地,2023年8月11日朝,くもり

鮮やかな黄緑色のバッタの幼虫.ツチイナゴの若齢幼虫のようです.夏から秋に成虫になるバッタ類がそろそろ終齢幼虫や成虫になる頃ですが,晩秋に成虫になるツチイナゴは今こんなに小さい体.終齢幼虫の体にはびっしりと黒っぽい小さな斑点がありますが,このときはまだ斑点が非常に少なくてその色も薄いです.



小合溜沿いの草地,2020年10月18日午前,晴れ

秋が深まってきた日向の草地には,コバネイナゴオンブバッタなどはまだ少し生き残っていますが,それに混じってバッタ類の幼虫をみつけました.体は黄緑色で細かい斑点が散らばっています.ツチイナゴの幼虫です.翅の原基が大きいので終齢幼虫っぽい.1個体しか見ていません.あまり個体数は多くないのかもしれません.

ツチイナゴの幼虫はこんな感じですが,成虫はイナゴを茶色くしたような色合いです.成虫で越冬するバッタなので,この幼虫は秋に成虫になり,春になってから産卵する種類.クビキリギスシブイロカヤキリなどと同じですね.


秋の成虫

小合溜沿いの草地,2022年11月6日午前,晴れ

秋に成虫になって越冬するツチイナゴ.羽化したては体の斑紋が薄く,冬を越した個体は斑紋がはっきりしている印象ですが,この個体は羽化からすでに時間が経ったのか,もうかなり斑紋の色が濃くなっていました.寒さのせいか,動きは鈍いようでした.


成虫と幼虫が混在する晩秋

小合溜沿いの草地,2021年11月7日午前,晴れ

ツチイナゴをよく見る草地で.この日はツチイナゴの成虫と幼虫をどちらも見つけることができました.春に見た成虫よりも色の濃淡が淡いように見えます.黒褐色の斑紋や白い線がはっきりせず,全体が淡褐色です.羽化したてなのかもしれません.近づいても動く様子がなく,定規を差し出すこともできました.

ツチイナゴは成虫越冬する種類ということになっていますが,以前10月に見たときは幼虫だけしか見つけることができず,成虫になるのはいつなのかと思っていました.個体によって成虫になる時期は違っているのかもしれません.秋が深まるにしたがって成虫が増えていくのでしょう.

小合溜沿いの草地,2021年11月7日午前,晴れ

成虫と同時に見られた幼虫.翅があるので終齢幼虫なのでしょう.褐色味が強く,黒い斑紋がはっきりしている個体です.

小合溜沿いの草地,2021年11月7日午前,晴れ

こちらも終齢幼虫.黄緑色っぽい基調色の個体.


羽化したて?

小合溜沿いの草地,2021年12月5日午前,晴れ

日向はぽかぽかと暖かい日,ごく短い翅をもった成虫のツチイナゴを見つけました.体の模様は春に見られる成虫と同じですが翅だけが短く.終齢幼虫に見られる翅の小さい原基よりは長いですが,腹部の半分までしか伸びていません.

小合溜沿いの草地,2021年12月5日午前,晴れ

この場所に1ヶ月前に来たときは,ツチイナゴの成虫と幼虫が両方見られたので羽化が進行中なのだなと判断したのですが,それから1ヶ月後,もう冬ですよね.遠くから見て望遠で撮影しただけなので,羽化したてで翅を伸ばそうとしている途中の個体なのか=この時期にも正常に羽化できるものなのか,それとも羽化が遅くなりすぎて寒い時期になってしまったので羽化に失敗して翅が伸びずに固まってしまった個体なのかの区別はできていません.



参考

  1. Patanga japonica (Bolívar, 1898) in GBIF Secretariat (2022). GBIF Backbone Taxonomy. Checklist dataset https://doi.org/10.15468/39omei accessed via https://www.gbif.org/species/1702191 on 2023-08-12.
  2. ツチイナゴ. “福光村昆虫記”. (参照 2020-11-23) http://fukumitu.sakura.ne.jp/insect/TuchiInago_.html, (参照 2023-08-12).
  3. . “”. , (参照 ).